第6回ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展で金獅子賞を受賞した宮本隆司の写真展『いまだ見えざるところ』が東京都写真美術館で開催


〈ソテツ〉より 2014 年 作家蔵 ©︎Ryuji Miyamoto Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

2014年に開催された「徳之島アートプロジェクト 2014」のために撮影された写真。徳之島にはソテツの群生地があり、その新芽のクローズアップを撮ったもの 。ソテツは南方の島の明るいイメージを持つ植物ですが、この地方にとって は、万が一の飢餓に備えて植えられている「救荒食品」として知られています。 この島の風土や歴史を象徴する存在です。

 

国内外の美術展などで発表を続ける宮本隆司の個展『いまだ見えざるところ』が東京都写真美術館で7月15日(月・祝)まで開催されています。

宮本隆司は建築雑誌の編集部を経て、1975年写真家として独立。建築の解体現場を撮影した『建築の黙示録』(1986年)、香港の高層スラムを撮影した『九龍城砦』(1988年)で高い評価を受け、第14回木村伊兵衛写真賞を受賞しました。

また第6回ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展では、阪神淡路大震災によって破壊された建築物を撮影した写真を展示して金獅子賞を受賞し、現在も国内外の美術展などで発表を続けています。

今回の展覧会では、初期の作品からアジアの辺境や都市を旅して撮影した写真や、両親の故郷であり、自身も幼少の一時期暮らしていた奄美群島・徳之島で取り組んだピンホール作品を展示。

《サッポロビール恵比寿工場》1990 年 作家蔵 ©︎Ryuji Miyamoto Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

恵比寿ガーデンプレイスの前身であるサッポロビール恵比寿工場の解体作業の間に撮影された写真。宮本は解体の始まる直前まで 6 年間、隣接するマンションに住んでいた縁もあり、1 年かかった解体工事を長期間記録していました。

《面縄ピンホール 2013》 2013 年 作家蔵 ©︎Ryuji Miyamoto Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film

2歳過ぎまで面縄(おもなわ、徳之島の伊仙町)で暮らした宮本。その頃に見たはずの海辺に自作の大 型ピンホールカメラを設置し、内部に作家自身が入り込んで撮影した作品。

作家が写した「いまだ見えざる」と感じる人や場所は作者にとってどのような意味を持つのか、長いキャリアを持つ写真家の全貌が知れるとともに、〝被写体を見つめること〟について改めて考える機会となりそうです。

宮本隆司 写真展『いまだ見えざるところ』
会期:開催中~2019年7月15日(月・祝)
会場:東京都写真美術館 2階展示室
開館時間:10:00~18:00(木・金は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(ただし 7 月 15 日[月・祝]は開館)
観覧料:一般700(560)円/学生600(480)円/中高生・65歳以上500(400)円
※小学生以下および都内在住・在学の中学生、障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料
※第3水曜日は65歳以上無料

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