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写真家の履歴書 vol.1まるやゆういち《後編》


商業カメラマンとして働く人から、作家として作品を作り続けている人まで。
さまざまな写真家がどうやって写真家として独り立ちするようになったのか。
写真家の経歴を紐解く不定期連載です。

初回にお話をお伺いしたのは、フォトグラファーのまるやゆういちさん。9月からはじまる「PHaT PHOTO」写真教室のプロ養成講座の講師も務めるまるやさんに、ぜひ聞いてみたかったフォトグラファーになった頃のこと、プロになるためのヒントなど、いろいろ教えていただきました。前編、後編の2本立てでお届けします。

後編では、プロフォトグラファーの営業の仕方や、大切なこと、現役で活躍するまるやさんだから語れることをお伝えいただきました。
★前編はこちら!

プロ養成講座を実施するTIPのスタジオにて

 

まるやゆういち

1974年 青森県に生まれる。2000年 タヒチの美しさに惹かれ写真を始める。2003年 「PHaT PHOTO」写真教室ビギナークラスの自己紹介でプロになります宣言をし、同年プロ養成講座2期生となる。2004年 写真家テラウチマサトのアシスタントとして幾多の現場を経験。2005年〜2011年 タレント/モデル/経営者/著名人など1000名以上の撮影実績を重ねつつ、写真教室事務局の運営もこなすと同時に撮影講師としても活動、のべ500名以上の生徒さんにレクチャー。2011年 初の写真教室文化祭を見届けると同時に独立。2017年現在 フォトグラファー/撮影講師、両方の活動を精力的に行い、その実践に裏付けされたテクニックとわかりやすい指導に生徒さんからの信頼も厚い。

 

◆上手いだけでは仕事はこない

――プロとして独立した後は、具体的にどんなことをされていたんですか?

まるや まず自分の名刺を作った後に、フォトグラファー募集のサイトに登録をしていきました。その時のことは正直あまり覚えていないのですが、ぽつぽつ撮影をしていたのだと思います。

――プロのフォトグラファーになって、現在の写真業界や仕事に対して気づいたことはありますか?

まるや すごくプラットフォームが増えているということですね。プラットフォームというのは、クリエイターをつなぐマッチングサイトのこと。今は、BtoBの仕事だけではなく、家族出張撮影とか、カップル撮影とか、いわゆるBtoCの仕事もすごく多い。ラブグラフさんやアワーフォトさんなど、撮りたい人はそこに登録しておけば仕事が発生する可能性が高い。僕は大工さんをやりながら結婚式の写真の営業をしましたが、それが今ではプラットフォームに登録するという、もっと簡単な方法でできる。そういった意味では、まずセミプロを目指しやすいです。僕のプロの定義は写真が上手いという意味だけではなくて、それで生活が成り立っているという意味なので、また別の次元なんです。上手いからだけで仕事が来るわけではないと思っています。

――どうして仕事が来るんですか?

まるや 少し僕から質問しますね。美容室に行って髪を切られていると思いますが、どうしてそこのお店に行っていますか?

――安かったから…ですかね。上手いかはわからないんですけど。

まるや それと同じです。みんなは上手いから仕事がくると思っています。それは正論中の正論だけど、それだけでは続かない。僕はこれをプロ養成講座の1番最初に言います。お客さんとの一番最初の接点は「上手い」ではない場合が多い。友達の紹介かもしれないし、SNSかもしれない。一番最初はとにかくなんらかの形で自分のことが「知られている」のが大切です。その上で値段が適切であるとか、仕事が早いとか、コミニケーションが気持ちいいとか、そしてもちろん上手である、とかになりますね。

――上手いだけではなく、他にもいろいろな要素が必要なんですね。では、フォトグラファーとしてのご自身はどうですか?

まるや 僕は仕事をできるだけ速くしようと思っています。メールの返信とかも含めて。速いだけで、正義なんです。例えば、どれだけ写真が上手な人でも、メールの返事が3日かかる人と、写真の出来は普通だけど5分後に返事が来る人では、5分後に来る方が安心しませんか?

――そうですね、ちゃんと見てくれているんだなと思って安心します。

まるや 安心するし、そもそも依頼をしてくれる人の時間を節約できるんです。ボールは、来たらすぐに返して自分の手元にない方がいい。さっさとやる。それだけで相当強みになります。これは写真だからというだけではなくて、仕事全般におけることだと思います。スピードは大事な仕事の質の1つです。スピードそのものが仕事ですね。

 

◆プロを目指す人へ

――プロを目指す上で、大切なことはなんだと思いますか?

