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フォトまち便り「Hello Local」vol.38 下田写真部~『#写真で旅する下田2022』開催までの道のり~


紀南、富山、郡山、下田の4つの地域写真部が綴っていく連載企画「フォトまち便りHello Local」。今回は、下田写真部であり地域おこし協力隊でもある青木真さんによる投稿です。現在、下田で開催されている『#写真で旅する下田2022』について、事前に行われた3日間の撮影ロケを写真と文章でレポートします。夏休みのお出かけ先の参考にもぜひ!


目次


皆さま、初めまして。
下田写真部の青木真と申します。

2020年10月に下田へ移住し、地域おこし協力隊として活動しています。

今回は、2022年7月8日~9月11日の期間、
下田と東京で開催される写真展『#写真で旅する下田2022』について紹介させていただきます。

日本商業写真の開祖・下岡蓮杖の生誕地である下田市では、
毎年、写真を通して地域を活性化する『蓮杖プロジェクト』が実施されています。

コロナ禍により3年ぶりの開催となる今年は、
写真家 岩倉しおりさんが下田で撮り下ろした作品と下田写真部メンバーの作品が下田の街中のおよそ15のスポットで展示され、
東京・表参道『 FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP 』でも、下田街中写真展と連動して8月11日~8月24日に同時展示されます。

さらに公式Instagram @shimoda_phototrip をフォローし、
下田で撮影した風景を#写真で旅する下田2022をつけて投稿することで参加できるフォトコンテストも同時に開催していて、
入賞した作品は伊豆急下田駅にて展示されるとのことです。

気になる方はぜひ、下記リンクからご確認ください!
『#写真で旅する下田2022』 公式サイト
https://www.ppschool.jp/shimoda-phototrip2022/

『#写真で旅する下田2022』公式 Instagram
https://www.instagram.com/shimoda_phototrip/

『#写真で旅する下田2022』開催までの道のり

withコロナ時代に、どのように写真を通して地域を活性化できるのか?

PHaT PHOTOを運営しているCMSの速水さん、堤谷さんの企画ディレクションのもと、
2022年は、写真家 岩倉しおりさん(Instagram フォロワー 37万人 )を下田に招き撮影した作品をSNSで発信し、フォトコンテスト開催による参加型イベントを実施することになりました。
下田市内の複数のスポットで開催する写真展を楽しみながら、下田のまちを巡って楽しんでもらいたいと思っています。

将来的には下田の至る場所に写真やアートが溢れる街を目指します。

地域おこし協力隊でもあり下田写真部の一員でもある私は、
企画が決まってから開催までの3か月間、一緒に準備を進めてきました。

そこで見た景色、体験したことを写真と文章でお届けします。

4月16日 ロケハン

CMS・堤谷さんと共に下田のおすすめ撮影スポット、岩倉さん希望スポットのロケハンを行い、撮影ロケーションについて協議しました。
当初予定していた撮影日は、嵐直撃の為に延期となり、
予備日の5月27日~29日で撮影を実施することに。

予備日の前日も各地で大雨に見舞われ、静岡では交通規制も入る中、
岩倉さんは香川県から、モデルの伊藤愛さんは福岡から長旅の末、下田まで駆けつけてくださいました。

5月27日 撮影初日

午前中は前夜からの雨が続く中 『旧澤村邸』『下田公園の紫陽』を撮影。

旧澤村邸では、下田の古き良き住まいを体感でき、蔵ギャラリーの展示もおすすめです。
雨がまだ降っていましたが、自然光を活かして窓際や縁側で撮影をしました。

『旧澤村邸』
静岡県下田市の「下田公園」に隣接し、観光名所として知られる「ペリーロード」沿いに建つ、1985年に下田市の歴史的建造物に指定された、なまこ壁が印象的な建物。
澤村家より市へと寄贈された建物で、大正時代の1915年に建築された居宅をベースに、なまこ壁の補修や耐震補強工事などとともに、展示建築物・無料休憩施設としてのリニューアルが施され公開されています。
下田市観光ガイド https://www.surugawan.net/guide/596.html

下田公園には、
下田出身の日本商業写真の開祖・下岡蓮杖の記念碑もあり、
毎年、紫陽花祭りの時期に慰霊祭も開催されています。
写真好きの方は、ぜひ訪れていただきたいスポットです。

