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糸崎公朗 オリジナル作風の写真と改造カメラワールド



 カメラについていえば、僕は自分で多くのカメラを作ったり改造したりしています。撮影の必要から作ったカメラもありますし、新たなアイデアにより作ったカメラから新しい写真表現が生まれる事もあります。例えば影絵カメラ(下写真)。これはオリンパスのコンパクトカメラに木工細工の箱を取り付けて、影を写せるようにしたものです。スピーカーのような木の箱を作ってカメラに固定し、その先に紙を取り付けてそこに影を映して撮ります。実は影には意外と立体感があって、遠くの影はボケるんですね。今後はこのカメラで作品を撮りためて、個展を開催できたらと考えています。

 それともうひとつ、今までで一番凝ったのが、一眼レフ用の標準ズームレンズを逆さまにカメラに取り付けたものです。これは昔から知られている手法なんですけど、このようにして取り付けると標準ズームレンズが高倍率のマクロレンズになります。しかし、今のカメラは絞りやピントの制御を電気で行っているため、レンズを逆さまに取り付けた時にも作動するように電気的な改造が必要です。そこでコードを取り付け、昔のプラモデルで培った技術で薄いパーツを加えて製作しました。この改造レンズで撮影すると、例えば千円札紙幣の「1000」という文字の下にある「NIPPON GINKO」の小さな文字までクッキリと写せます。

 ちなみにこのレンズは、2本作っています。実際に改造しないとどのように写るかわからないので、まずは旧式のレンズで挑戦してみました。その性能に概ね満足しましたが、その後でより性能の高い新型ズームレンズを手に入れたので、これはもう1回頑張って作るしかないなと思ったのです。それで同じように改造を施し、さらにそのレンズに合うように市販のストロボを分解して、とても薄くてコンパクトなマクロストロボも作りました。これで花を撮ると、ツユクサなら細胞まで写せるんですよ。


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