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HOW TO / 作品制作のヒント

フォトコンテストで上位に選ばれた理由は?PPC vol.116の講評をチェック!



「PHaT PHOTO」の人気コンテストPPC。
毎号異なる3名の写真関係者を審査員としてお招きし、審査を行い、座談会形式で3名の視点から講評します。
上位50作品は必ずコメントがつくフォトコンテストです。

本記事では、上位入選8作品を一挙ご紹介。
1位に選ばれた作品の良さは?評価の分かれ目ってなに?審査員たちのさまざまな視点から、あなたの写真がレベルアップするヒントが見つかるかもしれません。

審査員:飯沢耕太郎/舞山秀一/テラウチマサト

三段階の面白さができている

1位「都市に生きる」崎田憲一(東京都)


――今回の1位は、テーマ応募で崎田憲一さんの作品「都市に生きる」。テラウチさんが1位、舞山さんが3位に選ばれました。

テラウチ 非常に大胆な構図が目を引きました。水辺に映ったビルの中で羽を休めている鷺ですが、見方によっては高層ビルに佇んでいるようにも見えて、まさしく「都市に生きる」という感覚がしました。光の当たり方や鷺の位置、ビルの鉄柱の斜めの入り方なども、よく考えられています。斬新な切りとり方を評価しました。

舞山 いくつもの要素が1つの絵になっているのがとても面白いです。水面に映ったビル群と、それを貫くような鉄柱があって、鷺がいなくても十分格好いい写真だったと思うんですよ。でも、そこに1つ生きものが加わることで三段階の面白さができている。グラフィカルな切りとり方ですし、見どころの多い作品だと思いました。

飯沢 お2人の話を聞いて、この作品を選んでおけばよかったなと後悔しました。虚像と実像との関係の在り方もいいですし、この鷺がやはり効いていますね。光と影のバランスは難しかったと思いますが、ちょうど少し光が当たったところで鷺を捉えることができている点も素晴らしい。まとまりのあるいい作品だと思いました。

シュールな場面の捉え方がうまい

2位「気付いて。。」奥田晃介(京都府)


――続いて2位は、2作品あります。まずは、自由応募で奥田晃介さんの作品「気付いて。。」。舞山さんが1位に選ばれました。

舞山 単純におもちゃの人形に着目して撮ったのかもしれないですが、構図がいいなと思いました。乳母車と、写真を撮っている人と子どもの3つの影が綺麗に斜めに伸びているところに、いかにも気付けと言わんばかりの人形。撮り方としてバランスがよかったです。人形の表情も少し怖くて、この場面のシュールさをきちんと捉えられていると思いました。

飯沢 バランスがよすぎたかなと思ってしまいました。上の子どものズボンと足の肌の色、人形の顔の色がマッチしていて、まとまりはいいのですが、あまりにもはまり過ぎている感じがする。ショッキングな作者のねらいを強調しすぎなくてもいいように思いました。

テラウチ 想像力を掻き立てられる作品ですね。ストーリーのある写真ではあるのですが、少しタイトルとのギャップを感じました。撮影意図にも、「人形の気持ちを想いながら撮影した」とありましたが、僕は作者が、単純にこの人形の面白さを捉えたように思ってしまい、そこまでの寂しさや、置いてけぼりにされた感覚は伝わってこなかったです。寄り過ぎていると思うので、もう少し被写体と距離をとってみるとよかったかもしれません。

絶妙な切りとり方の品のいい写真

2位「Nap」船見征二(栃木県)


――同じく2位は、自由応募で船見征二さんの作品「Nap」。飯沢さんが1位に選ばれました。

飯沢 なんでもない写真なんですが、切りとり方が絶妙でした。もっと手や顔が見えてしまっていたらつまらないですし、おへそが見えすぎても興を削いでしまう。微かなエロチシズムに留めたところが、品のいい写真になっていますね。日常の瞬間を切りとる、こういうものの見方は好きだったので今回1位に選びました。

テラウチ 飯沢さんが言われた通りとてもいい切りとり方ですよね。食器洗いを終え、干した洗濯物を取り込むと、妻が寝ていたので撮影したとのこと。この場面を切りとったことにも、文章にも、奥さんへの愛情を強く感じました。

舞山 実際はもう少し幅広く撮って、トリミングしたのでしょうか。上手い切りとり方だと思います。ただ、

もう少し緩さが空間としてあってもよかったかもしれません。

飯沢 足の方をもう少し伸ばしてもよかったと思います。上は切ってしまってもいい。その方がゆったりした感じになりそうです。

舞山 一方で、顔は出さないのが正解でしたね。お腹だけが緩く漏れ見えているところが本当に可愛らしかったです。

写真ならではの表現を教えてくれる

4位「海を渡る」山本健一(兵庫県)


――続いて、4位も2作品あります。まずは、自由応募で山本健一さんの作品「海を渡る」。テラウチさんが2位、舞山さんが特別賞に選ばれました。

テラウチ これはそう簡単には撮れない写真ですね。みんなが一斉に飛び込んでいった中で、遅れて飛び込んだ人がたまたま海の上を走ってきたように見える。右足の入り方や手のポーズなど、本当に上手いです。他のものが一切入っておらず、純粋にこの場面の面白さが光っていました。

舞山 写真でしか表現できないシーンですよね。こういう瞬間を撮れたということは、今後の大きな経験値になると思います。シャッタースピードによる遊びが、表現の1個になるということを、改めてこの写真が教えてくれました。

飯沢 お2人が言われた通り、絵的に面白くて、上手い作品です。これはねらってはなかなか撮れない。もしかしたら二度と撮れないかもしれません。だから、とても貴重な作品ですね。写真は、被写体やチャンスが向こうから突然来てしまうということが大いにある。この時は本当に、タイミングがよかったんでしょうね。

小さい奇跡の発見

4位「街の蜃気楼」引地麻美(埼玉県)


――同じく5位は、テーマ応募で引地麻美さんの作品「街の蜃気楼」。飯沢さんが2位、テラウチさんが特別賞に選ばれました。

飯沢 最初は見過ごしていたのですが、よく見直してみるとその面白さに気づきました。「天候・時期・時間など条件が揃った時にだけ現れる景色」とありましたが、これは本当に小さい奇跡ですよね。そのことを発見できただけでも、とてもよかった。少し黒く落とし過ぎているところは惜しかったですが、こういう写真の在り方も評価したいと思い、2位にしました。

テラウチ 写っているものは、道路に溜まった水。日常にありふれた風景ですが、光の活かし方によって、もっと広大な風景のように見えてきました。空撮で撮った工場地帯や、あるいは水の張った夜の水田のようにも見える。作者の工夫した切りとり方を感じました。

舞山 写っているのは風鈴ですよね。黒の中に光のラインが美しく、そこを遮るような風鈴も印象的です。綺麗な光景なのですが、僕にはお墓のように見えて怖かったです。それで少し気持ちが引いてしまいました。でも、バランスのよい構図と切りとり方だと思います。

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✔ 絶妙な合わせ技のシャッターチャンス
✔遊びを効かせたグラフィックな1枚

と評された、6位~8位の講評をチェック!


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