カラーマネージメントモニターを使ったほうが良い理由とは? 写真・映像編集用モニターBenQ SW270Cをレビュー!
モニターで見る色とプリンターで出力したプリントの色味が違う…。
色味を合わせるのに時間がかかってしまう…。
そんな悩みから、写真の仕事をしている人も、作品を制作している人も、
カラーマネージメントモニターの購入を考えている人がいるのではないでしょうか?
「PHaT PHOTO」写真教室を卒業し、その後フリーランスカメラマンとして、
雑誌、CDジャケット、カタログ、WEBなどの仕事で活躍している星野耕作さんも、
以前、そう思っていた一人です。
現在、BenQのモニターを使用している星野さんに、カラーマネージメントモニターを使うメリットと、
2019年8月に発売となった写真・映像編集用モニターSW270Cを使ってみた感想を語ってもらいました!
——星野さんと言えば、「ドローン・ライティング」で作品を制作されていらっしゃいますよね。どういった経緯ではじめられたんですか?
星野 「ORIENTARHYTHM」というサカクラカツミさんが主宰する、沖縄空手とダンスを融合させたパフォーマーのグループとご縁があって知り合い、「一緒に作品撮りをしましょう」という話になったんです。
どのような表現にするか検討していたのですが、彼らの希望として、炎を使ったり、墨や水を拡散させながらパフォーマンスをしたいという意向がありました。
炎や水を使うことを考えれば、スタジオ撮影は難しいので、海など野外のロケーションの方が適しています。それで、以前から構想していた「ドローン・ライティング」をやってみようと、いろんな方の協力を得て2017年に撮影が実現しました。
以前使っていたモニターが、プリントの色と合わなくて…
――雑誌やCDジャケット、カタログなど、写真のお仕事も色々と手掛けられていますが、BenQのモニターを使用するようになったきっかけは?
星野 CDジャケットやカタログの仕事で、データ納品時に色見本を一緒に提出することがあるのですが、以前使っていたMacのモニターでは、プリントの色がなかなか合わなくて。ちゃんとハードウェアキャリブレーションできる写真用モニターがないと困るな、と思ったのがきっかけです。
フォトグラファーがある程度しっかり色味を仕上げて納品しないと、思った色に印刷されず、悔しい思いをすることがあったんです。
「KADOYA 2019SS」カタログ Model : Brodie norris
奥華子「KASUMISOU」(CDジャケット ポニーキャニオン) HM: 野中美希 D: Jiro Amimoto (CAPO Inc.)
――以前使われていたモニターだと、色を合わせるのが大変だったんですね。
星野 そうですね。かなり古いMacの外部モニターを使っていたから経年劣化もあったと思うのですが、キャリブレータ―でキャリブレーションしても、黒つぶれしたり、色が安定しなかったり、プリントとの色合わせが大変でした。
――BenQのモニターを選んだ理由は何ですか?
星野 値段が手頃でコストパフォーマンスが良いと思ったからです。実際にハードウェアキャリブレーションしてみると、色がきちんと再現できて品質が良いことがわかりました。色見本をつくる時間もだいぶ短縮されましたね。
それにすごくいいなと思ったのが、遮光フードが標準装備されているんですよ。だいたい別売りが多く、1~2万円はするのでこれはとてもお得ですよね。
内側にベロア生地のような、光を通さない素材が使われているのもいいなと思います。作業部屋の蛍光灯の光がモニターに反射してしまったりするので、フードは必ず必要です。届いてからすぐに使えるし、嬉しいですよね。
当たり前のようで、当たり前じゃない。
――今回、新しいモデルSW270Cを使っていただきましたが、いかがでしたか?
星野 いま使っているSW2700PTより色の安定感がありました。輝度も色も均一でムラがなく再現されているなと感じました。レタッチするときに200%くらいまで拡大してレタッチしていくのですが、そこでムラがないというのは非常に重要ですね。端と端で色の感じが変わってしまうと、写真を直すべきなのか、モニターが悪いのか、わからなくなってしまうので。モニターがきっちりしていれば、安心して作業が進められます。
また、個人的な感想ですが、赤が非常によく再現されているなと感じました。赤ってモニターに映ったときの再現が難しい印象があるのですが、実物に近い色を出してくれています。
使っていてストレスなく、きっちり色が再現できるって、すごいこと。カラーマネージメントモニターを使う前は、当たり前のようで当たり前じゃなかったですからね。
SW270CはDCI-P3 97%までカバー。赤色と紫色の表現領域が広くなっているため、純色に近い赤をさらに豊かに再現することができる。
――27インチ、WQHD(2560 x 1440 )解像度のIPSパネルを採用していますが、いかがですか?
