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御苗場2018 受賞作品&選考理由発表! エプソン賞/ソニー賞/ジャンル賞

Event, 御苗場


 

ソニー賞

世界最大規模の写真コンテスト「ソニー ワールド フォトグラフィー アワード」。毎年ロンドンで開催され、世界各国から600名を超える写真プロフェッショナルが集まる授賞式へ特別招待。その模様をソニー製カメラにて取材していただきます。
ソニー賞受賞者のロンドン取材のレポートは「PHaT PHOTO」のWebサイトにて掲載、また同内容をもとにしたパンフレットが制作されます。

 Kevin Yang

「Pure in Smog」

《select》ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社

選考理由
 ソニーは写真文化の発展への貢献を目的にさまざまな文化活動を支援しています。その1つが世界最大級の写真コンテスト ソニーワールドフォトグラフィーアワード(SWPA)で、プロフェッショナル・アマチュアを問わず写真家が世界へと大きくはばたくお手伝いをしています。この御苗場も目的は同じ、そして両者を繋ぐ架け橋としての役割を担うのがこのソニー賞です。今回もこのような視点から選考を行いました。

ケビンさんの作品は中国のある若者を密着取材し、急速に変化する現代中国社会における世代間の価値観の違いや、さまざまなひずみを描き出そうとしたものです。今回ソニー賞で行くロンドンも、このような視点で捉えることで日本、中国では気づかなかった新たな発見ができるのではないか、という期待を込めて選ばせていただきました。今回の渡英が今後の写真家としての活動の刺激になり、さらに充実した創作意欲につながることを祈念します。

《受賞者特典》

・賞金10万円(現地でのレポート協力費)
・ロンドンへのフライト+宿泊
・取材時に使用するソニー製カメラの貸出

 
 


concept
空気汚染などたくさんの社会問題を抱えている高速発展中の中国を舞台に、90年代生まれという特徴的な世代にフォーカスし、彼らのラブストーリーを描いてみました。不穏な色に包まれる空、川、そしてロマンス。作者の私でもこの作品を観ながら思わずドキドキしてしまうような世界です。

question
――この作品で伝えたいことを教えてください。
激動する時代だからこそ、スナップ写真家にとって記録しなければならない出来事がたくさんあります。しかし、硬苦しいドキュメンタリーをつくる気にはなれなかったので、美しいもので背景を引立てようと思いました。その中で、若者のピュアなラブストーリーより美しいことはないと考えています。全体的に毒々しい色でトーンを揃えたのも、彼らが置かれている社会の環境を表現したかったからです。

――この作品を撮影することになったきっかけは何ですか?
以前「セーヌ左岸の恋」という1冊の写真集に心打たれたことがあります。その影響かもしれませんが、私は無意識に自分のスナップ写真にも主人公という存在を求めました。ちょうど去年中国で写真展を開いたときに知り合った若者と仲良くなったので、彼らにお願いしてみました。そして作品は徐々に私の理想に近づきました。

――作品を作る上で苦労したことはありますか?
1ヶ月半も及ぶ密着取材で数千枚のカットを撮りました。さらにふだんから撮り溜めている街のスナップもあり、そこから1本のストーリーを仕上げるためのセレクト作業は相当大変でした。1ヶ月ほどずっとセレクトをしていましたし、搬入当日ギリギリまで悩んでいました。

 

――作品に対する熱い思いを語ってください!
モデルさんを綺麗に撮るとか、報道写真なら報道写真らしく撮るということはもちろん重要だと思います。ですが、それよりもっと重要なことは作家としての自分の考えを持つことです。たくさんの社会問題を抱えている今の中国が悪い時代だとは全く思っていませんし、むしろほとんどの先進国が経験してきた時期だと思います。この時代を跨る世代がこれからたくさん学んで、いろいろ経験することによってやっと穏やかな心を手に入れられるのではないでしょうか。

私が描いた90年代生まれの若者たちはそのパイオニアに違いないです。ゆえに、社会のネガティブさを全面的に出すのではなく、油絵のようなロマンチックな写真も取り入れてポジティブなものも表現してみました。

今回の作品は賞を目指して構成した作品でもありませんし、全ての人が共鳴してくれると全く期待していませんでした。でも私はすごく満足しています。なぜなら、自分の思いが一部の来場者にちゃんと伝わっただけですごくうれしかったです。本当に有難うございました。

Kevin Yang
1979年、中国で生まれる。2003年に来日し、趣味で写真を始める。2014年PHaT PHOTO教室に入ったことをきっかけに、自分自身の感性と写真に対する理解が変化。2015年脱サラと同時に、世界で活躍できる写真作家を目指しはじめる。今もベンチャー立ち上げに携わりながら作家活動を続けている。また、写真の力をさらにたくさんの人に伝えたいと考え、中国でボランティアとしてチベットや障害のある子供たちに写真を教える活動にも取り組む。
Instagram(@photographer_ky

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