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Event
photo by 上村千恵子

関西御苗場2017 受賞作品③ レビュアー賞

Event, 御苗場


山口晴久 選 (写真家)

 りかこ

「Catharsis」

photo by りかこ
photo by りかこ
concept

カタルシスとは『浄化』『抑圧された気持ちや記憶を言葉や行動にして解消すること』という意味があります。私が私を撮る理由として、まさにこの言葉がぴったりだな、と思いテーマ、そしてタイトルにしました。

question

――この作品で伝えたいことは何ですか?
伝えたいことはないです。見てくださった方々が各々感じていただけたらと思います。

――撮影のきっかけを教えてください。
今回御苗場という表向きな場所で展示するにあたって、より『見たこともないもの』を撮ろうと思いました。

――作品を作る上で苦労したことはありますか?
セルフポートレイトは体力と精神力の消耗が激しくて大変だなあと常々思っています。楽しく撮影するときもあるのですが、今回の作品は特に、あまり自分と向き合いたくない時に無理につくり出したのもあり、しばらく苦しみました。

――作品に対する熱い思いを語ってください。
セルフポートレイトを撮り始めて7年が経ちました。成長と共に変化していく自分と写真がたくさん重なり合って、集大成となる作品が仕上がって嬉しく思います。随分長いこと隠れていた感情がやっと形に出来て、感慨深いですね。

《select》山口晴久 選 (写真家)
選考理由:

独特の色使いと、画面の迫力に圧倒されました。自分の内面を表現したセルフポートレイトにありがちな暗いトーンではなく、ビビットで動的な内面の表現が新しかったですね。ポートフォリオは静的なセンスのいいまとめ方をしているのに、展示では真逆の表現をしていて将来性を感じました。もっとこの作品を見てみたい。この作品は彼女自身の「Catharsis」で、この作品をつくることにより、想像的経験による感情の浄化、作品に自分の感情を吐き出し、抑圧感情を取り除いたのかもしれないと思いました。これほど正直な表現は見たことがなく、驚きました。表彰式でりかこさんが「セルフを撮り続けて7年、はじめて血と肉を削りとって作った作品です」と話されていました。「夢の先プロジェクト」で、どんな作品を作ってくれるのか楽しみにしています。

りかこ
1993年大阪府生まれ。日本写真映像専門学校卒業。大阪府立成城高等学校に在籍中、写真藝術部に入部し写真を撮り始める。当時からセルフポートレイトや、思春期ならではのダークな世界を中心に撮影していたが、日本写真映像専門学校入学後は、「家族写真」などの温かさのある写真に惹かれ営業コースに進み、本格的にポートレイトを学ぶ。現在は卒業アルバム会社に就職し、製作、撮影を行っている。

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