1. HOME
  2. Magazine
  3. フォトまち便り「Hello Local」vol.4 下田写真部 ~写真のまちを目指す僕たちの伊豆下田について~
Magazine

フォトまち便り「Hello Local」vol.4 下田写真部 ~写真のまちを目指す僕たちの伊豆下田について~

Magazine, 連載


熊野、富山、郡山、下田という4つの地域で活動する写真部が週替わりで投稿するリレー式連載「Hello local」。今回は伊豆・下田で活動する下田写真部による投稿です。

私たちの日常にあたり前のように溶け込んでいる「写真」ですが、その始まりは幕末時代の伊豆・下田にゆかりがあるのをご存知でしょうか?

今回はそんな下田から、下田写真部の西川力さんのエッセイをお届け。「下田の魅力は人にある。」と語る西川さんの写真と文章をお楽しみください。


黒船とともに「写真」がやってきた

このまちに写真がやってきたのは1854年。それは日米和親条約により開港された伊豆下田への黒船来航から始まります。

歴史で誰もが学んだことのある黒船・ペリー艦隊には軍人だけではなく、学者や写真家、画家が帯同していました。このことからペリーには政治的な思惑だけでなく、東洋の研究的な意図も多分にあったのだと思います。

開国は、日米間の様々な文化交流を生み出しました。まさに当時の最先端の知識が下田に集まっていたと言えます。その中の1つに写真がありました。下田と写真の関係は、まさに開国から始まっています。そんな写真と縁深いこの地で下田写真部は活動しています。

下田写真部とは?

さて、我々下田写真部は、『写真の開祖のひとり下岡蓮杖の生誕地・静岡県下田市で、下田好き、写真好きな仲間が日々の暮らしを写真で発信したり、写真好きが集まる「写真のまち」』を目指して現在12名で活動しております。
今回、部員を代表して私、西川力が下田の魅力や下岡蓮杖について紹介させていただきます。

商業写真の祖「下岡蓮杖」

下岡蓮杖という名前を聞かれたことはありますでしょうか?江戸時代末期、下田に生まれた下岡蓮杖は、日本初の商業写真家のひとりと言われています。画家を目指して江戸に出たところ、オランダ人に写真を見せてもらい、写真に魅了され、技術習得を目指します。

ちょうどその頃、冒頭に触れたように下田は開港地として指定されていたので故郷で外国人から写真技術を教えてもらおうと試みます。ところがうまくいかず。蓮杖のすごいところは、現像用薬品の調合方法などに苦労しつつも、ついには独学で編み出し、写真技術を習得。さらにはこの写真を商売に結び付け、成功したところにあります。

今ではごく当たり前ですが、蓮杖はスタジオでの記念撮影やコスプレ撮影(外国の方に着物を着せて撮影していた)、写真を絵ハガキにして売るなど様々な手法で写真という存在を日本に広めました。また、多くの弟子を抱えていたようで、蓮杖イズムを継いだ人たちが各地に広がり、写真は市民権を得たのだと思います。

下田出身の下岡蓮杖は日本の歴史において写真発展の一翼を担った人物といえると思います。

下田の魅力

白浜大浜ではしゃぐ若者たち

そのような写真に縁の深い、伊豆半島の南端に位置する下田市は、幕末の歴史と豊かな自然がたくさんつまった町です。
それは建物や海、山のように目に見えるものであったり、伝統など人々の心の中に受け継がれていくもの、色々な形で下田市に点在しています。

下田といえば海!という方も多いのではないでしょうか。白浜大浜をはじめとした海水浴場、爪木崎、田牛龍宮窟などの海岸線は場所や季節によってまったく違う情景を見せてくれます。

僕は個人的に朝日を撮るのが好きで、白浜大浜と須崎漁港での朝日は僕に元気を分けてくれます。僕にとって写真撮影はある意味ストレス解消にもなっていて「これだ」と思える、シャッターを押した瞬間に画像を確認しなくてもベストショットだと分かる、ヒットしたような感覚がとても大好きです。

