関西御苗場2018 digmeout(谷口純弘・古谷高治)選出 受賞者インタビュー<小野友暉>
2018年9月14日(金)~9月16日(日)までの3日間、大阪・海岸通りCASOにて開催された日本最大級の写真展イベント「御苗場」。100名以上の写真好きによる個性豊かな展示のなかから選ばれた、作品を紹介します。
本記事で紹介するのは、digmeoutの谷口純弘さん・古谷高治さんが選出した、小野友暉さんの作品です。
小野友暉 『She is…』
digmeout (谷口純弘・古谷高治) 選出理由
とにかくめちゃくちゃ良かった。
女の子を「愛しく」撮ることって、なかなかできないのですが、被写体の女の子への愛しさをすごくよく写していると感じました。
写真の上手い下手、テクニック、モデルの良し悪しではなく、「好きだ!」という写真の撮り方ができていて、実はそれはすごい才能だと思います。佐内正史さんの「君になりたい」という写真集があるのですが、その写真集を思い起こさせてくれました。
instagramも女の子を撮っていて、それも非常に良かった。思わずフォローしてしまいました。
小野友暉さんインタビュー
作品のテーマ、コンセプトを教えてください
思春期を迎える18歳の女の子と一緒に過ごした時間。最後の少女時代を過ごす彼女との思い出。
この作品で一番伝えたいことはなんですか?
誰もが感じる若い頃の思春期の悩みや葛藤、そして恋心。内側の素の本当の自分。
この作品を撮影することになったきっかけを教えてください
出会った頃のモデル、かんばらふうこさんは妙に大人っぽく、逆にこちらが緊張して気を遣ってしまっていました。でもそれは「外側の彼女」の部分。
時間が経つにつれて、彼女が心を開いてくれて、徐々に彼女の内側が見えてきて、ふと思い出しました。僕も同じ年の頃、青年時代を迎えているとき、大人達に対して心を開いていなかった。というより開くことができなかったと。
その頃の僕は「外側の自分」ではなく、「内側の自分」をたくさんの人に見て理解して欲しかった。
僕はその想いが通じることなく大人になってしまいましたが、彼女はまさにこれから大人になろうとしているところ。
心開いて、「内側の自分」を僕に見せてくれているからこそ、僕はカメラを通して、「彼女のいろんな姿を残したい」と思ったのがきっかけで撮り始めました。
作品をつくる上で苦労したことはありますか?
撮影していく中で、彼女は心を開いてくれていたので、緊張なく撮影することはできたのですが、撮影を重ねているうちに目的がズレてしまってとても苦労しました。
彼女はカメラを持つ僕にではなく、僕という人間に心を開いてくれているのに、僕は彼女自身でなく、カメラを構えてファインダーの先に見える彼女に夢中になってしまっていました。
コミュニケーションツールとなり得るカメラが逆に、彼女との距離をつくっていた時期がありました。
一度そこをリセットする時間をつくり、言い方は悪いかもしれませんが、カメラはあくまで、”瞬間をおさめる道具”として捉え、彼女と過ごす時間を大事にするようにしました。
彼女自身と改めてしっかり向き合って撮影することができ、ひとつ、大きな壁を超えられた気がしました。
作品に対する熱い思いを語ってください!
モデルをしてくれたかんばらふうこさんと、僕、小野友暉は子供の頃の家庭環境や、性格がとても似ているなと出会った頃から思っていました。
僕が年上なだけに、彼女を見ていると、まるで昔の自分を見ているようで、撮影していても「過去の自分」を撮っているようでした。不思議な感覚ではありましたが、それは彼女も感じていたみたいで、だからこそ「2人にしかできない作品」ができたのではないかと思っています!
今後目指していることなどあれば教えてください。
写真家と名乗っている以上、写真集の全国出版、そして全国での写真展を目標としています。たくさんの人の支えをいただきながら、いつか実現させたいと思っています。
小野友暉
1992年生まれ、鹿児島県出身。ESPエンタテインメント専門学校卒。「旅行先で見た景色を綺麗におさめたい」という想いからカメラをはじめる。2017年、Google 認定プロフェッショナルフォトグラファー就任、年鑑書籍「プロカメラマン File 2018」掲載。写真展『好きな写真と生きていく』『一瞬は長いと知った』など。
オフィシャルサイト:yukikono.com
作家応援プロジェクトについて
関西御苗場2018・レビュアー賞受賞者には「作家応援プロジェクト」参加権利が与えられます。
2018年3月に横浜で開催された御苗場2018と、関西御苗場2018でのレビュアー賞受賞者の中から、選ばれた「年間最優秀者」1名に、100万円を上限として希望するカメラ、レンズの提供をさせていただきます。