山手の洋館で写した光のポートレイト
写真家・山元彩香×ソニーα7RⅢ


「地域×写真」をテーマに、週末に写真を撮りに出かけたくなる地域の魅力を紹介している「Have a nice PHOTO!」vol.29の特集をPHaT PHOTO Webマガジンでもお届けします!

vol.29の特集は「YOKOHAMA PORTRAIT & SNAP」
新進気鋭の写真家のふたりが、ソニーα7RⅢとα9を持って、山手の西洋館と元町・中華街で、ポートレイトとスナップ撮影を行いました 。本記事では、写真家・山元彩香さんが山手の洋館で撮影したポートレイトをご紹介します。

2010年から毎年、東欧に赴き、現地で出会った少女を撮影し続けている山元彩香。ウクライナ・ロシア・ラトビアなどさまざまな地域の田舎へ出かけて、衣装を現地で調達し、廃墟などの建物を探して撮影している。

「言語による意思疎通が難しい地域なので、モデルとの会話はほとんどしません。身振り手振りなどでコミュニケーションしながら撮影しています。なるべく怖がらせないように、リラックスしてもらうことを心がけています」

昨年はパリ・フォトで作品が展示されるなど世界で活躍している山元。これまでは中判フィルムカメラで作品制作を行ってきたが、今回はソニーα7RⅢで撮影。横浜・山手の2か所の洋館でモデルのポートレイトを撮影した。

まず訪れたのは横浜市イギリス館。1973年に建てられた英国総領事公邸だ。2階には寝室があり、当時のインテリアを見ることができる。
横浜市イギリス館の2 階にある寝室。広ダイナミックレンジだからこその光と影のコントラストが美しい写真となった。光の当たり方を見ながら立ち位置を調整した。

その奥にあるスリーピング・ポーチと名付けられた部屋の窓は、建設当時の船窓の特徴であった丸窓をモチーフに取り入れている。少しの英単語で意思を伝えながら、立ち位置や顔の向きを細かく調整していった。
横浜市イギリス館の丸窓を活かして撮影。窓に人物がうまく映り込む位置をねらう。当時この場所に住んでいた人が窓の外の庭を眺めているよう。

撮影を終えて次に向かったのは横浜 市イギリス館の南側にある、山手111番館。スパニッシュスタイルの洋館 で、1926年にアメリカ人ラフィン氏の住宅として建設された。
ストロボを使わず自然光で撮影したい山元にとって天気は重要。この日も強い光がカーテンや窓を通して射し込む瞬間を丁寧に見ていった。
山手111番館にて撮影。暗い室内の中で手持ち撮影したが、α7RⅢの光学式5軸ボディ内手ブレ補正をのおかげで難なく撮影することができた。※本来は、床に寝転んでの撮影はできません。今回は周囲に配慮し、特別に許可を得て床に寝転んで撮影させていただきました。

繊細な光と影に包まれた室内の空気感を余すことなく表現するためには、α7RⅢの解像感や階調表現がとても重要だ。

「中判フィルムは階調が豊かですが、α7RⅢもグラデーションが緩やかでとても綺麗です。フィルムでやっていたことをデジタルカメラで表現できることに驚きました」

今回撮影した写真も、白飛びせずに衣装のディテールまでしっかりと写し出している。
山手111番館の2階にあるスリーピング・ポーチ。壁紙の柄を活かしてクラシカルに切り取った。2階へは見学会の日に上がることができる。今回は特別に撮影させていただいた。

さらに、α7RⅢを頼りにしているポイントのひとつにレンズもある。フルサイズミラーレス専用設計のレンズだから、カメラの機能を最大限に発揮してくれるのだ。暗い室内での撮影に明るいレンズは大変助かる。また瞳を自動に検出してピントを合わせ、動いても追従し続ける瞳AFや、タッチパネルで合わせられるピントもポートレイト撮影に役立つ。

「その人がまとっている自意識が遠のくような、何もないところまで到達したいという気持ちがあります。その人の無意識の下の方にある、普遍的なものが写せたら…と。写真は表面しか写りませんが、いつもそうでないものを探そうとして撮影しています」

長い歴史を感じる横浜の洋館で写し たポートレイトは、かつてそこに住んでいた人のようにも、幻想的な物語の 主人公のようにも見えた。

撮影の様子を紹介!

重いカメラでは上からのぞき込む撮影はしにくいが、α7RⅢはとても軽く、可動式モニターなのでいろんな構図が試せる。

フィルムと違って被写体にすぐモニターで写真を見てもらえるのも、デジタルカメラの魅力のひとつ。写真を見て喜ぶモデル。

できるだけ手を加えずに自然な状態で人物を写したいため、ヘアメイクは何もしない。髪の毛を整えるのも水を少しつけるだけ。

さまざまな色・模様の薄いレースの布を準備。アクセントになり、1枚まとわせるだけで雰囲気が変わる。

山元さんのカメラ機材。カメラバッグとカメラのα7RⅢ、レンズはDistagon T* FE 35㎜ F1.4 ZA、三脚のみ。

山元彩香(やまもと あやか)

1983年神戸生まれ。2004年California College of the Artsに留学。2006年京都精華大学芸術学部造形学科洋画コースを卒業。2018年に写真集『We are M 7 ade of Grass, Soil, and Trees』を発表し、タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムにて同作品の個展を開催した。

SONY α7RⅢ


有効約4240万画素。常用ISO感度ISO100~32000。暗所や薄暗い室内での高感度撮影時にも、優れた低ノイズ性能を発揮し、高画質を実現。プロが必要とする機能が小型ボディに凝縮したフルサイズミラーレス一眼。

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