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御苗場vol.26 ジム・キャスパー選出 受賞者インタビュー<水池葉子>

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全面オンラインで開催した御苗場vol.26の受賞作品を紹介。選出理由と受賞者インタビューをお送りします。

本記事で紹介するのは、ジム・キャスパーさんが選出した、水池葉子さんの作品とインタビューです。
まずは、水池葉子さんの作品が選出された理由から。

ジム・キャスパー(レンズカルチャー共同創業者・編集長)) 選出理由

この写真作品は、軽快で、遊び心があり、同時に哲学的です。シリーズとしてまとめて見たとき、鑑賞者は写真家の目を通して、気まぐれで、それでいて瞑想的な方法で物事を見ることを促されます。それはこの作家の独特な物の見方であり、孤立した無生物のオブジェたちからは、活発なキャラクターを連想させます。ステートメントにある「野良」に関する言及も、写真家の視点とこの作品の動機となった意図をさらに理解するのに役立ちました。

続いて、水池葉子さんのインタビューです。撮影のきっかけやコンセプトについてお伺いしました。

水池葉子『のら』

ぽつりと置かれた「のら」

-作品のテーマ、コンセプトを教えてください
街中にゴミのようにぽつりと置かれた物を「のら」と名付けました。
生産されたときに与えられたはずの役割や所属を失った「のら」達の人生(モノ生?)を通じ、自分を自分たらしめるもの、アイデンティティについて考察することをテーマとしています。

「のら」に表れる人生にも似た物語

-この作品を撮影することになったきっかけを教えてください
最初は「のら椅子」「のらネギ」「のら金次郎」など、語感の楽しさから落とし物に興味を持ち、見つけては撮影し収集していました。

1枚1枚は撮るに足らない写真たちなのですが、大量に集まった「のら」を改めて見返した際、ひとつひとつの「のら」達にも人生にも似た物語がある事に気づき、作品としてまとめられるのでは?と思ったのがきっかけです。

さらになぜここまでのらに惹かれるのかを考えるようになり、旅の中で知らない街をさまよい「のら」を見つけてはシャッターを切る、その行為をする自分自身が「のら」である事に気づいて今回の作品となりました。

-作品をつくる上で苦労したことはありますか?
「のら」のイメージをポジティブにもネガティブにも固定化したくないので(のら化することが一概に悪い事とは言えないと考えている)ので、写真の仕上げ方に苦労しています。
さらに、さまようイメージ(アイデンティティの拠り所を探すイメージ)を伝えるためのBOOKのシークエンスの組み方にもいまだに苦労しています。

1度目と2度目で見え方が変わるBOOK

-作品に対する熱い思いを語ってください!
「のら」の生態を見るだけでも面白いので、BOOKを1回目はただ楽しんで見て、最後の文章を読んでからもう一度最初から見てもらいたいと思っています。
1度目と2度目で見え方が変わってくださると嬉しいです。

-今後目指していることなどあれば教えてください。
「のら」についてはBOOKの出版や、個展を開催してより多くの人に作品を見てもらえる機会を持ちたいと考えています。
写真作家としては「日常の違和感」を大きなテーマとして撮影しており、日常の風景の中のちょっとした「不思議」「違和感」を感じる光景から、想像の翼を広げ、物語を想起する、そんな作品を作り続けていきたいと思っています。

水池葉子

写真作家/PhotoCircle SKIP主宰/JPIO(日本写真講師協会)認定フォトインストラクター
1973年、広島県生まれ。兵庫県立大学理学部生命科学科卒。高校生の時にコンパクトカメラで写真を撮ることの楽しさに気づき、学校行事等でクラスメイトの写真を撮り始める。その後写真から離れるが、結婚後、夫の海外勤務に帯同し色々な国に長期滞在するもいい写真を撮ってきていなかったことに気づき、本格的に写真の勉強を始める。様々な写真教室やアートスクールで学んだ後、現在はニコンカレッジやフォトカルチャー倶楽部の撮影実習アシスタントの仕事をしている。

Yoko Mizuike Web Portfolio : https://mizuike-yoko.amebaownd.com/

■受賞歴
2019 「関西御苗場2019」PhotoCircleSKIP グループ賞受賞
2019 「第4回世界旅写真展」(審査員・野町和嘉/中村風詩人)ファイナリスト

■個展
2015 「小さな風景~アメリカのかけら~」ギャラリー・アビィ(大阪)
2017 「小さな風景~せとうちのかけら~」ギャラリー・アビィ(大阪)
主宰したグループ展
2013-2015 「Harvest+ vol.1-vol.5」アイギャラリー(大阪)
2015-2019 「Photo Circle SKIP写真展」アイギャラリー(大阪)

■グループ展
2019 「Photoholic 2019」京都写真美術館(京都)
2019 「Nagy Indépendants」神戸アートビレッジセンター(兵庫)
2019 「第4回世界旅写真展」BEHIND the GALLERY(東京)
他、関西のギャラリーを中心に出展多数

■個展開催
水池葉子写真展「ふしぎな旅」
開催会期:2020年10月14日(水)~10月18日(日)
開催場所:ギャラリー・アビィ(大阪)

STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

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