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フォトまち便り「Hello Local」vol.9 紀南フィルム ~知らなかった紀南~


18年後のUターンで知った紀南の魅力

こんにちは、紀南フィルムメンバーの博多敏希です。

私は、和歌山県の端っこ、新宮市という街で生まれました。高校卒業まで、県周辺から外に出たことがないほど、部活一辺倒の生活を送っていた私ですが、大学をきっかけに千葉へ。

その後、大学、就職と、様々な場所に移り住みましたが、和歌山に住みたいという思いが捨てきれず、地元であるこの紀南に帰ってきました。

高校生のころも地元は大好きでしたが、一方で自分のまちには「何もないな」と感じてもいました。それが地元を離れ、人と出会い、色々な土地を見て、18年後に帰ってくると、この紀南という土地は、これまで知らなかった、いや知ろうとしなかった素晴らしい景色に溢れていることに気がついたんです。

私が今住むエリアは和歌山県串本町という町で、本州最南端の場所として知られています。ラムサール条約にも選ばれている珊瑚の海、黒潮に乗ってくる熱帯魚、潮岬を挟んで温帯の魚がいたりと、少し変わった地形の場所です。

串本に住み始めてまず嬉しかったことは、お祭りの仲間に入れてもらえたことです。
串本周辺のお祭りでは秋頃、獅子舞を舞う地域が多いのですが、何もわからない新参者の私に、先輩たちが氏子として獅子舞を舞うチャンスを与えてくれました。

「ここはこうや、回るときの足の位置はここや、串本の獅子舞は雌の獅子舞やからもっと艶をだして」など1ヵ月間びっしりと叩き込まれて迎えた当日。練習や準備は大変ですが、地域の一員として参加するお祭り当日は本当に楽しむことができます。地方を楽しんでいる人たちには「お祭り」が好きが多いはず、です。

写真との出合い

私が写真をはじめるきっかけとなった特別な風景があります。それが、千葉の海岸で観た、水平線に沈む夕日なのですが、串本に戻ってきて知ったのはこの地域では朝日も夕日もどちらも見ることが出来る素晴らしい海岸がいくつもあるという事でした。

海絶景にも選ばれた橋杭岩。朝日が見える季節には、いつもカメラマンが並んでいます。

例えば、橋杭岩と呼ばれる岩がある浜は、季節や時間によって色々な表情、景色を見せてくれます。潮が引いているときは近くまで歩いて行けるので、是非どんな場所なのか立ち寄って欲しい場所です。

上浦の夕日

上の写真は、本州最南端の地、串本町の潮岬に向かう坂の途中にある馬坂園地と呼ばれる展望公園からの1枚。馬坂園地からは串本のトンボロ(陸繋島)、そして海に挟まれた串本の町並みを一望することができます。写真の奥に写るのが前述の橋杭岩。そして手前側が上浦海岸といわれるビーチなのですが、あまり観光地としては知られていません。

このビーチは、普段はとっても穏やかな湾のビーチなのですが、台風が近づいたときに、サーフィンができるような波が立ち上がり、多くのサーファーが訪れます。タイミングが合えば最高の夕日を見ることもできます。朝日も夕日も見える町なかなかないですよね。

串本町と古座川町にまたがる清流「古座川」

串本町の山側には隣町古座川町があり、古座川町から串本の海に向かって流れる古座川という清流があります。この川はとても綺麗で生態系も豊か、ウナギもたくさんいます。

清流古座川でオススメの遊び方の1つがカヌーでの川下りです。出発地点を選ぶことで、一日かけて下りたい人や、半日だけ体験したい人も楽しめます。途中で岩から飛び込んだり、手長エビを獲ったり自然を大満喫できます。

私のおすすめは一枚岩からの出発

そして、この古座川が大好きな人たちのボランティアによる清掃活動がまた面白いんです。朝から100人以上の人たちがカヌーに乗って、川のゴミ拾いを行うイベントがあり、地域の人だけでなく他県からもたくさんの人が参加します。

コロナ禍になってから中止が続いているが、再開されたときには是非参加してほしいイベントの1つ

スタートは、一枚岩と呼ばれる場所から約12キロのコースをゴミ拾いしていきます。カヌーから降りて拾ってくれる人や、川の中に潜って大きなゴミを取ってきてくれる人までいます。みんなでワイワイ遊びながら、ごみ掃除ってめっちゃ理想的ですよね。

それぞれの地域でもイベントしてしまえば、アッという間に清掃できるところいっぱいあるかもしれません。

断崖絶壁にある世界遺産の神社

そして、最後にどうしても紹介したい場所があります。串本から私が生まれ育った場所新宮市神倉へ。

神倉という地名は、神倉神社という古い神社から由来しています。千年以上も前からこの町を見守り続けてきたこの神社は世界遺産に登録されており、もしかしたら日本人以上に外国人観光客のほうが知っているかもしれません。

神倉神社ですが、断崖絶壁にあるように見えますが、ちゃんと登っていけます。山の中にあるだけあって、石段は500段を越え、特に最初の石段の傾斜が強く、思わず「これが続くのは無理だ」と諦める方が多いのですが、最初だけですからね。(むしろ、帰りのほうが怖い。)

頑張ってその先の神社にお参りをして街をみるとそこには上まで登った人だけが体験できる素晴らしい景色が待っています。なんど登ってもきれいだなと思わせてくれる場所です。

これまでの千年も、これからの千年も、沢山の方がここにお参りして、この景色を見て癒されていくのだと思います。

最後は休憩
神倉神社の近くに仲氷店があります。ここで是非食べて欲しいが、古座川の水で作られるかき氷。

長年地元で愛されるお店。オリジナルのシロップが美味しい。

年中、かき氷も作ってくれますし、冬のかき氷もおいしいので、是非思い出したら立ち寄ってみてくださいね。

それでは、どこかで皆さんに会える日を願って、ばいばい。


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