－この作品を撮影することになったきっかけを教えてください
昨年、原宿で開催されていたイラストレーターの方々のグループ展を鑑賞した時に、イラスト作品では発色が良いインクが使われていることに気付きました。

そこで、私は、彼らの作品の真横に展示できるような、発色が良くてインパクトがある写真作品を作りたいと思ったことがきっかけです。つまり、イラスト作品を仮想ライバルとして、今回の作品を制作しました。また、リソグラフで写真データをフルカラー印刷した経験も活かしたいと考えました。

－作品のテーマ、コンセプトを教えてください
この組写真では、日本絵画の琳派のエッセンスを写真で表現することを試みました。梅の花を、空を背景にして、35mmフィルムで撮影しました。もう１つ挑戦したことは、絵画の質感や発色を、写真の枠組みで再現することでした。この組写真の背景は、アクリル絵の具でペイントしました。

組写真としての全体の構成のみならず、単写真として切り出しても、額装してインテリアとして引き立つような作品を制作することに努めました。

－この作品で一番伝えたいことはなんですか？
梅の花の美しさを、線と余白で伝えようとしました。

－作品をつくる上で苦労したことはありますか？
御苗場において、今回の作品を写真として評価いただけるかどうか不安に思っていました。

－作品に対する熱い思いを語ってください！
今回の作品は、メッセージをどのように伝えるかという点のみならず、完成後の作品がどのような環境に置かれるのかも考えました。

そこで私は、ニューヨーク大学のPhotography & Imaging部が主催するグループ展に出展したら、という仮想の設定をしました。おそらく同学部では、世界各国からダイバーシティあふれる生徒たちが在籍していると思うので、作品もインパクトが強いものが集まるはずです。

このような環境下で作品の差別化するために、私は生まれ故郷である日本の文化を取り込んだ作品を制作しようと考えました。つまり、仮想ライバルその２は、ニューヨーク大学Photography & Imaging部の学生でした。

－今後目指していることなどあれば教えてください。
私は、たとえ組写真でも、１枚１枚の写真に、色気（性的な意味ではなく）やエンターテイメント性、キャッチーな要素などが強めに含まれている方が良いと考えています。たとえば、写真集の観賞で例えると、写真集が提示するストーリーを無視して、いきなり途中のページから鑑賞しても、引き込まれるような魅力があるカットが並んでいる写真集が良いと考えています。

なぜなら、普段、写真作品に慣れ親しんでいない知人・友人・家族にも、展示会場に飾った自分の作品を楽しんでいただきたいからです。このようなアプローチは、写真や美術の歴史の流れでは異端かと思いますが、今後も作品制作のメイン・ターゲットは、知人・友人・家族と捉えていきたいと思います。

TOKYO Takashi

1972年、東京都生まれ。上智大学経済学部経営学科卒業。
2013年に初めてデジタル一眼レフを買ったことをきっかけに写真を始める。いろいろな種類のレンズをカメラに装着して、オフィスビルのプランターに植えられている季節の花を毎日撮ることで、カメラの基本的な操作を覚えた。普段は、ランドスケープから物撮り、部屋撮り、ポートレートまで、ジャンルを絞らず撮影。フィルムカメラとデジタルカメラを、案件に合わせて使い分けている。また、照明についても、ポータブルな機材を組み合わせて、案件に応じて多灯ライティングのセッティングまでしている。

Instagram：@takashidongjing
Tumbler：
https://yamanote-line.tumblr.com/ （日本で撮影した写真）
https://taiwan-films.tumblr.com/　（台湾で撮影した写真）