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HOW TO / 作品制作のヒント

テラウチマサトの写真の教科書15 人とは違う桜を撮るには?


春にはさまざまな花が咲く。木蓮、ハナミズキ、桜や梅やチューリップなど。その中でも、とりわけ多くの人が春といって思い浮かべるのは、桜だろう。

桜は日本の国花ともいえる存在。お花見をする習慣もあって、日本人には身近な花だ。当然、桜の写真を見る機会も多い。でも、それらはどれも青い空を背景にピンク色の桜を捉えたものばかりではないだろうか。もちろんそのような写真もとても美しいのだけれど、どこか代わり映えがしなくて、全部同じように見えてしまうことも多々。

それではせっかくの桜がもったいない。1年に1度しか咲かない桜を、もっと自分らしく撮ってみよう。自分の桜で作品をつくってみよう。
そこで今回は、人とは違う桜を撮るためのいくつかのポイントをご紹介したい。

今回ご紹介する写真の中には、テラウチマサトが発売したDVDの収録作品も。
全国各地でテラウチが撮影した桜の数々をぜひご覧ください。

DVD「桜 写真家テラウチマサトの世界」

日本でも有数の桜の景勝地「長野県高遠」をはじめ、日本各地でテラウチが撮影した桜写真を、オリジナル音楽と共にショートムービー風にまとめたスライドエキシビションは、約13分間にわたりひとつの詩を綴ります。

数あるスライドエキシビションの中でも、最も反響が大きかった作品をDVD化。DVD限定テラウチマサトによるインタビュートークも収録。

お買い求めはこちらから
http://cmsinc.shop-pro.jp/?pid=5746910

【テラウチ流・桜撮影のポイント1】
つぼみから葉桜までを逃さない

桜を撮ろうと思ったら、満開のところを撮りたい。そう思う方も多いと思うが、桜はつぼみや散った後も美しいものだ。つぼみ、満開、散り際、散った後、葉桜。桜が開花する過程を、逃さず楽しもう。満開の桜が最も美しいと、決めつけないこと。「美しい」の価値基準は、自分で決めない方がいいと思っている。

【テラウチ流・桜撮影のポイント2】
雨の日をねらえ

雨の日はどうしても外に出るのが億劫。カメラが濡れてしまうのは心配だし、傘を差したり、不自由なところも多いだろう。しかし、雨の日の桜は晴れの日とは違う表情を見せてくれる。太陽のもと輝く桜だけではなく、しっとりした情緒が漂う桜もぜひ撮ってみて欲しい。

僕が出したDVD「桜 写真家テラウチマサトの世界」では、日本全国の桜をオリジナルでつくった音楽に合わせてスライドショーとして楽しむことができる。まるで日本各地の桜を見てまわるタイムトリップ!スマホのスイッチをOFFにして部屋を暗くしてみていると、時間という壁が消えてくる。

その中でも特に僕が気に入っているのが、上に載せた雨に打たれた桜の写真だ。

桜の花びらに雨水が溜まり、薄いピンクが透けて見える。水彩画のような色彩の中で、ぼんやりと浮かび上がってくる桜がとても美しい。明るく華やかな桜とは違う、秘めた日本的美がここには出ている気がする。

 

【テラウチ流・桜撮影のポイント3】
樹形にこだわる

桜を撮る時は、花にばかり目がいきがちだが、単体で撮る場合は樹形にもこだわりたい。枝ぶり(枝の伸びた具合)はとても重要で、花を選ぶ前に枝の形を確かめておくことが必要だ。僕は、桜が咲く前の葉っぱもついていないような頃から、「この樹形はいいな」「この形に花が咲いたらどんなに綺麗だろう」と思って桜の木を見ている。

ダイナミックな枝や、すーっと真っ直ぐ伸びた枝まで。枝は1本1本違って、位置によっても見え方が変わる。自分の伝えたい桜のイメージにそって、枝の切りとる部分を変えてみよう。しっかり根を張ってそこに立つ桜を、上から下までじっくりと観察してみてほしい。

 

【テラウチ流・桜撮影のポイント4】
桜×〇〇を考える

桜を近くで撮るのもいいが、時には少し離れて距離を置いて撮ってみよう。そんな時は、桜と何を組み合わせるのかを考えることが大切。

下の写真は福島県石川町の桜で、ユネスコが行っている就学支援への義捐金のポストカードとしても使ったものだが、手前に枯れた草を前ボケで入れ、大きな川を中央に配置している。奥に見える橋と桜に寄った写真はみんな撮るだろうと考えて、遠くから写してみた。桜を撮る時は、その周辺の景色にも目を向けてみる。すると、満開の桜をただ真っ直ぐ写すだけではない楽しみ方が見つかるはずだ。

【おすすめの組み合わせ】 桜×子ども

桜と組み合わせるときにおすすめなのが、子どもを画面に入れること。新入学、卒業というイメージに桜はとてもよく合う。桜の下で過ごす子どもの様子を撮れば、思わず笑顔になってしまうような明るい春を表現できるだろう。

 

 

人と違う桜を撮るためには、いつもと違う天候や状況をねらうのが近道。みんなが気づかない桜の表情に気づいて、カメラを向けてみる。そうすると、きっと自分らしい1枚が撮れるはずだ。

桜はその年、その場所、その瞬間で違った美しさがある。
春しか撮れない桜撮影を存分に楽しもう。

 

DVD「桜 写真家テラウチマサトの世界」

日本でも有数の桜の景勝地「長野県高遠」をはじめ、日本各地でテラウチが撮影した桜写真の数々。

それらをオリジナル音楽と共にショートムービー風にまとめたスライドエキシビションは、約13分間にわたりひとつの詩を綴ります。

数あるスライドエキシビションの中でも、最も反響が大きかった作品をDVD化。DVD限定テラウチマサトによるインタビュートークも収録。

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まちスナ日和