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HOW TO / 作品制作のヒント

カラーマネージメントモニターは自分の中の基準をつくるために必要なもの。BenQ SW271Cの使い心地を公文健太郎さんがレビュー


正確な色再現を実現してくれるカラーマネージメントモニターは、撮った写真を自分好みのテイストにレタッチしたり、プリントする際に欠かすことのできないツールです。

ここでは広告から作品づくりまでボーダレスに活躍する写真家の公文健太郎さんに2021年2月に発売されたばかりのマラーマネージメントモニターBenQ SW271Cを使って、モニターの重要性についてお話を伺いました。

クライアントワークから着想を得て
広がる作品づくりの世界

−公文さんはさまざまなクライアントワークを行いながら写真集を発刊したり、自身で雑誌をつくられたりと、活動の幅が本当に広いです。“写真”という世界の中で、目一杯動き回っているイメージがあります(笑)

公文 結局、写真を撮ることが好きなんです。結構好きだと思います(笑)
なんでも撮りたいし、なんでもやりたい。クライアントワークに関しては言えば、クライアントさんから示された要望に対して、カメラを使って応えていく作業はとても楽しいです。

−クライアントワークと個人的な作品づくりのバランスがうまく取れているように見受けられます。

公文 僕の場合、仕事で撮影させてもらった経験が、個人的な作品づくりの原点や起点になることが多いんです。仕事で撮影し、そこからさらに一歩踏み込んで、自分のこだわりや“わがまま”をライフワークとしての作品づくりに反映していくんです。
そういった意味では、自分にとってクライアントワークと作品づくりは直結しています。どちらが欠けても成り立ちません。

例えば、「耕す人」という作品は、仕事で農家の方々を撮りにいく中で着想を得ました。
ずっと撮っていく中で、農家の方々の生活に興味を持つようになって、どこかのタイミングでスイッチが入っていく。作品にしていこうというスイッチが入るんです。
もともと農業にそこまで興味があったわけではありません。仕事の依頼を受けてはじめて、作品づくりの出発点が見えてくることが多いです。

▼公文さんの作品

公文さんの写真集。これまで8冊ほど刊行している。
コロナ禍に自主制作をはじめた写真雑誌「点」。

−お仕事で撮影されたものにも、公文さんなりの視点やトーンがしっかり感じられるものも多い気がします。

公文 作品をつくっていると、今度はその作品を見て「こんなふうに撮ってほしい」というご依頼をいただくんです。
ありがたいことに、最近では写真集を見てくださって、そこからオファーをいただくことも増えてきました。こうしたお仕事は、自分を出していかないと頼まれた意味がありません。
もちろん自分の個性とは別で、クライアントさんの要望に応えていく仕事も充実感があって楽しいのですが、これからは相手に自分の持っているものを使ってもらえるような、そこからクライアントの方々といっしょにつくり上げていくような、そんな仕事をもっともっと増やしていきたいと思っています。

−仕事に限らず、今、取り組んでいる写真制作もたくさんあるんでしょうね。

公文 やりたいことはめちゃくちゃたくさんあります(笑)
次のテーマやどこにいきたいかなどは全部メモに書いているんですが、順番待ち状態です。
今はコロナのこともあるので、慌てず撮影できる機会を待っています。ただ、同時に今しかできないこともあると思っていて、例えば、自分の作品を見直して改めて見せ方を考えてみたり、ステイホーム中に家の中で撮った作品のシリーズもあります。

モニターは写真の基準をつくる大事なツール

作業中の公文さん。本モニターは60W給電可能なUSB-Type Cを搭載。PantoneおよびCalMAN 認証を取得していることもポイント。Pantone認定製品とのカラーマッチが容易なのも魅力だ。

