内藤由樹の海外武者修行ログ
vol.25 やっとの思いで辿り着いた渓谷の話


2012年関西で行われた日本最大級の写真イベント「御苗場」でレビュアー賞を受賞した注目若手作家・内藤由樹。
世界各地を巡り、現在ペルーにある「Centro de la imagen」のマスタークラス在籍中。
http://yuki-naito.tumblr.com

グアテマラの村には1ヶ月くらい居ました。
マスタークラスの奨学金申請のポートフォリオをずっとつくっていた。
テキストがうまく書けないので、仲良くなったスペイン人のヒッピーにビールを渡して添削をしてもらっていました。
そこでの生活に慣れたけど、飽きたので、それが仕上がったタイミングで村を出てメキシコに向かいました。
バス、めちゃ長かったし、途中で暴動があったり、タイヤがパンクしたりして疲れました。

そうしてなんとか、メキシコのチアパス州にあるサンクリストバルに到着しました。
そこはオシャレな街で、ヨーロッパやアメリカ合衆国からの移住者も多いところです。
ちょっとバスで行くだけで自然があります。
私は渓谷がたまらなく好きなので行くことにしました。
朝早く起きて、バス停に行ってバスを探して、運転手に○○に着いたら教えてねと頼みました。
運転手はおっけー!1時間くらいで着く!と言ってくれたのですが、この辺の人は、良くも悪くも適当なので何度も念を押して、運転席の近くに座りました。
が、1時間が過ぎても全く呼ばれず、過ぎてないよね?と訪ねても
まだだ。着いたら教えるから心配しないでーと言われるばかりです。
2時間が過ぎておかしいと思いもう一度聞くと、実は…もう過ぎてる。と言われた。
怒り、一悶着あった後、そこで降ろされた。

どうしたらいいのかわからないが、とりあえずコレクティーボを探すことにしました。
コレクティーボとは、中南米で走っている乗合バス(ミニバンみたいなもの)です。
運転手ともうひとり相棒みたいなのが車から半身を乗り出してひたすら行き先を叫んでいるので
自分の行きたい方面に行くものを探して呼び止めて乗るのです。
けっこう難しい。
なかなか見つからない。
人に聞いてもみんなバラバラのことを言う。

困って暑くて疲れて半ば諦めかけて打ち拉がれて座っていると、
ずっと私を見てたタコス屋のおばちゃんが話しかけてきました。
外人にはコレクティーボ難しいからタクシーで行きなさいと。
でもお金を持ち合わせてなくてそれを言うと、
何で日本人のくせに貧乏なの?
あんた学生?何歳?と聞かれた。
タクシー代800円くらいも持ってなくてこんなにオロオロしてて
こんなのが日本の大人だと思われたらいけないと思って、
ハタチです。
と答えてしまいました。
おばちゃんは、まあ、それなら仕方がないわね、よくこんなとこまで来たわね!
と言って、近所の人に聞き、目当てのコレクティーボが走ってるところまで私を連れて行き一緒に待ってくれました。
そして料金回収の兄ちゃんに、
この子からぼったくるんじゃないわよ!!!
そして○○に着いたらちゃんと教えてやるのよと念を押してくれた。
ごめんおばちゃん、わたし本当は、最近27歳になってん。と思いながら
もらったタコスを食べていました。

そんなこんなで渓谷に着き、2時間のボートツアーに参加しました。
ボートのメンバーに、なんでそんなに写真撮ってるの?と聞かれ、
フォトグラファーだから。と答えると、
曇っているの困ったねえ。と言ってみんないきなりお祈りを始めました。
そしたらほんとに一瞬だけど太陽が出てきて拍手が起きました。
とても疲れたし、とても暑いし、ツアーもとても値上がりしていてびっくりしたけど、
いい景色が見れて満足。
ちなみに、スミデロ渓谷といいます。
チアパスに行くことがあれば、ぜひ。

内藤由樹 / ないとうゆき
1987 年大阪府生まれ。2013年 キヤノン写真新世紀 佐内正史選・佳作/第2回御苗場夢の先プロジェクトグランプリ/キヤノンフォトグラファーズセッション ファイナリスト/2012 年 御苗場vol.11 関西 レビュアー賞/写真集に「being」(2013年・TIP BOOKS)がある。

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