『下田公園 紫陽花祭り』
下田市街と下田港を一望できる下田公園。
その広大な敷地を埋め尽くす約300万輪のあじさいは、訪れた人を圧倒します。
あじさいの種類は多く、園内でも「カシワバアジサイ」「ウズアジサイ」「アナベル」など名前の付いたあじさいを100種以上見ることができます。園内を巡る遊歩道に延々と続く大輪の花は、梅雨の頃艶やかに輝き、ひとときの静寂をもたらしてくれることでしょう。

午後はランチを兼ねて『Retreat wabi-sabi』へ。

お肉を使用していないベジバーガー

木々の緑があふれるテラスに、心地よい音楽が流れる空間。
美味しく健康的な料理と共に、異国の地へと旅した気分を味わえます。

『Retreat wabi-sabi』
吉佐美大浜の道の奥。
自然の中に静かに佇む、宿泊棟とカフェがあります。
美しい海のすぐそば、自然に包まれるような一棟貸しの宿泊棟群です。
ひっそりと建てられた建物の良さを残しながら、必要な箇所にリノベーションを施しました。 侘び寂びを感じ、五感を満たし、ゆっくりとお過ごしください。
屋根付きの大きなウッドデッキはベジタリアンフードを中心としたカフェとしての営業に加えて、ヨガレッスンやイベント等のマルチスペースとしても活用しております。
http://wabisabishimoda.com/ja/

ティータイムは市街地のペリーロード沿いにある『草画房』へ撮影に。
開国の街、下田の歴史を感じる喫茶店です。
店内には、素敵な庭や昔のタバコ屋さんの面影が。
運が良ければ可愛い鴨家族にも会えるかもしれません。

『草画房』
古き良き時代の面影を残すペリーロードの一角、逢坂橋のたもとに草画房はあります。
築100年にもなろうかという古民家をアトリエに構え、土日祝(土日に続く祝日)のみ古民家ギャラリー兼喫茶室としてOpenしています。
竹沢尚生墨作品の他、染め付けした器や草画房オリジナルのアート作品(主にテラコッタによる)も展示販売しています。
http://www.sogabo.com/sogabo.html

初日は翌日の撮影に備えて早めに切り上げ、夕食は下田の新鮮な海鮮を『ごろさや』で頂き、就寝しました。
『ごろさや』も下田に訪れた際はぜひ行ってみてください。新鮮なお刺身がたっぷりの定食や金目鯛の煮付けが絶品です。

『ごろさや』 伊豆グルメ観光 https://izulunch.com/gorosaya/

5月28日 撮影2日目 

新月が近く、嵐が去った夜。
満天の星を目指し『爪木崎』へ。

お昼の爪木崎も散歩コースとして最適です。
夏は海水浴、冬は水仙祭り、アロエなど季節の自然や、世界自然遺産の地層などを楽しめます。

『爪木崎』
須崎半島の東南端。白亜の灯台が立ち、俵磯と呼ばれる柱状節理の断崖など見事な海岸風景です。
その中には、爪木崎花園があり、四季折々の花を咲かせています。また野水仙の大群落でも知られています。
下田市サイト
https://www.city.shimoda.shizuoka.jp/category/100100midokoro/110772.html

美しい天の河を撮影した足で、朝焼けの『外浦海岸』へ。

波打ち際で撮影を試みる岩倉さん

外浦海岸といえば、人気パン屋さんの『Doug』。
パンを片手にビーチピクニック、おすすめです。

『外浦海岸』
伊豆半島を南下しながら、白浜海岸と下田の町の間にあるビーチです。波が穏やかで水の透明度も高く、遠浅のビーチは小さな子供のいる家族連れに人気
https://shimoda100.com/beach/sotoura/ - 伊豆下田100景

外浦海岸での朝焼け撮影後は、朝陽輝く『白浜海岸』へ。

波打ち際に朝陽が反射してまるで鏡のように。

ビーチに訪れたなら、隣接する白濱神社への参拝も是非。
伊豆の大自然と共に神秘的な空気に触れられます。

『白浜海岸』
伊豆半島最大の美しい海
一度は訪れたい全国でも人気のビーチ
700Mもの美しく広大な砂浜をもつ、伊豆最大の賑わいを見せるビーチ。
砂浜が国道に面しており、開放感があります。また、全国的にも大変有名で毎年多くのサーファーや若者で賑わいます。
白い砂浜とエメラルドグリーンの海が織りなすコントラストの美しさは多くの人を魅了します。
シーズン前でも海洋浴を楽しむ方が増えています。シーズン以外の時期でもサラサラな白砂が美しいです。広々としたビーチは気持ちの良い開放感です。
伊豆下田観光ガイド https://www.shimoda-city.info/shirahama-ohama

