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HOW TO / 作品制作のヒント

藤井ヨシカツの人生変わるヤミツキ写真集 vol.0 写真集によって人生を変えられた


この連載を始めるにあたり、既にご存知の方にもそうでない方にも、
まずは「東京で写真集を読む会」というイベントと私の自己紹介をさせていただきます。

そもそも写真には特に興味はなかった?

「東京で写真集を読む会」のそもそもの発端は、現PHaT PHOTOゼネラルマネージャーの速水さんが主催された『写真集を読む会 -2011年マイベスト写真集はこれだ!-』というイベントに参加したことに遡ります。
これは2011年に購入した写真集から、ベストだと思う写真集を持ち寄りお互いに見せ合うという企画。
とてもシンプルですが、他人の価値観に触れることはとても新鮮な経験でした。
また参加の機会を待っていたのですが、待てど暮らせど訪れず。じゃあ自分がやるか!と軽い気持ちで始めたのが「東京で写真集を読む会」です。

写真集に強い興味を持ち始めたのは、会の活動を始めるよりもずっと前。写真を撮り始めたこの10年程です。
しかし改めて写真集との最初の接点を思い返してみると、それは高校生の頃にまで遡ります。当時できたばかりの広島パルコに入っていた本屋のリブロには、美大受験予備校で出題される課題の参考のためにほとんど毎日のように通っていました。
写真集もよく見ていたのですが、あくまでも美術書の1ジャンルという感じで、特別に興味があったと言うわけではありません。初めて買った写真集が、どちらかといえば現代美術作家といえるRichard Princeの『4×4』(光琳社, 1997)というのも、当時の私の嗜好をよく表していると思います。

その世界観は本当に眩く映っていた…

とはいえ、当時飛ぶ鳥を落とす勢いのホンマタカシ、佐内正史、大橋仁やHIROMIX、蜷川実花、長島有里枝といった写真家の仕事は雑誌などでも頻繁に目にしていて、とても魅力的だったことを思い出します。ページから溢れ出すくらいに自由(に見えた…)なその世界観は、予備校で退屈な課題をこなすだけの自分にとって本当に眩く映ったものです。

地方在住では写真展など見る機会もほとんどなく、ましてやインターネットなど普及していない時代。しかし、書店で数々の写真集を手に取ることができたのはとても幸運なことでした。
優れた写真集は、ほとんど表紙の手触りやページを捲った感触で覚えているのではないかと言っても良いくらい。その感触と、収録写真のイメージは密接に結び付いて記憶に刻まれています。

あの頃足繁く書店に足を運んだ日々が、今日の「東京で写真集を読む会」の活動に繋がり、多くの重要な出合いをもたらしてくれました。ある意味では、写真集によって人生を変えられたと言っても過言ではないかもしれません。
本連載では、自信を持ってお勧めできる写真集だけをご紹介していきたいと思っています。それが皆さんにとって、人生を変えてしまう一冊となる可能性だってあるのですから。

藤井ヨシカツ / ふじいよしかつ
1979年広島県出身 神奈川県在住。東京造形大学で映像を学んだ後、ワークショップ「夜の写真学校」にて瀬戸正人氏に写真の基礎を学ぶ。写真家としての活動の傍ら、「東京で写真集を読む会」(Photobook Club Tokyo)を主宰。東京のみならず、日本全国で開催している。
また、「10×10 American Photobooks」でオンラインスペシャリストを務めるなど、その活動を拡げている。www.yoshikatsufujii.com

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