15周年記念フォトコンテストPPC審査発表
2015年秋、「PHaT PHOTO」15周年を記念して
読者の皆様からオンラインで応募いただいたPPC(フォトコンテスト)応募作品。
多くの応募作品から選出された37作品と、3名の審査員が票を投じた作品講評をご紹介します!
≪審査員≫
飯沢耕太郎氏(写真評論家)×ハービー・山口氏(写真家)×テラウチマサト氏(写真家)
1位「高家」 坂本和基
飯「すっぱりと切りとったのが良いね。空が見えないのもポイント」
ハ「グラフィック的にしたのが面白いね」
飯「そう。そして煙があることで、グラフィック的に終わらせないのもいい」
テ「切りとりが難しい場所だけど、上手いね。地面を入れているのも大きいですよ」
ハ「合成などせずに、“こんな所があるんだ”っていう事実や驚きが直球で伝わってきました」
2位「靴を磨く」 ScoppDesign
テ「靴はピカピカに磨いてあるんだけど、かといって新品ではないんですよね」
飯「そこがポイントですね。新品でないのが実にいい」
テ「結構疲れている靴を2つ並べているから、すごくイマジネーションが沸いてくる」
ハ「もしご夫婦だとすれば、こうやって寄り添って大事にしてきたんだろうなっていう人柄や夫婦の仲の良さを感じます。靴を撮ってはいるけども、2人のポートレイトですよね」
3位「婚家」 曽我剛
テ「偶然写った! という感じがする。それを面白いと感じられたところが良いですね」
飯「見慣れた風景が、雪によって変わって見えるから新鮮に感じられるし、驚きがあると思う」
テ「あとマスクもポイントじゃないですか?」
ハ「たしかにマスクで隠してあるから想像させますよね。ニコニコ笑っていたら違う見え方になるかも」
テ「防犯カメラに写ってしまった人のようにも見えますね(笑)」
4位「反射する横顔」 Kazeo
テ「この横顔は曖昧だから良かったのかな」
ハ「曖昧さが良かったと思いますよ。美人の横顔だったらそちらにテーマがいっちゃうから。あとバックミラーにロンドンの街が写っていて、ロンドンでの楽しい時間がここに映っているようにも感じます」
テ「飛行機がとても効いてますね」
飯「空にあったら目立たないし、飛行機が雲の上にあったのが良かったです」
4位「冷蔵盆栽」 中井隆雄
テ「こんな所に置いた面白さもあるんだけど、カッコいいライティングだと思って。ちょっと宇宙船みたい」
ハ「これがオリジナリティじゃないですか? 冷蔵庫の中で撮るなんて誰も思わないから」
飯「実験精神ですよね。やってみるのは簡単なようで難しい。ここに野菜とかビール瓶があったときの盆栽の在り方は…ってやりすぎかな?(笑)すっきり感が良いのかもね」
6位「spotlight」 IWA
ハ「どういうライティングなんでしょう?」
飯「たまたま光が上手く入ったんじゃないでしょうか、ブレが効いてますよね」
テ「流して撮ったんでしょうね。カッコいい写真ですよ」
飯「鉄道写真はピシッと止めるのが普通だったけど、表現が変わってきましたね」
ハ「昼間だったらつまらなかったでしょうから、光が良かったなと思いますよ」
6位「唄」 cocorogaoka
テ「マイクスタンドを持って行って撮ったんですね」
ハ「マイクスタンドは意外な組み合わせだね。もし人物のシルエットなら意味の異なる作品になってしまうから、良かったと思いますよ」
飯「きれいな風景写真です。マイクもこの作品には必要があったんだね。でも1枚写真じゃなくて、シリーズものとしたら見え方も違ってくるんじゃないかな」
6位「インダストリアルウェイブ」 岡本健(@kenmainr)
飯「新しい工場写真の形みたい」
テ「色味も素敵ですよ。写真って見え方が面白いとか切りとり方で作品になると思うので、そのひとつの形かもしれないですね」
ハ「雑然としているから、どこをフレーミングするかというセンスですね」
飯「こういう写真はわりと見るけど、これはウェーブというかウェットですね、質感が上手くいったと思います」
9位「何か?」 西端久
テ「女の子と見ている人と、奥のおじさんと、絶妙な位置関係ですよね!」
ハ「僕が梅田阪急でトークショーしているときですね。シャッターチャンスをねらっていて緊張感がある」
飯「女の子が戻ってくるのを想定して撮ったそうですが、わりと想定ってできるようで難しい。いい写真家は次何が起こるのかを予想して撮りますから」
9位「下校路」 ぐんじゆうじ
テ「一貫して同スタイルを続けている方です」
飯「僕は商品性みたいなものを感じてしまうかな。コンテストで評価するとなると難しい」
ハ「僕はスナップ派ですが、こうした世界観もありますよね」
テ「この切りとり方の高校生を見ると、この年代独特の悩みや興味とか秘めている感じは、ヨーロッパや海外で評価は高いのかなと思います」