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HOW TO / 作品制作のヒント

展示プリントの「これだけ!」ポイント【自宅プリント編】


「何もいじらず」を必ず1枚出すこと!

意外と知られていない自宅プリントのコツは、まずストレートプリント(レタッチなど画像調整を一切していないプリント)をすること。これがイメージとどう違うかを見てから調整をはじめることで、無駄なプリントを大幅に減らすことができます。また最初の設定で気をつけておきたいのは、用紙のドライバー設定。特に純正紙でない場合は、用紙パッケージやWebページに、「どのプリンターの場合はどのドライバー設定にするか」が示してあるので必ずその設定で出力しましょう。

「色が合わない」のは実は当然。
ひとまず部屋のライトを変えてみよう

「PCモニターの色と、プリントの色が合わない!」という悩みはよく聞きますが、「合わない」という前提で、「どれだけ近づけるか」を考えることが大切です。特にノートブック型のPCは角度によって見える色が変わるため、一致することはありません。色を「近づける」ためには、専用モニターや専用の蛍光灯を揃えるのがベストですが、最低でも20万円ほどかかります。部屋のライトを緑のパッケージの昼白色の蛍光灯にしたり、プリントを見るときにカーテンで自然光をシャットアウトしたりするなど、手軽にできることからはじめましょう。

「質」と「表現」の2つの目的を明確に!

補正の目的は、(1)撮影時の不具合を整えてクオリティをあげる作業、(2)自分の意図(写真で伝えたいこと)を反映させる作業、この2つに分けて考えましょう。これを明確にせずに補正を進めてしまうと、補正の繰り返しによって不自然な仕上がりになるだけではなく、画像の劣化につながります。また補正は必ず「全体」から「細部」という順番で作業を行いましょう。

「質」の補正はハイライトとシャドー

ストレートプリントを元に、「黒が締まっていない」「色が浅い」「白抜けがいまいち」といった、目的(1)の「撮影時の不具合を整えてクオリティをあげる作業」を行います。いちばん見せたい部分が黒潰れしていないか、白飛びしていないかを確認しながら、ヒストグラム(右画像)上の両端の▲を調整しハイライトとシャドーを補正していきます。最初にハイライト側とシャドー側のヒストグラムを別々に調整しましょう。そして最後に中間調(真ん中の▲)を調整し、画像のクオリティを整えるのが有効でしょう。

「表現」の補正は明るさ、コントラスト、色合い

クオリティをあげる作業が終了したら、目的(2)の「自分の意図(写真で伝えたいこと)を反映させる作業」を行います。これは、「明るさ」「コントラスト」そして「色合い」の調整によって表現していきます。展示の場合は、1枚1枚最適な表現をするよりも、作品全体のトーンを揃えることがポイント。また、最終的に大きなサイズをプリントに仕上げる場合、細かな調整の度に出力するのは用紙も時間ももったいないので、テストプリントすることがお勧め。原寸大のデータの一部を、小さな紙にプリントアウトして、色味を確認しましょう。

(1)
まずはストレートプリントで写真の状態をチェック。このままでは黒の締りが悪い印象を受けます

(2)
ハイライト、シャドーを調整し、黒の締まりをつくります。これだけで、ぐっと写真の質があがります

(3)
最後に明るさや色味の調整を。調整し過ぎると不自然になるので、イメージに近づける最低限の補正を

キーワードは「白飛び」 「黒潰れ」

本番プリントの出力が終わったら、補正目的と同じように「クオリティ」が保てているか、「表現のイメージ」に合っているかどうかをチェックしましょう。補正時にも記した「見せたい部分が白飛び・黒潰れしていないか」はしっかりとチェックを。失敗プリントも全て捨てずに、(1)プリントしたデータ名、(2)どのような補正をしたか、(3)用紙名、(4)なぜNGにしたか、といったことを記録して残しておくことをお勧めします。次回以降の作品づくりに活躍してくれるはずです。

最後に、コンディションの確認を!

さていよいよプリント完成も近づいてきました。最後は、プリントの「コンディション」をチェックします。これは、「折れ」「汚れ」「キズ」といった、用紙の状態のことです。せっかくいいプリントができたとしても、ここが疎かになってしまうと台無しです。最後まで気を抜かず、あなたにとって最高の1枚を生み出してくださいね!


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