PROFILE
長谷川美祈 Miki Hasegawa
1973年生まれ。昭和女子大学卒。設計士として働いた後写真家として活動を始動。初のアーティストブック「The Path Of Million Pens」は 2014年Unseen Dummy Award (オランダ)ファイナリストに選出され、世界中の写真集関係フェアなどにも選出されるなど評価を得た。2019年日本の児童虐待をテーマにした写真集「Internal Notebook」をCEIBA editions(イタリア)から刊行。Pictures of the Year International(アメリカ)やThe Centro de la Imagen (ペルー)で写真集賞を受賞。現在も日本における子どもや女性の社会問題をテーマにプロジェクトを継続中である。
INTERVIEW
YOU AND ME everyday everywhere everytime
2018年6月27日、義母は息を引き取った。
義父は、診断書の整理をしながら「なぜもっと早く癌に気付かなかったのか」と義母の話をすれば泣き、怒った。夫は、自身の母の病気も死も受け入れていないように見えた。 娘は涙を見せることはなかった。
半年ほと経った頃、義父が写真の整理をし始めた。
私も義母の人生をアルバムから辿ってみた。
恋人になり始めた頃の2人の写真に「YOU AND ME everyday everywhere everytime」と義父が手書きで添えているのを見つけた。
いつ何時もどこにいても一緒だったはずの「あなた」はもういない。
ソファに座る2つの後ろ姿は1つになり、階下からかつて間こえていた2人の
声は、一日中響くテレビの音に変わった。
ふとキッチンを見ると、義母が育てていた蘭が花をつけていた。