今、世界で最も革新的な写真集デザインが一挙に 抑えておくべきポーランド写真集27冊を展示
世界を席捲するポーランドの写真集
「写真集は疑いなく写真の世界における今最も重要な出来事の1つです。作品としても、市場としても。そのことを説明する必要はないでしょう」そう語るのはポーランドの写真フェスティバル「TIFF」ディレクターのマチェク・バジュコ。
今、写真集と言えば、オランダ、ドイツ、アメリカ、日本、そしてフランスと言った国々の名前が上がる。それは、何十年と続く写真集史が証人だ。しかし、市場は常に変化し、新しいものを探している。
ヨーロッパにおいては、数年前からスペインやイタリアの出版物が注目を集めている。だが、今その眼差しは「疑いなく中央・東ヨーロッパに向かっており、その中心にあるのがポーランド」だとマチェクは言う。「これはポーランド人写真家やデザイナーがあらゆる写真集の賞で受賞またはノミネートされている事からも明らかです」
例えば、ラファウ・ミラハの写真集「The Winners」。同作は、2014年にパリフォト・アパチャー・フォトブックアワードのショートリストに選ばれた他、米国のTime誌や英国のThe Guardianがその年の「最高の写真集(The best photobook)」に選んでいる。また優れた写真集の指標として定評のある「Photo-Eye」でも同様の評価を得た。
より最近の賞で言えば、マウゴジャータ・スタンキビッチの「Cry of an Echo」があげられる。同作は2017年に、写真集出版を狙う新進作家たちにとって最も重要な賞の一つに数えられる「UNSEEN Dummy Award」を受賞している。
その他にも、Archeology of Photography Foundationから出版された写真集は、ヨーロピアンデザインアワードや、パリフォト・アパチャー・フォトブックアワードなど様々な賞をとっている。
「ポーランドの写真集が注目され、高いクオリティを保持しているのは決して偶然ではありません」とマチェクは続ける。
「ポーランドの美術大学におけるグラフィックデザインのカリキュラムの質の高さは世界でも知られており、ニューヨークのMoMAやパリのポンピドゥセンターのパーマネントコレクションにその証拠を見ることができます」
そういったデザインに関する極めて高い土台がある国だけに、ポーランドの写真集が世界を席捲していることは、決して驚くべきことではないかもしれない。
代表作品を一挙に見ることができる展示が東京・京橋72Galleryで開催
2019年4月17日(水)から28日(日)にかけて東京・京橋の72Galleryで開催される「The tail of the plain books」展では、ヨーロッパ圏においてポーランドの写真集が注目される中で、代表作品を一挙見ることができる貴重な機会になるだろう。
さらに、今回の展示では日本ならではのアクセントも加わる。出展作家のルーカス・ルスツニカの作品 「Subterranean River」同作は、「日本に向けられたヨーロッパ人の眼」プロジェクトに歳して高松にて撮影されたもの。
会期中は、同作のコダックのアナログスライド映写機を使用したスライドショーも写真集の展示と合わせて上映されるのでこちらも注目したい。
会期中、4月18日(木)に開催されるオープニングには、TIFFのディレクターであるマチェク・バジュコと出展作家の一人アガタ・グジボフスカが来日する。
展示に関する説明がある他、4月27日(土)には、<第33回写真の町東川賞>海外作家賞のアンナ・オルオーヴスカと、「日本に向けたヨーロッパ人の眼」プロジェクト参加作家のルーカス・ルスツニカと、リマインダーズ・プロジェクト代表の後藤由美とのトークショーも開催される。
「The Tale of Plain Books」ポーランド写真集展
日時:2019年4月17日(水)〜4月28日(日) 12:00〜19:00 (最終日は17:00まで)
休館日:月曜日、火曜日休館 ※4月27日(土) トークイベント時は予約者のみ入場可能
会場:TOKYO INSTITUTE OF PHOTOGRAPHY 72Gallery
〒104-0031 東京都中央区京橋3-6-6 エクスアートビル1F
Tel:03-5524-6994 東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分
オープニングレセプション
日時:4月18日(木)18:30-21:00
参加費:無料
ゲスト:マチェク・バジュコ(TIFFディレクター)とアガタ・グジボフスカ(作家)
来日作家によるトークイベント
日時:4月27日(土) 15:00-16:30
参加費:1,000円 (定員25名) 会場:72Gallery内
ゲスト作家:アンナ・オルオーヴスカ、ルーカス・ルスツニカ
聞き手:後藤由美 (通訳:速水惟広)