深夜からの撮影を無事に終え、仮眠をとり再出発。
雨の日や家族連れでも下田の海を満喫できるスポット『下田海中水族館』へ。

『下田海中水族館』
イルカと遊べる!イルカと泳げる!をキーワードに、海の動物に優しい環境を考え、大切な人間の資源の源である海を大切に考える。どこよりもイルカに近づける水族館
https://shimoda-aquarium.com

海中水族館を満喫した後は、ランチを兼ねて鍋田浜にあるレトロ純喫茶『つぼや』で撮影。

ここは鍋田浜にある地域の愛煙家たちの社交場で、
様々なタバコや珈琲、気さくなマスターの作る料理のファンも多いんです。
外のテラス席もあるので、ビーチで遊んだときの休憩におすすめです。

つぼや Instagram https://www.instagram.com/tsuboya_coffee_cigar/

海を満喫した後は下田の山奥、まさに秘境のような『石釜パン工房 森のおくりもの』へ。
山の暮らしに憧れ、
定年退職後に下田の街中から拠点を移された御夫婦が、様々な御縁で始められたパン屋さんです。
温かな人柄と優しいパンを味わってください。

撮影ついでにパンを購入。一つ一つ説明してくれたお父さん。

石窯パン工房 森のおくりもの
https://www.morinookurimono.com

5月29日 撮影3日目

最終日は、『吉佐美大浜』の星空を撮影する為に夜明けからのスタート。

毎日違う表情を見せる下田の海。

『吉佐美大浜』
白浜大浜ビーチと並んで人気のスポットです。 駐車場も広く、家族連れからサーファーまで色んな人に利用されています。 吉佐美大浜の大きな特徴は、近くに別荘地が多く、外国人の方の来客が多く、まるで海外のビーチに来たような気分になります。
http://shimoda100.com/beach/oohama/

吉佐美大浜の撮影後は、朝陽を狙い再び『白浜海岸』へ。
天候や時間帯、その日その時々によって違う表情を見せてくれるので、毎日来ても飽きることはありません。

ご来光の瞬間に出会えました。

無事に早朝撮影を終え、仮眠を取り再出発。
田牛エリアの『青少年海の家』『龍宮窟』へ。

『青少年海の家』
普段は開放していないのですが、今回特別に撮影をさせていただきました。

普段は使用されていない『青少年海の家』ですが、素敵な建物、庭を活用し
ギャラリー、ワークショップ、マルシェなど開催できればとイメージが膨らみました。

『青少年海の家』
昭和5年(1930年)、登自尋常高等小学校として建設された木造平屋建校舎で、昭和50年より青少年の健全育成に供する施設として下田市が管理運営を行う。昔懐かしい昭和の初期の平屋建ての木造校舎は、ノスタルジックな建物。
https://www.city.shimoda.shizuoka.jp/category/110500kyouikubunka/113037.html

『龍宮窟』

龍宮窟(りゅうぐうくつ)は、自然が生み出したパワースポット。
ハートの形に見えるビーチが話題になり、今では伊豆下田を代表する有名な観光地に。

『龍宮窟』
波が海岸の波にうちつけると、崖の弱い部分(柔らかい地層や断層など)が削られていき、洞窟ができることがあります。こうしてできる海の洞窟を海食洞(かいしょくどう)と呼びます。
田牛(とうじ)の龍宮窟(りゅうぐうくつ)は、おおきな海食洞の天井が一部崩れて、直径40~50メートルほどの天窓が開いたものです。龍宮窟の天窓は伊豆の各地にあるものの中でも最大級であり、道路沿いの入口から洞窟を通って天窓の下に立つこともできます。洞窟の壁には、海底火山から噴出した黄褐色の火山れきが美しく層をなし、天窓の底を満たす青い海水とのコントラストが神秘的な場所です。
また、龍宮窟を見下ろす遊歩道も整備されていて、この神秘的な海食洞をさまざまな場所から観察することができます。木々の間から遠く見える伊豆諸島の姿もステキです。
豆ジオパーク https://izugeopark.org/geosites/ryugukutsu/

