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御苗場vol.26 小松整司さんが選出した理由とは?受賞&ノミネート作品公開

Event, 御苗場


前半(5/22~5/25)・後半(5/28~5/31)会期に分かれ、全面オンラインでの開催となった御苗場vol.26。個性豊かな展示の中から選ばれた受賞作品をご紹介しています。

本記事では、レビュアー・小松整司さん(EMON,Inc. CEO / EMON Photo Gallery ディレクター)が選出した作品をご紹介。レビュアー賞受賞作品だけでなく、ノミネート作品も一挙ご紹介します。どんな視点で作品を選出しているのか?コメントをいただきましたので、作品と一緒にぜひご覧ください。

紅組:W10 奥山弘道

小松整司さん コメント
社会的な視点で作品を作ること、これはアート表現の土台とも言える。ファッションやヘアスタイルで現代をスライスながら社会性を投影する作品だけに絶対量がもっとあると良い。

奥山弘道ブース

紅組:W16 塩原真澄

小松整司さん コメント
表現力が高く洗練されている。生産者の視点だけににわか写真家を寄せつかない説得力がある。レイアウトの余白に意識を傾ければ作品はさらに磨かれるのではないか。

塩原真澄ブース

紅組:W19 磯野ひろき

小松整司さん コメント
存在感がある。ただコンセプチャルなアプローチゆえにCVは重要です。鑑賞者の想像力を刺激する言葉が作品を何倍にもふくよかにすると感じた。

磯野ひろきブース

紅組:T07 GENTAROABE

小松整司さん コメント
保存に問題があるという事だが、ステンレスに定着させる方法論はユニーク。刹那とも取れるこの方法をさらに発展させられれば面白くなる。

GENTARO ABEさんブース

白組:W27 黒水雪那

小松整司さん コメント
つい脚色が増えてしまうポートレートだが無駄を省いて引き算されたところが良かった。花すらもなくしてこのモデルを継続的に撮ってみると良いのではないか。光の計算には余地がありそうだ。

黒水雪那さんブース

白組:T02 箱入り息子

小松整司さん コメント
これだけブレずに続けてきたことがまず素晴らしい。能動的な表現で鑑賞者を惹きつけるかもしれないが逆もあるだろう。見る者の関心を惹きつける、そうした静的な表現もあるのかも知れない。

箱入り息子ブース

白組:T06 Kazumi Kurokawa

小松整司さん コメント
ブラックやマレービッチなど構成主義の絵画を思わせる。また対照的に色彩も独特なのがこの作品をふくよかにした。作品の絶対量が必要であろう。そこから減算していくことで美が生まれると思う。

Kazumi Kurokawaブース

白組:T09 Minae Kawada

小松整司さん コメント
見ることが容易でない場所。自然の畏怖を目の当たりにするような風景写真は写真の原点。条件は厳しいかも知れないが光をどう捉えるか?作品の良し悪しを決定的にする光はまだまだ追求できるかも知れない。

Minae Kawadaブース

白組:T14 OHO KANAKO

小松整司さん コメント
家族写真でありながら作者の客観的な眼がクールだ。光の方向性も明快で技術も高い。さらりと切り取った感覚に現代性を感じる。

OHO KANAKOさんブース

受賞作品

紅組:T01 望月クララ

望月クララブース

小松整司さん コメント

御苗場は自由な発表の場であると共に賞を勝ちに行くというコンペティションの要素も魅力となっている。賞を狙うためには、作家のユニークな視点や表現技術がその対象になるけれど、アートとしての作品ばかりがその対象では決してない。人と違うことをする。それはアートでは当たり前のことでアプローチは作品の要となる。それだけに突き抜けた表現を獲得するのは非常に難しいことでもあるわけだ。

望月さんの提案は決して目立つものではない。技術も方法論も先端性を思わせはしない。しかし、人と人、あるいは家族との関係、そうした最も自分に近いところに視点を集めて紡ぎ出したものには、深い作家としての造形力が伝わって来る。

どうやってこの作品を作ったの?と質問されるよりも、なぜあなたはこの作品を作ったの?そう訊ねられることは大事なことだ。この作品には、そうした根本があって素晴らしい記録を残したと思う。


いかがでしたか?
ノミネートされたみなさま、おめでとうございます!
ほかにも、御苗場vol.26のノミネート作品とその理由を紹介しているので、ぜひご覧ください。

御苗場のVRは6月末まで公開中!

御苗場公式HPでは、会場の展示の様子をVRでご紹介しています。公開は6月30日(火)まで。受賞作品をぜひじっくりとオンラインでご覧ください。


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