ステップアップのヒントに! フォトコンPPC vol.117 「もうちょっとで入選!」審査員の講評
「冬は必ず春となる」TERRA(青森県)
青森県の下北半島にある尻屋崎へ行かれた時に撮影した、寒立馬(かんだちめ) とのこと。吹雪のなか、しっかりと大地を踏みしめる馬に、厳しい寒さと生きのびる強さを感じます。おそらく多くの馬がたたずむ中、主役となる馬を見つけて撮影されたのがすごくよかったと思います。この馬は何を思ってたたずんでいるのか、春はどのような表情をするんだろうと、思いをはせました。
「秋の日」倉谷さち子(富山県)
「雲間から光が差し、何気ない風景が色を変え輝いて見えた瞬間を撮りました」とあるように、日常の 一瞬に特別なものを感じて撮られた感性が素敵だなと思いました。光に反応して撮られたのはすごくよかったのですが、もう少しお子さんが何をしているのか、わかったほうが、良かったように思えます。もしくは組み写真の1枚として、効いてくる写真だ と思いました。
「明日へ」黒澤洋一
今年の箱根駅伝を撮影されたものとのことです。前に向かって一心に走る人の姿が背中で表現されていますね。「明日へ」という希望も感じられなくないですが、一方で、前を向いてみんな一様に走っているため、毎日、満員電車に揺られ、同じように通勤する日本人の生真面目さみたいなものも感じました。希望を表現するには、少し余白をとった構図でもよかったかもしれないですね。
「期待と不安」岩田徳彦(広島県)
普段滅多に乗らない電車に、うれしくも緊張している息子さんを撮られたとのこと。少し肌が焼けているので、夏休みか何かでしょうか。Tシャツやスイカのバッグ、麦わら帽子がスタイリングされたよう に完璧でした。背景の線路や緑の入り方もいいですね。この不安な表情もいいですが、電車が来た時の写真も、見たかったと思わされる1枚でした。
「だれもいない湖」髙野良介(群馬県)
日本画のような美しい写真です。奥にぼんやり浮かび上がる富士山のたたずまいもいいですね。また、山中湖と富士山の間にある山々の何とも言えないくすんだ緑色がとても美しかったです。ただ、手前の山名湖の水面がなみなみとしていてリアルな表現のため、真ん中を境に、上と下が少し分断しているようにも感じました。もう少し波の表現を抑えてもよかったと思います。