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御苗場2019 小松整司選出 受賞者インタビュー<GENTAROABE>

Event, 御苗場


2019年2月28日(木)~3月3日(日)までの4日間、横浜・大さん橋ホールにて開催された日本最大級の写真展イベント「御苗場2019」。270以上の写真好きによる個性豊かな展示のなかから選ばれた作品を紹介します。

本記事で紹介するのは、小松 整司さんが選出した、GENTAROABEさんの作品です。

GENTAROABE 『無題』

小松整司(エモン・フォトギャラリー ディレクター)選出理由

私は御苗場の審査員として2011年から参加させていただいているのですが、2011年にレビュアー賞に選んだのはKiiroさんでした。彼とは御苗場をきっかけに、私のギャラリーのアーティストとして、パリ・NY・上海・ベルギーと世界を超え、EMON PHOTO GALLERYでは6回の展覧会をやってきました。他にもMOTOKIさんも含めて、御苗場でレビュアー賞を差し上げた方が、私のギャラリーでアーティストとして育っています。

いつも、彼ら彼女らに次に続くアーティストを御苗場に探しに来ているのですが、今回それにふさわしい方として、GENTAROABEさんを選ばせていただきました。彼の作品がユニークだなと思うのは、非常に多様性のある被写体を選ばれているところです。そこに新しい可能性を感じました。これからもどんどん作品を作っていただき、写真家として活躍してくれることを期待しています。

GENTAROABEさんインタビュー

作品のテーマ、コンセプトを教えてください

特別なテーマはありませんでした。御苗場用に作品を撮ったわけではなく、これまで撮影したものをポートフォリオ的に見てもらおうとしたことが始まりです。ただ、自分はデジタルで撮っているので、印画紙にプリントするとツルツルとして、どこかプラスチックの様な冷たさを感じるような気がしたので、和紙に印刷してみたいと思いました。

また障子紙用の和紙であれば背後からの光を感じられるので、それをどうやって表現したら良いかを考えたら、障子のような格子状のフレームがいいのではないかと思い、組み木を作って塗装したり、ライトボックスを中古で購入したりして展示の仕方を考えました。また和紙は出身地である岐阜県の美濃和紙にこだわりました。

この作品で一番伝えたいことはなんですか?

フレームに入れた数枚の作品は、自然界と人工物の対比をしているようにも見えます。私たちの身の回りのほとんどは、人間が手を加えたものばかりです。時には人間が手を加えていないものにも意識を向けてみよう!という問いかけになれば嬉しいです。


この作品を撮影することになったきっかけを教えてください

レビュアーの小松さんには、多様な被写体を選んでいるという点で評価していただきましたが、写真を始めてまだ間もないので、とにかくいろいろなものを撮ってみようと、被写体の選択や、撮影方法、現像方法をいろいろ試したことの結果に過ぎません。しかし、やってみたけど全然イメージ通りにならない、という場合がほとんどです。

作品をつくる上で苦労したことはありますか?

障子型フレームを自作したことです。ホームセンターで材料を買って、切って、削って、塗装して、自立させる方法をどうしようかなど頭を悩ませました。でもすごく楽しかったです。写真をきっかけにして、街や山を歩いたり、日曜大工で手作業をしたりと、趣味の幅が一気に広がりました。また写真そのものは、ほとんどがRAW現像で何かしらの手を加えています。

作品に対する熱い思いを語ってください!

個人的な視点ですが、写真は作者の人間性が表れやすいものではないかと思っています。頭の中のイメージを形にするために絵を描いたり、踊ったり、楽器を演奏することは、相当の身体的な技術が必要ですが、カメラは機械の操作に任せる部分が多いので、シャッターを切るだけでその人の感性がアウトプットできてしまいます。その点で、私の場合は写真を通じて何かを人に伝えたいというよりは、いま自分のアイディアが何に向かっているのかを自己認識する手段として捉えています。

今後目指していることなどあれば教えてください。

今回レビュアー賞をいただけたことは、全く考えていなかったことなので、嬉しさもありますが、まだ驚きの占める割合が大きいです。私は写真はもちろん、芸術全般に対する学術的な知識や技術はないので、深く掘り下げるような活動は難しいと思います。しかし評価を頂いたことを真摯に受け止めて、自分なりにできることにチャレンジしてみたいと思います。

また漠然としたイメージでしかありませんが、情報技術の進歩によって、写真や芸術が誰でも手軽にアクセスできるものになりつつある今、途上国や貧困、あるいは医療や福祉、人権問題の解決など、SDGsにも見られるような今後のユニバーサル社会の発展に向けて、その役割が大きなものとなっていくことを願っています。

GENTAROABE

岐阜県出身、東京都在住。仕事のプロジェクトで使用するために一眼レフカメラを購入。結局その仕事はうまくいかなかったが、自分の趣味として写真をはじめることに。「写真は誰にも邪魔されないし、急かされることもないし、自分のペースでアイディアを探しに行こう」というスタンスで日々写真を撮っている。「みんなのポートレイト展2018」出展、「PHaT PHOTO写真教室文化祭2018 Re*」にて「マンフロット賞」受賞。

Instagram:www.instagram.com/gentasweetback/
その他サイト:https://500px.com/info4098

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