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御苗場vol.26 林紗代香さんが選出した理由とは？受賞＆ノミネート作品公開

2020.06.05

前半（5/22～5/25）・後半（5/28～5/31）会期に分かれ、全面オンラインでの開催となった御苗場vol.26。個性豊かな展示の中から選ばれた受賞作品をご紹介しています。

本記事では、レビュアー・林紗代香さん（「TRANSIT」編集長）が選出した作品をご紹介。レビュアー賞受賞作品だけでなく、ノミネート作品も一挙ご紹介します。どんな視点で作品を選出しているのか？コメントをいただきましたので、作品と一緒にぜひご覧ください。

■レビュアー賞・受賞
・紅組：T01 望月クララ

圧倒的な描写力と完成度。本当に美しく、ずっと見ていられる作品でした。プリントする紙によって果物の表情が変わるのもおもしろいです。

ステンレスにプリントするという技術表現としてのおもしろさだけでなく、真実を写すとされる写真で、社会のほころびを風刺しているのが不穏ですが愉快です。

経済成長をつづけ、刻々と変わりゆく上海の古き良き風景と、新しい時代に対する高揚感が伝わってきました。1枚の写真の背景にある物語を想像させる構図や時代を捉えるセンスが、とても素晴らしいと思いました。これらが1990年代の作品ということで、最近撮られたものや、カラー作品もみたいです。

旅人としての被写体に対する新鮮さだったりというストレートな感情を、冷静に距離をもって撮られていると思います。心地よいクラシックの調べのようですが、優等生すぎる印象なのでもう少しざわざわとした音がしてもいいのかなと。

笑うことを「破顔」ともいいますが、造形としては整っていない状態に、感情の揺れがみてとれて、とてもハッピーな気持ちになりました。みているこちらまで笑顔になる写真って、それだけで最高だと思います。

粒子の粗いざらっとした質感の写真は、旅のセンチメンタルでおぼろげな記憶を運んでくれるので、旅写真との相性はよいと思います。一日をテーマに朝から夜の構成で1冊をまとめているところもよかったです。

母親の花への情熱と息子に対するたっぷりの愛情のなかに、季節のうつろいとその儚さが表現されていてぐっときました。ことばの端々を切り取ると感傷をそそりすぎる印象ですが、写真のコラージュや文字組みなどで見事にアートに昇華されていました。

細部まで繊細に切り撮られた木の表情が美しい。一方で大胆な構図で、一連の作品を通して壮大なシャーウッドの森の物語を想起させているのが、“木を見て森も見る”作品につながっていると思いました。

まず着眼点がおもしろいと思います。ご本人の“視線を操る”というコメントもありましたが、実際に目にしている風景と、そこから広がった仮想が交錯して、イマジネーションをかきたてられる幻想的な写真でした。

紅組：T01 望月クララ

とくに3部作にまとめた編集が素晴らしいと思いました。

お父様の育った環境や人となりがわかるような情報をリズミカルに紹介する1部/2部があるからこそ、3部の寡黙でなんてことのない道とか建物といった風景写真のなかにお父様の気配が立ち上がってきて、余韻が残る作品になっているのだと思います。まるで1本の映画をみおえたような充足感がありました。

お父様の撮影された写真の情感・存在感が強いので、2部の、遺品を白バックでモノとしてクールに俯瞰で撮影しているコントラストもよかったです。

いかがでしたか？
ノミネートされたみなさま、おめでとうございます！
ほかにも、御苗場vol.26のノミネート作品とその理由を紹介しているので、ぜひご覧ください。

御苗場公式HPでは、会場の展示の様子をVRでご紹介しています。公開は6月30日（火）まで。受賞作品をぜひじっくりとオンラインでご覧ください。

紅組・展示VRを見る

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