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「御苗場」夢の先プロジェクトグランプリインタビュー「世の中の“らしさ”は本当ではない」ライブ感あるHALKAのポートレイト① with Nikon D750


御苗場 夢の先プロジェクト Supported by Nikon
第10弾 グランプリ HALKA
大阪府立成城高等学校の写真藝術部入部をきっかけに写真を始める。現在東京を拠点にフォトグラファーとして活躍中。2015年写真新世紀優秀賞を受賞。2016年大阪成城高校写真藝術部卒業生 写真新世紀受賞者4人展『それぞれの時』に参加。

御苗場のレビュアー賞受賞者だけが参加できる「夢の先プロジェクト」では、
特別ワークショップを経たメンバーがグループ審査展を行い、
最終的にグランプリ1名が決定されます。
本記事は、御苗場vol.19関西の受賞者による「夢の先プロジェクト」にて
グランプリに輝いたHALKAさんをご紹介。
賞品であるNikon D750を使って撮影した作品と、
作品制作への想いを語ってもらいました。

D750/32㎜/f4.0/SS1/125秒/ISO1600/露出補正 自動/AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR

D750/62㎜/f6.3/SS1/125秒/ISO1600/露出補正 自動/AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR

自分にしかできないことをやりたい

――被写体の女性は、どういうきっかけで出会ったのですか?
HALKA 彼女はアメリカ人と日本人のハーフの方です。私が高校生のときに彼女のブログのファンになり、ある日会いに行きました。
その後SNSで繋がって、2年後くらいから撮影が始まりました。いまはアメリカに移住してしまったので、日本に帰国するタイミングで撮らせてもらっています。
当時高校生だった私は、自分自身のどろどろとした内面を写すセルフポートレイトをよく撮っていました。その作品は、高校生らしくないとか、他の大人の人が撮ったんじゃないかと言われていたんです。作品は自分が作ったものだし、偽物ではないし、本物のあるがままの私の姿を写しているのに、大人が思っているイメージで、ありのままを見てもらえないという葛藤がありました。そんな中で出会ったのが彼女です。

D750/24㎜/f22/SS1.0秒/ISO3200/露出補正 自動/AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR

 

――初めて出会ったときの彼女の印象は?
HALKA パンキッシュで奇抜なスタイルが印象的なお母さん。そんなかっこいい彼女に引き込まれていきましたね。彼女は、子どもがいるのに奇抜なファッションをしているから、きっと母親らしくないとまわりから思われているはずです。
でも「自分は自分」とまわりの意見を気にせず、貫き通す姿がすごくかっこいいなと思いました。高校生だった私は、まわりにすごく流されるし、色々言われてへこむばっかりでした。
そんな中で、あるがまま我が道を行く姿がとても励ましになって、それで彼女を撮りたいと思ったのです。

D750/24㎜/f22/SS1.0秒/ISO3200/露出補正 自動/AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR

 

――自身と彼女が、立場が違っても重なって見えたんですね。
HALKA そうですね。「世の中で言われている“らしさ”というのは本当ではないんじゃないんですか?」と、問いかける気持ちで撮り始めました。
高校生は大人が思っている以上に大人びているし、背伸びもしているし、きっと大人のことも見ていると思います。
リアルな高校生の姿は、テレビで見るような爽やかでふわふわな感じばかりではない。
そんな思いが含まれているのかもしれません。
だからこそ、彼女のお母さんとして一生懸命生きているよっていう、あるがままの姿を写したいと思いました。
見た目だけで判断してほしくないということを伝えたかったんです。

D750/24㎜/f16/SS1/3秒/ISO800/露出補正 自動/AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR

 

――子どもたちもたくさん写っていますね。
HALKA 最初はお母さんだけ撮っていたのですが、「いまはあっちに行っててね」って言っても写り込んできて、
それを見返したときに、親子の関係性が面白いなと気が付きました。
子どもは撮るたびにどんどん成長するし、それがまた面白いですね。女系家族の中で、次に男の子が生まれると、また空気が変わってきました。
私の中では子どもがイコールかわいい被写体ではなくて、
同世代と関わる感じと同じ接し方をしています。
弟ができる前は、お姉ちゃんは我慢して大人びた雰囲気を見せたり、逆に時々わがままを言って子どもらしさを出しているときもあったりして。
お母さんも、お母さんらしいところもあるけど、女性的なかわいらしい一面もあって。
どっちがお母さんかわからないときもありました。
女同士の親子関係が面白いなと思っていままで撮ってきましたが、
息子ができたことで彼女は、いままでの撮影より、よりエネルギッシュになっていました。
彼女の家庭は波瀾万丈だから、ただ淡々と撮っていても面白くない。
だからこそ、私が彼女についていくのも必死でしたね。

D750/85㎜/f5.6/SS1/100秒/ISO8000/露出補正 自動/AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR

 

――撮影で特に意識したのは、どういうところですか。
HALKA 意識したのは、「私にしか撮れないものは何だろう」ということです。
人間の内面と関係性を切りとりたいと思いました。
被写体と自分に生まれる関係性、空間の部分を切り撮りたい。
それは常に変化し続けるものだから、追いかけがいもあるし、見ごたえもあると思います。
メッセージ性もありドキュメンタリーでもある。それを常に意識して撮っています。
とにかく、誰かができることをやりたくない、自分にしかできないことをやりたい、そういうことを探しています。
マイペースな自分も保ちつつ、この人どういう人なんだろう、なんでこういう行動や発言をするんだろう、どういう生き方をしてきたからこういう考え方になるんだろうというのを気にして見ています。
私は分析することが好きで、その人の面白さを見出して被写体とコミュニケーションを取ることが好きです。その人自身に自分を投影しつつ、その人自身の成長を見ていきたいなと思っています。

D750/38㎜/f4.2/SS0.4秒/ISO100/露出補正 自動/AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR

 

――D750での本格的な撮影は初めてだったと思いますが、撮影してみていかがでしたか。
HALKA  D750はフルサイズなのに小型軽量なので、動いて撮るスタイルの自分にとってはありがたかったです。初めてのフルサイズ機なので、自分のスタイルで撮影したらどんな写真が撮れるだろう?と思っていましたが、あとから写真を見返してみて、明らかに解像度が良いと感じました。室内や夜のシーンが多かったので、その点でも助かりましたね。また受賞時にいただいたD750のレンズがAF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VRだったので、いままで使っていたレンズよりはるかに明るく、とても助かりました。絞り値をより開放で撮れたので、いままでの撮り方と変わって新鮮で、感動しました。

D750/24㎜/f3.5/SS1/125秒/ISO4000/露出補正 自動/AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR

はじめてのフルサイズ機D750を手にして新しい作品制作にチャレンジしたHALKAさん。
後編では、室内や夜のシーンで、D750で実際にどのように撮影していたのか、撮影時の様子について語ってもらいます。

◎HALKAさんが使用したカメラ
Nikon D750
・小型・軽量で画期的に薄型のボディー
・室内や夜など、暗い場所にも強い
・51点のフォーカスポイントが撮影画面中央部を広く高密度にカバーし、
高い被写体捕捉性能を発揮
・可動式液晶モニター
・スマートフォンやタブレット端末などワイヤレス通信ができるWi-Fi機能

インタビュー後半はこちら(9月30日公開)


STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

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