まぁ、打率は非常に低いのですが。

1月、日差しの心地よい日に爪木崎で咲く水仙

写真撮影もはかどる、光り輝く外浦海岸

太古の地層のグラデーションも美しい田牛龍宮窟

また、稲梓や大賀茂地区など、山間部ではミカンや稲作、そしてワサビ田などの農村風景もあり、下田市は海だけではなく色々な風情が楽しめます。
この多様性は半島の南端に位置している上、短い距離の中に高低差があるという下田市の地形上の特性が動植物の植生にも表れているのだと思います。

下田でも田植えの時期は緑が映えます

おじさんとちょっと一休み

一方、レトロな雰囲気を味わえるペリーロードやなまこ壁の住家など港町の風情溢れる街並みや、活気あふれる漁港なども非常に魅力的で撮影意欲を掻き立てられます。

ガス灯と柳、古民家の立ち並ぶペリーロード

綺麗ななまこ壁が点在していて、それを探しにまち歩きもいいかも

キンメダイ水揚げ日本一の下田漁港

そして僕個人が考える下田市の最大の魅力は何と言っても「人」です。地元人である僕の感覚からすると内気な人が多いような気がするのですが、打ち解けると屈託の無い笑顔を魅せてくれる人たちです。下田の自然や風土を愛して移住してきた方々も多く、見た目さっぱり、中身は濃い人たちばかりです。

のどかな須崎漁港、民宿店親子の仲良さが地域の良さ(「割烹民宿 小はじ」)

吉佐美大浜でサーフィンしたあとにはここでゆったり(OliOli Guesthouse & cafe)

とんちゃんの笑顔はいつも下田を元気づけてくれます!(開国厨房なみなみ)

釣りポイントを熟知していて、釣りの楽しみを十二分に満喫できます(千鳥丸)

下田の元気の源、祭の衣装を染めています!(相馬京染店)

たくさんの笑顔が僕たちを元気にしてくれます

僕たちの過去と未来

下田写真部は下岡蓮杖の業績を顕彰する「下岡蓮杖プロジェクト」の一環として2015年に誕生しました。カメラに元々造形の深い人もいれば、友達付き合いの結果始めた人もおり、株式会社ニコンイメージングジャパン様のご協力のもと、最初はMOTOKO先生や鈴木麻弓先生、エヴァレット・ブラウン先生のレクチャーを受けながら基本から学ぶ日々でした。

エヴァレット・ブラウン先生は冒頭述べたペリー艦隊に従軍したエリファレット・ブラウン・Jrという人物の遠縁の子孫にあたる方です。このような縁の深い方に写真を学べたということは開国のまち下田ならではの歴史がなせるものであり、下岡蓮杖に感謝をしなくてはならないな、と思います。

僕自身も当時、シャッターを押すことしか知らないような人間でした。プロの写真家と触れ合うこと自体も少なければ、写真教室などもあまりない僕たちの町にとっては非常にかけがえのないひとときでした。
そして、写真という存在によってメンバー含め様々な人と知り合い、出会えるという嬉しさや楽しさを日々感じています。

このような非常に良いチャンスを生かして、写真というものを通じてこれからも下田の魅力を内外に広めていければ、と考えています。

また、写真というものは歴史的な価値も大きいと考えています。今の下田を綺麗に写真に残して(もちろん被写体も綺麗に残して)未来の子供たちに伝えていければいいなぁ、とも思っています。

text・photo:西川力(にしかわ つとむ)

1979年静岡県生まれ、同県在住。下田写真部結成当初からのメンバー。

下岡蓮杖の生誕地、伊豆下田で、写真好きな仲間が日々の暮らしを発信したり、高校生とのフォトツアーなどを開催しながら「写真のまち」を目指して活動中。

現在、部員12名。

下田写真部公式Facebook→https://www.facebook.com/shimoda.photo


フォトディレクターの推し写真集

まちスナ日和