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HOW TO / 作品制作のヒント

フォトコンテストで上位に選ばれた理由は?PPC vol.114の講評をチェック!



「PHaT PHOTO」の人気コンテストPPC。
毎号異なる3名の写真関係者を審査員としてお招きし、審査を行い、座談会形式で3名の視点から講評します。
上位50作品は必ずコメントがつくフォトコンテストです。

本記事では、上位入選8作品を一挙ご紹介。
1位に選ばれた作品の良さは?評価の分かれ目ってなに?審査員たちのさまざまな視点から、あなたの写真がレベルアップするヒントが見つかるかもしれません。

審査員:小林正明/松本友希/テラウチマサト

アイディアと努力が素晴らしい

1位「Go up↑」烏山彩(神奈川県)

――今回の1位は、テーマ応募で烏山彩さんの作品「Go up↑」です。小林さんが2位、松本さんが3位、テラウチさんが特別賞に選ばれました。

小林  今回のテーマである「新たな気持ち」というものに沿って、一生懸命工夫して撮られたことが伝わってきました。全体としてシンプルにまとまっていて無駄もない。
ただ、個人的にはこの木が少し枯れ気味なので、上へ飛翔するという意味であれば、若い新緑でもいいような気はしましたね。

松本  帽子を投げて撮られているんですよね。広角なので実際にはそこまで高くは上がっていないかもしれませんが、ここで何時間も粘った、撮影に懸ける作者の努力が垣間見えました。帽子がうまく木の隙間に配置されて、そこにちょうど目がいくような構図ができている。光の射すところに浮かぶ帽子に、テーマの「新たな気持ち」を強く感じました。

テラウチ  本当にいい位置に帽子を収めていますよね。作者のアイディアと努力が素晴らしいです。確かに新緑であれば、より明るいイメージは出るかもしれませんが、僕はこの枯れた色味に惹かれました。

黒い帽子と茶色い木々で一歩進んだその先を想像させる。新緑と青空だとありがちになってしまう気がするので、新鮮でお洒落な表現の仕方だと思いました。

センスが光る空間と人物設定

2位「覗き見」崎田憲一(東京都)


――続いて2位は、自由応募で崎田憲一さんの作品「覗き見」。テラウチさんと小林さんが3位、松本さんが特別賞に選ばれました。

テラウチ  望遠レンズでポスターの目を引き付けて撮られているんですね。とても面白いアイディアです。この作品のポイントの1つは、右側に写る男性ですね。いかにも覗き見に気づいているかのように窓の外を見ている。男性が、普通のTシャツなどではなくクラシックな格好をしているところもよかったです。

後ろにあるのは楽器でしょうか。重厚なカーテンに、上品な格好の紳士。案もさることながら、この空間と人物の選択にも作者のセンスを感じました。

小林  今回の入選作品の中では突出していましたね。広告を利用してアイディアで勝負している点がよかったです。ないものねだりを言うと、男性の背景が気になりました。現実味があっていいのですが、視線が背景に誘導されてしまうので、もう少し整理していくと、よりシンプルに目と人物が際立ったかなと思います。

松本  このようなシーンを発見し、撮影に挑むバイタリティが素晴らしいですね。女性がミニチュアのセットを見ているような感じがして、発想にも驚かされます。

ただ、絵から想像が膨らむかと言われると、ここで終わってしまうかもしれません。どんな風に撮ったかの想像は楽しめますが、この1枚から何か物語を思い浮かべるのは少し難しい気がしました。

誰が見てもストレートに伝わる強さ

3位「大群」イトウエージ(千葉県)


――次に3位は3点あります。まずは、自由応募でイトウエージさんの作品「大群」。小林さんが1位に選ばれました。

小林  現在は広告の中でも、環境問題を扱ったものが多く見られます。自然がつくった鳥の大群の造形と、向こうに見える非常に人工的な煙突が、そのような環境破壊のメタファーのように感じられました。

綺麗な光をシンプルな構図で捉えていて、テクニックも非常にあります。どこの誰が見ても、ストレートに伝わる強さがあったので1位にしました。

松本  「鳥の大群に恐怖を感じた」と書かれていましたが、私はそこまで恐ろしさは感じませんでした。煙突が真ん中にあることで、鳥たちが少し沈んでしまったような気がします。

中央にある煙突によってシンメトリー感が強くなってしまって、恐怖という気持ちよりも、画として捉えてしまいました。鳥の流れを見せるためには、煙突は画面の端にあってもよかったかもしれませんね。

テラウチ  珍しい瞬間を捉えられていますが、
プリントの色味が青すぎる気がしました。白い煙がM字で、飛んでいる鳥のシルエットのようにも見える。

さらに、小林さんが言われたような自然と人工物がつくる造形的な面白さもあって、ここまで写真を青くしなければいけない必要性を僕は感じられませんでした。作者自身が作品の本当の面白さに気づけていない気がして、そこが惜しかったです。

まるで小説のワンシーン

3位「A girl on the hill」Arki(茨城県)

――同じく3位は、自由応募でArkiさん「A girl on the hill」。松本さんが1位に選ばれました。

松本  ぱっと見て惹かれた1枚です。奥行き感もあり、向こうの霞んだ山並みも、少女の白いワンピースと暗い背景のコントラストも美しいなと思いました。

素足の部分を捉えたり、上をぎりぎりのラインで切っているところなど、よく観察して撮られるのが伝わってきます。まるで小説や映画のワンシーンのようでした。

テラウチ  これはドキュメンタリーでしょうか。個人的には、もう1・2メートル引いてもよかったような気がします。ここまでアップにせず、美しい丘の景色の中に少女が立っている方が、よりドキュメンタリーチックな距離感が演出できると思いました。

ポジションをほんの少しずらすだけで、人物や写真の印象は変わります。この場所がベストなのか、1つのシーンで色々試してみて欲しいですね。

小林  この作品は、少し上から撮られていますよね。空を入れず、稜線と地平線だけで見せる目線がよかったです。

ただ、髪の毛が真っ黒につぶれてしまっているところは少し気になりました。プリントだと焼き方によって、線が出てきたり色味も違ったりするので、ぜひ試してみてほしいです。

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✔同じ時間、異なる風景が写真で1つに
✔作者のこだわりが結実している
✔「なんだろう」のインパクト

と評された、3位~8位の講評をチェック!


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