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内藤由樹の海外武者修行ログ vol.20 2014年の年越しが強烈だった話

Magazine, レポート


2012年関西で行われた日本最大級の写真イベント「御苗場」でレビュアー賞を受賞した注目若手作家・内藤由樹。
世界各地を巡り、現在ペルーにある「Centro de la imagen」のマスタークラス在籍中。
http://yuki-naito.tumblr.com

本当は、前回のタイミングで言うべき言葉でしたが、今さらですが、
あけましておめでとうございます。
2015年もよろしくお願いいたします。
といっても、日本におらず、いったい何をどうよろしくお願いするのかわかりませんが、
唯一の日本との繋がり、この連載は一生懸命ぼちぼち書いていこうと思っておるので
引き続き読んでいただけると嬉しいです。

お正月はいかがお過ごしでしたか?
私は日本に帰っていて、ガキ使を見たりみかんを食べたり
初詣でくだらない結果のおみくじを引いてへこんでしまったりして過ごしました。
そんな平凡なありきたりな正月が幸せです。
とにかく普通の、凡な年明けを、あえて、わざわざ望んでやった。とも言えます。
それは去年、2014年の年明けがあまりにも強烈で猛烈だったから、というのもあるかもしれません。

去年の今頃、NYに居ました。
連載の流れではさらっと過ぎてしまってましたが、
わけのわからないままパリフォトに行き、そこでわけのわからない凄さに圧倒され、
そのまま、わたしはいったい何がしたいんだろう。と、
12月~2月頃までNYクイーンズの友人宅にたらたらと居候していました。
そんな、ふわふわした状態で、NYというエネルギッシュな街に居たもので、
しかもとても寒く毎日吹雪いていたもので、日本に居るときのように引きこもってしまっていました。
NYにいるのに、チェルシーでギャラリーを巡り勉強をするでもなく、
引きこもって邦画や、日本のアニメを見ていました。

しかし、せっかくイケイケな街NYにいるのに、年越しすらも引きこもっているのはあかんやろってことで、
「Couch Surfing」というSNSで見つけたカウントダウンパーティーに行きました。
絶対馴染めないのはわかっていたが、そんなところに行ってももじもじしてしまうのはわかっていたが、
せっかくだから独りで勇気を振り絞って参加しました。
(居候先の友だちはNY13年目なのでそういうのもう飽きたから行きたくない。と断られた)

23時位に会場に行くと、音楽とダンスと怪しい照明の溢れる部屋に、酒と男女が入り混じっていて、
もう全然無理な感じで帰りたくなったけど、友人宅に引き返す寒い路上で年明けってのも嫌だし、
ハッピーニューイヤー!イエーイ!がどうしても、ニューヨーカーたちと言いがために、
部屋の隅っこでポツンと、誰かに話しかけれてもうまく返すこともできずビール呑んでた。
そして、年明け10分前にマンハッタンの花火を見るために屋上へ上がりました。
来るべき瞬間に備えドキドキしながらカメラを構えました。

いよいよカウントダウン。そこだけはわたしも一緒に叫びました。
10.9.8.7.6.5.4…
3と言おうとした時に女の子数人のグループに引き込まれ、おもいっきりチュウされました。
ゲイの女の子たちにチュウされつつ2014年到来。
背後では川越しに花火の音がする。
唇が離れた時、超笑顔でハッピーニューイヤー!と言われて
イエーイハッピーニューイヤー!って返すしかありませんでした。
花火、見れなかった。
イエーイ!とか言って何がどうイエーイなんだろう。と、思いながら
色んな人と謎のイエーイ!をかわしました。

外国に居るといろんなことがあって、驚きつつも、受け入れるしかなくて、
それを消化するために自分をどんどん変形させていかないといけなくて
それまでに持っていた価値観をも時には壊す、捨てることをしないといけない。
そんなことをしょっぱなから思い知った2014年なのでした。
今年はどんな1年になるのでしょうか。
ということで
改めまして今年もよろしくお願いします。

内藤由樹 / ないとうゆき
1987 年大阪府生まれ。2013年 キヤノン写真新世紀 佐内正史選・佳作/第2回御苗場夢の先プロジェクトグランプリ/キヤノンフォトグラファーズセッション ファイナリスト/2012 年 御苗場vol.11 関西 レビュアー賞/写真集に「being」(2013年・TIP BOOKS)がある。

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