内藤由樹の海外武者修行ログ
vol.8 クスコで良い村を見つけた話


2012年関西で行われた日本最大級の写真イベント「御苗場」でレビュアー賞を受賞した注目若手作家・内藤由樹。
現在世界各地を旅しながら写真を撮影している。
http://yuki-naito.tumblr.com

クスコには、有名なマチュピチュがあります。
わたしも、せっかくペルーに居るし見に行こうかなあと思っていました。
そこで泊まった日本人宿は、卒業旅行の学生がいっぱい居ました。
全然その人たちは何も悪くないのだけど、ちょっと苦手な感じでした。
マチュピチュ行っちゃうぜイエーイ!地球の裏側まで来ちゃったぜイエーイ!みたいな。
昔から、イエーイ!みたいなのうまくできないです。わたしに社会性が無いだけです。
それで、共同キッチンの隅っこで独りで黙ってラーメンのお湯が沸くのを待っていました。
マチュピチュに行く道も、誰とも話せず独りで寂しく登るのかなあ…と考えるだけで
もう寂しすぎて心が折れそうでした。

宿で働いている女の子に
今の感じちょっと苦手なんだー
と相談すると、
じゃあわたしの村に来れば良いよ!なんもないけど!
と言ってくれました。
村に行くと日程的にマチュピチュには行けないのですが
なんかおもしろそうだったので、翌日からクスコの外れにあるその子の実家に滞在しました。

大きい湿原が村の中心にあり、馬とかブタとか羊とかがその辺にいました。
山があって川があって商店と公園と学校がありました。
宿の子が言う通り、人がわざわざ来るような見所があるわけではないけれど、いろんなものがありました。
道路のベンチに、地元のおばちゃんやおじちゃんたちが集まって昼間からビールを呑んでいて、
あんたも呑みなさい。と誘ってくれた。
その時はまだスペイン語が全然わからなかったけど、
せっかく外国から来たのにこんなとこにおらずにマチュピチュとか行きゃあいいのに。
とかいうようなことを言っていました。
それから、また別の地元の人の家で、ジャガイモをみたり、精肉しかけの山羊だか豚だかをみたり、
家畜のクイ(モルモットみたいな小さい動物で、ペルーの伝統料理に使われる)と戯れたりしました。

今はネットがあって、どこの国のイメージも簡単に得ることができて、
それに憧れて、そこに行くことが多いです。
でもきっと世界には、想像もしていないような、
それは人がわざわざ注目したり世界遺産になるような豪華なものではないかもしれないけれど、
綺麗なものとか、好きになれそうなものがたくさんあって、
できればそういうものをたくさん見たいと思います。

自分で見つけたものはちょっとだけ、見に行った何かよりも特別です。
もちろんマチュピチュにも行きたいです。
次はぜひ。

  

内藤由樹 / ないとうゆき
1987 年大阪府生まれ。2013年 キヤノン写真新世紀 佐内正史選・佳作/第2回御苗場夢の先プロジェクトグランプリ/キヤノンフォトグラファーズセッション ファイナリスト/2012 年 御苗場vol.11 関西 レビュアー賞/写真集に「being」(2013年・TIP BOOKS)がある。

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