PROFILE
渡部さとる Satoru Watanabe
1961年山形県米沢市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ、報道写真を経験。同社退職後、フリーランスとして、ポートレートを中心に活動。2006年よりギャラリー冬青にて作家活動を本格的に開始。
コレクションに、アテネ国立美術館(ギリシャ/2011年)「da.gasita」、グリフィン美術館(マサチューセッツ/2009年)「da.gasita」「TokyoLandScape」、ケ・ブランリー美術館(パリ/2007年)「traverse」。
主な写真集に『demain』(冬青社/2017年)、
『prana』(冬青社/2014年)、『da,gasita』(冬青社/2012年)など。
INTERVIEW
demain デュマン
「フランス人の友人が別れ際"à demain"と言って子どものように手を振る。"demain" は明日という意味だと教えてくれた。そういえば、幼い頃友だちと別れるときはいつも『また明日』だった。」
渡部さとるの作品<demain>はそんな文章から始まる。
「こうあるべき」という写真のルールを積み重ねた先に行き詰まりを感じていた渡部は、屋久島で1冊の古いアルバムと出合い、80年ほど前の誰が撮ったかもわからない写真に震えるような感動を得る。そこから、写真とは何か、その原点に戻り、新しい写真の在り方の再構築を試みた作品。
ステートメントはこう結ばれる。
「日本では、古くから夏の終わりには亡くなった人々の魂が現世に帰ると信じられている。家の中にはそれを迎えるためのお供え物をし、彩りをそえるように走馬灯が回る。クルクルと一瞬も止まらない様子に人の世を重ね合わせている。それは過去もなく、未来もなく、ただ今のみが存在することを現しているように見える。」