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HOW TO / 作品制作のヒント

フォトコンテストで上位に選ばれた理由は?PPC vol.116の講評をチェック!


絶妙な合わせ技のシャッターチャンス

6位「ギャップ。」okirakuoki(東京都)


――続いて6位は、自由応募でokirakuokiさんの作品「ギャップ。」。テラウチさん、飯沢さんが3位に選ばれました。

テラウチ 本物の猫2匹のシャッターチャンスが絶妙ですね。それだけだと物足りないですが、後方にそれとは対照的に穏やかな猫のオブジェがある。作者のねらいがうまくいっているなと思いました。

飯沢 合わせ技とでも言いましょうかね。その合わせ技は本当に効いていますし、ふたつの出来事の間の距離感もちょうどよかったです。あんまり近いとつまらないですし、遠すぎると見えなくなってしまう。縦位置でうまく収まっていると思いました。真ん中の黒猫のポーズも絶妙ですよね。最近猫写真は数多くありますが、このような格好の猫写真は見たことがありませんでした。

舞山 いい手の広げっぷりですよね。恐らくふだんからカメラを持って、ある程度構えていないと撮れない写真だと思うので、本当にいいタイミングを確かな力で捉えたという感じがしました。

遊びを効かせたグラフィックな1枚

7位「Work haed,Play hard」カラスヤマアヤ(神奈川県)


――次に7位は、テーマ応募でカラスヤマアヤさんの作品「Work hard,Play hard」。舞山さんが2位に選ばれました。

舞山 グラフィック的に綺麗だなと思って選びました。ドキュメンタリックに撮ったものや、偶然撮った面白さも写真の要素ですが、こうして構図を決め、そこでどう撮るかという遊びを効かせたものも、やはり写真のこれからの道の1つかなと感じました。

飯沢 プロのような仕事ですよね。プロの作品に近づけようという野心は、非常に大事なことです。こういった作品を撮り続けていけば、きっと撮影技術もだんだんと身についてくると思います。

テラウチ 壁とビルの影が特徴的で面白く、まさしくグラフィックな作品です。ただ、少しそこだけで終わってしまっているかなという感じもしました。レタッチで影をいじってみたり、服やポーズを変えて何タイプか試してみたり。格好いい写真に、なにかもうひと工夫加えられるとよかったですね。

この場所だからこそ撮れた、格好良い剱岳

8位「くりと剱岳」黒川智康(富山県)


――続いて8位は、自由応募で黒川智康さんの作品「くりと劔岳」。飯沢さんが特別賞に選ばれました。

飯沢 栗の形だけでなく、劔岳の景色もいいですね。少し雪を抱いた山が美しい。この場所に行かないと撮れない風景という意味では、とてもうまくまとまっています。ただ、人物や後ろの小屋などの処理をもう少しできればもっと面白くなったかなと思いました。

テラウチ 飯沢さんが言われたように、劔岳がとても格好よく撮られています。下を入れずとも、劔岳だけで十分存在感がありますね。少しアングルを変えるだけで、大分印象が変わりそうです。

舞山 可愛らしい作品ですが、飯沢さんが言われたように、人が活かされていないように感じました。劔岳と、栗と、公園の中にいる人。小屋は動かないにしても、人は待っていれば面白いことになる可能性があります。たとえば左に写っている人は野球をしていますが、ジャンプをしてフライを取る瞬間を待つとか。もう少し待ってみると、ただの発見に終わらない作品に仕上がったと思います。


いかがでしたか?
偶然を捉える面白さと、構図を決め待ち構える面白さ。
1つに縛られない写真の魅力を感じる講評でした。
あなたが撮りたいと思う写真は、どんなものですか?
改めて考えてみてもいいかもしれません。
次回は入選作品9点の講評をご紹介します!


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