−今回新発売のBenQ SW271Cを使っていただきましたが、写真づくりでモニターの果たす役割は大きいですね。

公文 自分にとってモニターは“基準”をつくるツールだと思っています。撮影したときの目に焼き付いた光景を再現し、プリントしていく作業においては、モニターに映される写真がその基準になります。
その基準は当然ですが、正確さが求められます。仕事では一枚の写真に対し、自分が表現したいこととクライアントさんが表現したいこととの間で接点を浮き上がらせる作業が必要になることも。
お客さんが気にしているのは顔の明るさなのか、背景の明るさなのか、それとも色なのか。合わせるべきところはどこなのかを、モニター上で探っていきます。
これは写真が正確に再現できるからこそ、行える作業ですよね。

−写真をプリントするときも同じですね。モニターが正確に再現されないと、なにを参考にプリントを仕上げていったらいいかわかりません。

公文 そうですね。ただし、モニターがどれだけ正確でも映っているものとまったく同じにはプリントできないことも踏まえておく必要があります。
例えば、アート紙は大抵シャドウがフラットに仕上がります。むしろ、アート紙の良さはそこにあるのですが、モニターで再現されている状態と同じようにはプリントできません。
これは印刷物になる場合も同じです。

大事なことは、きちんと正確に再現できた上で、最終的にどう“デフォルメ”されるかです。
それを把握していることが大事だと思うんです。元の写真で表現できるものはすべて見ておきたいわけです。ハイライトもシャドウもこれだけしっかり見えていて、本来の画像にはこれだけ大事なものが詰まっている。
その上で、プリントなり印刷なりでデフォルメしていくのだと思います。
最初から再現性の乏しいモニターだったら、元がわからない。結局、デフォルメされた写真を参考に、さらにデフォルメしていくことになります。
ちゃんとオリジナルのものを見て、デフォルメしていくことが大切だと思います。
公文さんの仕事場。手前右下にあるのはホットキーパックG2。公文さんは年間約300日撮影に出かけ、ほとんど家にいない。

正確な色再現を可能にするAQCOLOR技術が
モニターとしての信頼性を高めていく

−こちらのモニターは解像度も3840×2160(4K UHD)なのですが、実際に使ってみていかがでしたか?

公文 すごく細かったです。写真を映し出した瞬間に「細か!」と思いました(笑)
ノングレアで階調表現も豊かなので、すごくやわらかくてマットに見える印象です。プリントがイメージしやすいようにも思いました。

−反射の少ないノングレアはやはり便利ですよね。

公文 写真をプリントしたら評価光を点灯して、モニターの画像と見比べるのですが、モニターにも多少照明が入りますし、プリントを見ながらですとモニターを見る角度も変わります。このときノングレアだと、ストレスなく作業できます。

−27インチのサイズはいかがでしたか?

公文 個人的には32インチもいいなと思いましたが(笑)
27インチはすごく扱いやすいサイズですよね。汎用性があると思います。
アマチュアの方々が最初に利用するのにもいいサイズ感だと思います。

最近はノートパソコンで写真を管理したりすることも多いと思います。
タブレット端末もすごくクオリティが高いです。でも、そこからインスタグラムなどにアップする写真と、このモニターで管理している写真では、同じ写真でも別ものだという認識が必要だと思うんです。きちんと大きなモニターでちゃんと細かいところまで見て、「ああ、こんなことまで写っているんだ」と感じられることはとても大切なことだと思います。
また、大きなディスプレーサイズはプリントサイズにも関係があります。
僕は写真展で小さな作品を沢山並べることが多かったのですが、最近は大きくプリントすることが増えました。1点1点しっかりと勝負し、見る人に届けたいという思いからです。
ディスプレー上でも大きく見ることができるのは大きなアドバンテージです。

−ハードウェアキャリブレーションにも対応しています。

公文 試してみましたが結果がすごくいい、正確に合いますね。メーカーによってはキャリブレーションしないほうがいいんじゃないかと思うような結果のときもあるんです。
SW271Cのハードキャリブレーションはピタッと合います。

−SW271Cは異なる色空間の映像を左右に並べて同時に表示できる「Gamu Duo」機能に対応しているのですが、いかがでしたか?

