内藤由樹の海外武者修行ログ vol.2 はじめて英語で本気の喧嘩をしようとしてできなかった話
2012年関西で行われた日本最大級の写真イベント「御苗場」でレビュアー賞を受賞した注目若手作家・内藤由樹。
現在世界各地を旅しながら写真を撮影している。
http://yuki-naito.tumblr.com
交差点。
左手には客待ちのタクシー。
歩道から1歩出たところで信号を待っていると、のろのろとタクシーが近づいてきて
私にぶつかって体がボンネットの上に乗っかってしまい、
そのまましばらく止まりませんでした。
運転手はサイドブレーキを引かないまま携帯をいじっていて、
こっちを見ていなかった。
わたしは気づいてもらおうと必死にボンネットにパンチしました。
車は止まり、運転手は車から出てきて
「ボンネットへこんでるやんけ!弁償しろ!」
と怒鳴りました。
すぐに訴訟問題になるアメリカ、
そんなもん絶対払いたくないのでこちらも必死に言い返しましたが、
超巻き舌のスパニッシュなまりの相手の英語は聞きとれず、
超舌足らずなこちらの英語も意味が全く通じず話になりませんでした。
とにかく激しくまくしたててくるその運転手に負けそうになった時、
アメリカ人のおじさんが仲裁に入って
「この子あのままやと怪我をしていたかもしらんやんけ!」
と、私の代わりにパーフェクトな英語で怒鳴りつけてくれたので
運転手はなんとか引き下がりました。
おじさんにお礼を言い、帰る道すがら
ちゃんと自分で反論できなかったことを情けなく思って悔しかった…
そしてよく考えたら、途中から大坂弁で喧嘩していました。
英語力アップの必要を感じた。
内藤由樹 / ないとうゆき
1987 年大阪府生まれ。2013年 キヤノン写真新世紀 佐内正史選・佳作/第2回御苗場夢の先プロジェクトグランプリ/キヤノンフォトグラファーズセッション ファイナリスト/2012 年 御苗場vol.11 関西 レビュアー賞/写真集に「being」(2013年・TIP BOOKS)がある。
次の話を読む
vol.3 学校見学とNYの人情に触れた話
vol.4 新しいところに移るのは怖い話
vol.5 新しいものに慣れていく話