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HOW TO / 作品制作のヒント

展示プリントの「これだけ!」ポイント【自宅プリント編】



細かい部分まで自分でコントロールしたいのであれば、自宅でのプリントがお勧め。サイズなど自宅にある機材の範囲での選択肢にはなりますが、紙選びやレタッチをしていくことにより、写真や作品への理解がより深まることにもつながります。

「展示」をするなら顔料がお勧め!

自分で作品をプリントする際、知っておくべきは染料プリンターと顔料プリンターの違いです。染料は、光沢感を得やすく透明感があり彩度が高いです。コストも低く手軽に色々プリントしたいならお勧め。顔料は、階調性が豊かで速乾性があり色が早く安定します。作品展示など、クオリティーを訴求するならうってつけです。

顔料
顔料は紙の上に定着するインクです。染料プリンターに比べ高価な製品が多いですが、色表現や階調が豊かなことや、使用できる紙の種類が染料に比べ多いことが特徴です。色の安定性が高く、プリント後にすぐ色の確認ができるので、レタッチを多くする人にも適しています。また、光源よる色の見え方の差も少ないため、展示を考える人には顔料がお勧めと言えるでしょう。
エプソン プロセレクション SC-PX5VⅡ

染料染料は文字通り紙に“染み”込むインクです。このため、プリントの光沢や質感は、プリント用紙に大きく左右されます。鮮やかな色を出したい人、透明感を出したい人にはこちらがお勧め。ただし、色の安定性が顔料インクに比べて低く、色が定着するのに約半日かかってしまうことや、光の環境によって大幅に色味が変化しやすいことを理解しておきましょう。
エプソン カラリオ EP-977A3

プリントサイズをまず決めること!

きれいに見えるために必要な画像解像度は、プリントサイズと関係しています。インクジェットプリントの際は、最低でも240~300dpi程度の解像度があるといいでしょう。プリントサイズが大きくなるほど鑑賞距離は離れるので、必要とされる画像解像度は低くなります。サイズに対して下記の目安以上の解像度でプリントしても、劇的に精細感が向上するわけではないので、適切な解像度を把握してプリントをしましょう。

プリント前に「会場の事前確認」と「プリンターのメンテナンス」を忘れずに!

プリントは、光の色や強さによって見え方が大きく変わります。自宅で思い通りに仕上がったプリントも、展示会場のライトで色かぶりをしてしまうことも。また、サイズのチェックも重要で、会場ではじめて「小さい!」と気づくのはよくある失敗です。プリント前には展示会場の環境をチェックし、サイズや紙の種類、仕上げ方をイメージしましょう。

また忘れがちなのが、プリンターのメンテナンス。仕上げの段階で「きれいにプリントできない」という原因には、意外とプリンターメンテナンスができていないことが。ここは面倒くさがらず、無駄なプリントを減らすためにも、プリントヘッドを掃除する「ヘッドクリーニング」と、印刷位置のずれを調節する「ギャップ補正」は行ってからプリントをしましょう。

この4種類の用紙を覚えておこう!

プリント用紙には、大きく分けて左の4種類があります。どの用紙を選ぶかは表現によって変化しますが、大切なのは「自分の基準」を持っておくこと。まず「光沢」や「半光沢」のベーシックな用紙を選び、毎回はじめはその用紙でプリントするのがお勧め。それを基準に、他の紙の質感や色を見ながら最終プリントをイメージしていましょう。

光沢紙
例:エプソン クリスピア

コントラストや彩度を出しやすく、抜けのある鮮やかな印象を出すときにお勧め

半光沢紙
例:ピクトリコ セミグロスペーパー

コントラストや彩度を出しやすく、抜けのある鮮やかな印象を出すときにお勧め

マット紙
例:エプソン フォトマット紙

色に少し落ち着きがある。反射が少ないため、展示でも選ばれることが多い

アート紙
例:ハーネミューレー Photo Rag

「質感」の際立つ特殊な紙が多い。適度な凸凹があるものは立体感を感じやすい

「紙白」もチェック !

紙の白にもさまざまな色があり、表現に大きな影響を与えます。プリントを見ると(下図)、同じデータでも紙を変えるだけで、時間帯や気候などの印象も変えることができます。撮影時の肌寒さ、空気の澄んだ印象を表現したい場合は青みのある用紙が、逆に暖かさや、明るい印象に仕上げたい場合は、黄みのある用紙が合うことが多いのです。


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