美しい海を満喫し、最終撮影地の山葵農家『まるとうわさび』が、月一度開催されている『縁側カフェ』へ。

まるとうわさびを支える元気なお母さん。

庭で育てていたひよことそばで見守る親鳥

削りたてのわさびと鰹節をごはんにかけて

『まるとうわさび』
わが家は伊豆下田のわさび農家です。 山に囲まれた小さな集落。
山あいにひびく川のせせらぎ、鳥や蛙の鳴き声。四季折々の山菜や果実の恵み。 田畑で農作業するおじぃやおばぁの姿…。
特別なものは何もありませんが、 穏やかな空気の流れるところです。
わさび農家の縁側、庭を月に一度開放して、 縁側カフェを開いております。 森を自由に散策していただくこともできます。
休憩、散策をされた方には100円をいただき、 「里山整備基金」とさせていただきます。
縁側では自家製のジュースや薬草茶、お茶菓子、 漬け物など、農家のおやつを用意しております。
お弁当や飲み物の持ち込みも自由です。 田舎のおばあちゃんの家でくつろぐ様な気持ちで…。
忙しい日常から離れて、農家の縁側でゆっくりのんびり過ごしていただければ幸いです。http://www.marutou-wasabi.com/cafe.html

わさび御飯、里山の旬の食材、地元の方々の温かさを噛みしめ、3日間の撮影は無事に終了。

写真家・岩倉しおりさん、モデル・伊藤愛さん(本業は写真家)、CMS・堤谷さん、才能溢れるチームでの撮影を通して、
多くの学びを得、下田の素晴らしさを再発見する機会になりました。

改めて、携わってくださった多くの方に、この場をお借りして感謝いたします。

『#写真で旅する下田2022』について

7月8日から開催している『#写真で旅する下田2022』。

今回のプロジェクトは、富士フイルムに制作を全面協力していただき、
作品はすべてWALL DECORでプリントをしました。
下田の街中に飾られた作品は、下田の街に彩を与え、地元の皆さん、観光客の方々の目を楽しませています。

このイベントをキッカケに多くの方に下田の魅力が伝わり
日本商業写真の開祖・下岡蓮杖の出生地である下田が『写真の街』として、内外に認知され
カメラと共に、下田の美しい風景を撮影する方が溢れる街づくり、地域活性化に繋がることを願っています。

最後に、展示風景の一部をご紹介します。


 青木 真

京都出身。下田の美しい自然に魅了され、2020年に移住し、下田市地域おこし協力隊として活動を開始。

大学卒業後オーストラリアへ渡豪。

在豪時に、パーマカルチャーでのWWOOF、サーフボード工場での仕事を通して交流を深めた。
現地デザイナー、映像作家、フォトグラファーたちと創作活動を共にし、帰国後『SHIN&CO.』を設立。  http://shin-and-co.com
各国クリエイターと映像、カタログ、web制作、ファションブランド、エキシビションなどのプロデュース・ディレクションを行う一方で
京都・日本の伝統・文化を海外へ発信するプロジェクトにも携わり
オーガニック宇治茶店のメルボルン(オーストラリア)出店や
伝統工芸『漆』を用いた、100% 自然素材で作成したサーフボードプロジェクトなどを手掛ける。
漆サーフボードプロジェクト『BEYOND TRADITION』のドキュメンタリー映画では、監督兼プロデューサーを務め
『Florida Surf 映画祭 最優秀短編映画賞』『Toronto Beach 映画祭 優秀賞』を獲得し
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、コスタリカ、日本などの多くの映画祭で公式作品として上映される。
https://www.rethink-urushi.com/surf

下岡蓮杖の生誕地、伊豆下田で、写真好きな仲間が日々の暮らしを発信したり、高校生とのフォトツアーなどを開催しながら「写真のまち」を目指して活動中。現在、部員13名。
下田写真部公式Facebook https://www.facebook.com/shimoda.photo
下田写真部公式Instagram https://www.instagram.com/shimoda_photoclub


STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

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