まるや 今はネットへの投稿が簡単にできる時代だから、自分から発信してみることが大切だと思います。それと、僕がやっていることとして、マッチングサイトに登録をする。でもやっぱり、その中で他大勢に埋もれ始めるんですよ。なりたい人はいっぱいいて、やれることも大体同じだから。そこで奇をてらう必要はないとは思うんだけど、でも自分である理由というのは常に考えるべきだと思う。すごい写真を撮れというわけではなくて、返信が早いとか、人当たりがいいとか、服に気を遣っているとか。そういう社会人として当たり前の些細なことが、自分である理由に繋がるんじゃないでしょうか。

――発信することは個人でもできると思うのですが、技術的な面に関しては、誰かに習うことによって学んだほうがいいと思いますか?

まるや 誰かに学ぶのは必要だと思います。やっぱり自分が見る視点というのはすごく限られるので。僕も最近、いろんなフォトグラファーさんのセミナーに参加したりして、そこでいわゆる売れっ子の人たちが何をやっているのか、何を考えているのかというのを取り入れるようにしています。インプットを常に良質なものにすると、それはアウトプットに繋がると思います。写真教室やプロ養成講座しかり、学びを得る場所は様々あると思いますよ。ラーメン屋さんに行っても店員さんの行動とかを見ていたりします。

――まるやさんは、現在フォトグラファーとして活動しながら、プロ養成講座の講師もやられていますよね。講座では、どんなことが学べるんですか?

まるや プロ養成講座では、フリーランスのフォトグラファーとして一通り仕事をこなせるのをコンセプトにしています。ストロボの使い方や、露出計の測り方、光の質の見分け方など、独学で学ぶには難しいことを色々と教えています。また、大切なのが請求書の書き方や、納品の方法、営業の仕方。そもそもその撮影の値段の付け方とか、最初は分からないじゃないですか。撮り方だけではなく、誰にも聞けないようなこともきちんと伝えたいと思っています。

――どんな人たちが通われているんですか?

まるや みんなプロを目指しているかと思いきや、実際のところ、それは全体の一割か二割です。大体が趣味の延長線上で、写真は今までやってきたけれど、ライティングやストロボが分からない。突然そういう知識が必要になった時に困ってしまう。そんなアマチュアの方がほとんどです。ただし、プロ養成講座なのでマナーやルールはきちんとレクチャーします。みんな志を持ってはいるけれど、自分が一番下手じゃないかと思う方が多くて、でも全員同じことを思っているからスタートラインは一緒。だから、本気でプロになりたいという方はもちろんのこと、ライティングを知りたいという方は、安心してぜひ、参加してみてほしい。同じ場所から出発する大切な仲間を待っています。

 

時折こちらに質問を投げかけながら、丁寧にそして熱く取材に答えてくださったまるやさん。プロフォトグラファーであっても、どんな仕事であっても、大切なことは同じであるということに気づかせてくれる、素敵なお話でした。

そんなまるやさんが講師をつとめるプロ養成講座24期は2018年4月よりスタートします。

2/11(日)、3/11(日)には、まるやさんによる無料説明会があるので、参加を迷っている方や授業内容をもっと詳しく知りたい!という方はぜひご参加ください。

プロ養成講座24期募集中!

【無料説明会】2018/2/11(日)、3/11(日)9:30~10:15/参加費無料
【カリキュラム・スケジュール】※時間はすべて10:30~18:30、途中休憩を含みます。
〈第1回〉2018/4/22(日):プロという意味/機材の種類・セッティング/光の種類ほか
〈第2回〉6/10(日):露出計の測り方・見方 人物撮影と1灯ライティングほか
〈第3回〉7/8(木・祝):人物撮影と1灯ライティングのバリエーション
〈第4回〉8/5(日):人物撮影と1/2灯ライティングのバリエーション
〈第5回〉9/9(日):人物撮影と各種ライティングの読み取り・バリエーション
〈第6回〉10/7(日):人物撮影と日中シンクロ(外ロケ編・都内公園予定)
〈第7回〉11/11(日):人物撮影と日中シンクロ(室内編)
〈第8回〉12/9(日):人物インタビュー撮影
〈第9回〉2019/1/6(日):料理撮影(基本編)
〈第10回〉2/10(日):料理撮影(応用編)
〈第11回〉3/10(日):プロダクト撮影
〈第12回〉4/14(日):営業実務の実際/各自プロフィール写真撮影

説明会・お申込みの詳細はこちら


STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

フォトディレクターの推し写真集

まちスナ日和