【本誌連載】現代アイドル写真論



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Vol.1 アイドルこそ 最大の写真活用者

 きっかけは秋葉原だった。
 写真を研究する者として、私は写真の「今」を探している。誰もが気軽に写真や映像を撮影できる現在、写真を最大限に活用しているのは、どのような存在なのか。
 ふと、アイドルのトレーディングカードを路上で見せ合うファンを見かけた。アイドルと写真──。アイドルの周辺ほど、写真の収集に励み、熱狂し、夢中になる人々はいないのではないか。このとき、先ほどの問いに光明が差したような気がした。
 アイドルという未知の世界。「アイドルと写真」といっても、AKB 48やももクロ、グラビアアイドルなどの女性アイドルと、男性アイドル、とりわけジャニーズ事務所に所属する男性アイドルでは、写真の活用の仕方に大きな違いが見られる。前者の多くはブログやSNSを駆使し、セルフポートレイトやプライベート写真を自ら拡散する。チェキ撮影会も盛況だ。最近では「グラドル自画撮り部」なるものも登場した。
 それに対してジャニーズアイドルは、自前のブログやSNSを持たず、ファンや他社によるWebでの写真使用も著しく制限されている。その一方で、顔写真入りのウチワは光GENJIの時代から「公式グッズ」として販売され、ライブの盛り上がりに一役買っている。
 女性アイドルが積極的に写真というメディアを駆使して、日常空間と地続きにファンと交流を図っているのに対して、男性アイドルはむしろ写真の活用を制御することで、事務所側が提供したいパブリックイメージを遵守しながらファンと交流しているように思われる。
 写真をひとつのコミュニケーションツールとして見ると、アイドルをめぐる様々な関係性(アイドル本人、事務所、媒体、ファンなど)が、写真というハブを介してつながっていることに気づく。このツールとしての写真のあり方は、今の日本を見ていく上でも重要な鍵となりそうだ。この連載では、写真を介したアイドルとファンの「交流」を、現場の目線から調査報告していきたい。

調文明 / しらべぶんめい
11980年東京生まれ。写真史/写真批評。日本女子大学/京都造形芸術大学/東京綜合写真専門学校非常勤講師。『アサヒカメラ』『日本カメラ』などで執筆中。

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