公文 自分でCMYK変換しなくてはいけないときなんかに便利ですよね。並べてディテールを比較できるので。
今はまだあまりそういう機会がないのですが、機能として備わっていると、使い勝手として考えつくことがあるように思います。ふたつの画面を写し込めるって今まであまりなかったので。

僕はWindowsとMacの両方を使って作業することがあるのですが、SW271Cのモニター上に2画面を並べて作業してみたんです。それが便利で面白かった。
フィルムスキャンはWindows、画像編集はMacを使っているので同時並行で仕事ができます。
「Gamu Duo」機能としては、ちょっと通常の使い方ではないかもしれませんが、非常に興味深かったです。

−ほかに気に入ったところはありましたか?

公文 3つのモードが割り当てられるホットキーパックG2は便利でした。
自分はカラーモードをAdobe RGBとモノクロ、そしてRec.709に設定したのですが、すぐに効果の切り替えができて画像確認がすばやく行えました。写真作品をつくる際、モノクロで展示しようかなと思うときがあるんですが、この機能でざっとシミュレーションできるのはいいですね。
Rec.709は動画編集用。動画内に写真を入れ込む際にRec.709の色域で、自分のAdobe RGBの写真の見え方が確認できるのは便利でした。
ホットキーパックG2はワンタッチで操作の切り替えができて便利。付属品として利用できる。

−モノクロは3段階に変更できます。

公文 モノクロで仕上げることが多い人には重宝する機能だと思います。
最終的にはしっかりモノクロ変換しなくてはいけませんが、セレクトの段階から硬質だったり軟質での仕上がりをざっとシミュレーションできるのは、作業効率がすごくよくなると思います。

それから遮光フードがモニターから外れにくく頑丈だと思いました。土台部分も安定感があります。
縦横の画面変換の動きもスムーズでした。
動画は縦位置でも撮ることがあるので、サッと変えられるのはうれしいですね。

−最後に、SW271Cについて率直なコメントをお聞かせください。

公文 これだけの機能と使い勝手が詰まっていることを考えるとコストパフォーマンスは本当にいいと思います。
安価で性能がよければ、台数を増やして購入することもできます。
今、機材の変化は目まぐるしい。機材にも拡張性が求められると思うんですよね。
BenQ SW271Cのようなモニターの登場は、多くのフォトグラファーに歓迎されると思います。

BenQ SW271C

主な仕様

●Adobe RGB99%対応写真・映像編集向けカラーマネージメントモニター
●27インチ4K UHD(3840×2160)の解像度のISPパネル採用
●正確な色再現を可能にする「AQCOLOR」技術採用
●Adobe RGB99%、sRGB/Rec.709 100%、DCI-P3/Display P3色域 90%までカバー
●スムーズなカラーグラデーションを可能にする10bit色深度
●ムラ補正技術により、均一なユニフォミティを実現
●ハードウェアキャリブレーション対応
●キャリブレーションソフトPalette Master Element(付属)が利用可能
●カラー写真をモノクロでブレビューできる3段階のモノクロモード
●異なる色空間の映像を左右に並べて同時に表示できる「Gamu Duo」機能
●Pantone認証、CalMAN認証を取得
●HDR10(PQ方式)・HLG方式対応
●60W給電可能なUSB Type-C搭載
●モニター(遮光)フード標準搭載
●3年間保証/修理期間中に代替機貸出できる「センドバックサポート」対象製品

SW271Cの製品はこちら

公文健太郎
1981年生まれ。写真家 。ルポルタージュ、ポートレートを中心に雑誌、書籍、広告で幅広く活動。
同時に国内外で「人の営みがつくる風景」をテーマに作品を制作。
近年は日本全国の農風景を撮影した『耕す人』、川と人のつながりを考える『暦川』、半島を旅し日本の風土と暮らしを撮った『光の地形』などを制作。
2012年『ゴマの洋品店』で日本写真協会賞新人賞。


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