星野 サイズはちょうどいいですね。画面もすごく綺麗で、ポートレートの肌のレタッチもしやすいです。
またモニターの高さを簡単に調節できたり、縦に回転させることもできるんです。縦写真が大きく表示できて、隅々まで見てからプリントできるのがいいですね。
――4K対応ではありませんが、気になりませんか?
星野 私は気にならないですね。4K動画を撮っている人たちにとってはマストだと思いますが、私はまだそんなに4Kでは撮っていないので、作業するには十分。それでコストカットできるなら、そのほうが良いです。
――星野さんはモノクロ写真もお好きだとおっしゃっていましたが、3段階のモノクロモードはいかがですか?
星野 はい、モノクロに合う写真はどの写真か? というのが、一瞬でわかるのがいいですね。実際に調整を加える前に、3種類のモノクロモードから写真をプレビューすることができるので助かります。
――キャリブレーションの時間も大幅短縮されたのですが、実感されましたか?
星野 はい。体感として、かかる時間は10分程度でしょうか。キャリブレーションって時間がかかるイメージがあったのですが、いま使っているSW2700PTと比べて明らかに短くなったという感じがしました。そこまで時間はかかりませんでしたね。
キャリブレータはSpyder4を使っているのですが、Sypderのソフトで行う「ソフトウェアキャリブレーション」より、無料提供されるBenQ純正品のPalette Master Elementを使って行う「ハードウェアキャリブレーション」の方が、やはり色味がきっちり合います。今回改めて両方試してみましたが、そこは強く実感しました。
紙媒体用とWeb媒体用、両方の色味確認が一度に
――Adobe RGB 99%、sRGB 100%をカバーする広色域ですが、Gamut Duo機能により異なる色空間を一目で比較できる機能があります。この機能、使う機会はありましたか?
星野 まだ実際の作業では使っていませんが、たとえば、仕事で紙媒体の場合はAdobe RGB、Webの場合はsRGBなど、媒体によって納品するデータが変わるんです。紙もWebもという場合は、Adobe RGBとsRGBの両方作って納品しなければならないときもあり、比べたらどう見えるのかという色味の確認ができるので、両方並べられるのは便利だと思いますね。
Adobe RGB 99%、sRGB 100%という広色域も、風景など空の青や鮮やかな色合いを映し出したいときに違いを実感しますね。
――ほかに気に入った点はありますか?
星野 私は動画も撮るので、映像編集にも対応しているというところがポイント高くて。車メーカーのメイキング撮影、メイク紹介動画の撮影、タレント撮影の現場でスチルと同時に動画を撮影することもあります。特殊な撮影で言えば、ダイビングのプロライセンスを持っているので、水中での撮影もあります。
マーヴェラスプレジャー紹介PV(水中 ドローン撮影担当)
ムービーの仕事もこれからどんどんやっていきたいのですが、そういったときに映像編集作業ができるのは強いなと思います。HDR10、ビデオフォーマット1080×24P対応で、スムーズに動画編集ができます。フォトグラファーでムービーもやる人にはお勧めしたい、一台ですね。
BenQ SW270C
☑27インチ WQHD (2560 x 1440) の解像度
☑Adobe RGB99% / sRGB・Rec.709100%、DCI-P3/Display P3色域97%までカバー
☑Thunderbolt 3対応 USB-Type C 搭載
☑故障時に5,000円で貸し出してもらえるセンドバックサポート!
標準で3年間の保証に加え、修理期間中に作業が滞らないように、同等性能の代替機を5000円(1回+消費税)で貸し出してくれる、有償サービスも。仕事中や作品制作中に突然の修理となっても安心。
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星野耕作(ほしのこうさく)
フリーランスフォトグラファー。公益社団法人日本広告写真家協会正会員。日本大学生産工学部機械工学科卒業。元メーカー子会社勤務。デジタルカメラの開発に携わる。現在、ポートレートを中心にスチールやムービーを撮影。雑誌、CDジャケット、カタログ、WEB等で活動中。ワークショップなどの講師も務める。http://kousakuhoshino.com/