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内藤由樹の海外武者修行ログ vol.26 滝を見に行ったら大家族と仲良くなった話

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2012年関西で行われた日本最大級の写真イベント「御苗場」でレビュアー賞を受賞した注目若手作家・内藤由樹。
世界各地を巡り、現在ペルーにある「Centro de la imagen」のマスタークラス在籍中。
http://yuki-naito.tumblr.com

渓谷の次の日には滝を見に行きました。
渓谷と同じくコレクティーボという乗り合いミニバンで。
隣に座ったおばちゃんがずーーーーっと話しかけてきて楽しかったし
降りる場所も教えてくれて乗り換えも手伝ってくれた。
車を2つ乗り継いで、バイクタクシーに乗って、3時間くらいかかってやっとたどり着きました。

そこは大きな自然公園になっていて、バーベキューをするところやハイキングコースがあって
メキシコ人がたくさんいました。
頂上の滝まで1時間半登ります。
途中、とても大きなおばちゃんが2人、前を歩いていて、挨拶をして追い越しました。
登りきってメインの滝のところで休憩していると、さっきのおばちゃんたちが来て、
綺麗だねえと言いながら一緒に見ました。
私はそこで終わりだと思っていたのだけど、まだ先があるらしくおばちゃんに誘われたので共に進んだ。
おばちゃん2人と、がんばれがんばれって言いながら、後ろからお尻を持ち上げたりしながら、
なかなか苦労して登りましたが着くとすぐに
下からの方が良かったねえ。帰ろう。
と言われてしまい、30秒で引き返し、入り口まで一緒に下山しました。
大きいおばちゃん2人の補助をしながら。めちゃ疲れた。楽しかったけど。

実は山の下の方で家族みんなでバーベキューしているらしく、食べていきなさいと言ってくれた。
下には20人くらいの大家族がいた。
その日はちょうど母の日だったのでおばちゃんのお母さんを主役に親戚一同が集まったらしい。
とても、仲のいい、一族だった。
タコスとか、メキシコの家庭料理をごちそうになりました。
お腹いっぱい食べて、たくさんみんなと話して、じゃあ私行きますーと去ろうとすると、
送ってあげるからゆっくりしていきなさいと言われたのでお言葉に甘えて昼寝した。
有り難いが、何もお礼ができないので、せめてもと家族の集合写真を撮らせてもらってメールで送りました。
良い記念写真になったらいいなあ。

帰り道、小さめの後部座席に、大きいおばちゃん2人と私でぎゅうぎゅうになりながら楽しく帰りました。
都会の満員電車に乗っている人はこんな感じなのかなあと思いました。
何か日本の曲をかけてと言われたのでももクロをかけたら大ウケしていました。

宿に帰って、
そうかあ、母の日かあ。
と、母親に長いメールを書いて、やっぱり送るのをやめてしまいました。

内藤由樹 / ないとうゆき
1987 年大阪府生まれ。2013年 キヤノン写真新世紀 佐内正史選・佳作/第2回御苗場夢の先プロジェクトグランプリ/キヤノンフォトグラファーズセッション ファイナリスト/2012 年 御苗場vol.11 関西 レビュアー賞/写真集に「being」(2013年・TIP BOOKS)がある。

※以降は作品制作へ専念するため、不定期連載となります。

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