賞金総額5000万円!たった1枚の写真が人生を変えるドバイの写真コンテストとは?
グランプリ賞金が120,000ドル(日本円にして約1333万円)として話題になった、ドバイの写真コンテスト「ハムダン国際写真賞(HIPA)」。審査員として招待された、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYOファウンダーの速水惟広が同コンテストについて、表彰式の模様とあわせてお届けします。
テキスト=速水惟広
富と成功のイメージと、世界一高いタワー「ブルジュ・ハリファ」のある都市、ドバイ。
実はある日突然、メールが舞い込み、ドバイに招待を受けた。写真好きならば覚えておくべきだと思う。ハムダン国際写真賞(HIPA)だ。
正式名称を「Hamdan Bin Mohammed Bin Rashid Al Maktoum International Photography Award」と呼ぶハムダン国際写真賞(HIPA)は、ドバイ首長国の皇太子であるハムダン皇太子の名を冠した名誉ある賞である。そして、私の知る限りおそらく、世界で最も賞金総額が高い。
「PHaT PHOTO」の記事でもこのアワードのことを取り上げた事もあり、 以前からグランプリ賞金の高さは把握していたのだが、詳細は理解していなかった。
しかし、蓋を開けてみて驚いたのは、賞金総額である。その額米ドルで45万ドル。日本円に換算すると約5000万円にのぼる。
顕著なのはグランプリの1333万円だが、その他の部門(テーマ、ポートフォリオ、ジェネラル、空撮など)でも、1位だけでなく3位や5位でもこれだけの賞金が出るアワードは見たことがない。
1333万円
テーマ部門
1位 278万円
2位 222万円
3位 166万円
4位 110万円
5位 60万円
ポートフォリオ(シリーズ)
1位 222万円
2位 200万円
3位 178万円
4位 155万円
5位 133万円
ジェネラル(一般)
モノクロ / カラー 各部門ごとに
1位 166万
2位 133万
3位 111万
上記以外にも、空撮(ドローン動画)部門など。
しかも、ポートフォリオ部門以外は、全て単写真の部門なのである。(こうやって書くと賞金金額だけに目が行ってしまうが、この賞金が全てハムダン皇太子による非営利の写真支援活動ということも強調しておきたい)
自分もコンテストの審査員をする事が多く、コンテストについて言えば、単純に金額だけで比較する事は出来ない。Sony World Photography AwardsやLens Cultureなど、写真家として名前を世界に広めていく為にチャレンジすべき賞や、写真集に特化したアワードもある。御苗場のような展示と一体化したものもある。
では、HIPAにチャレンジすべき理由は何か?
HIPAのリサーチ&ディベロプメントスペシャリスト オラ・カラフによれば、「過去にグランプリを受賞した写真家の中には、そのお金を使って学校を始めた人もいる」という。「これだけ大きな賞になると色々な事を言う人もいる。だけど、結局は、受賞がその人の人生を変える事ができたの」そう誇りを持って話してくれた。
HIPAはジャーナリズムのコンテストではない。その為、演出写真や風景写真などの応募も可能だ。但し、アラブ首長国連邦(UAE)のコンテストである事から、宗教または文化的な被写体の制限(ヌードなど)がある。
また、現実と異なるレベルの過度なフォトショップ等の使用も認められていない。(一般的な色補正は可能)。作品応募時にはオリジナルデータ(Raw)の提出も求められる。毎年テーマが決められ、第8回となる今回は「Hope」だった。
第8回「HOPE」のグランプリを受賞したのは、Edwin Ong Wee Kee。
ベトナムに旅行中に撮影された1枚で、マレーシアの写真家が受賞した。審査は全てオンラインで行われ、審査時に作品に関しては説明やキャプションなどは審査員に提供されない。受賞作品は総合的な投票ポイントで決められ、表彰式当日まで受賞者が誰なのか知らされなかった。彼の本職は医師だと言う。(グランプリ詳細はHIPAの公式サイトへ)
HIPAへの応募は、18歳以上であればプロ・アマチュア問わず可能だ。応募枚数も、1枚からできる。応募費用も無料なので、まさにたった1枚の写真が人生を変える写真コンテストだと言える。
次回9回目のテーマは「Water」と発表されている。
もし、人生をかけて勝負したい1枚があるとしたら、あなたもHIPAに挑戦してみてはどうだろう?
表彰式が開催されたドバイオペラ。セレモニーの参加にはチケットが必要だ。
HIPAのオフィスの受付。
カメラがたくさん飾ってある。
オフィスから眺める風景。ドバイモールを見下ろす位置にある。