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フォトまち便り「Hello Local」vol.8 下田写真部~地元と私、自分色のフィルターを通して~


熊野、富山、郡山、下田という4つの地域で活動する写真部が週替わりで投稿するリレー式連載「Hello local」。今回は下田写真部の部長でもある渡邉さんによる投稿です。下田と聞くと一般的には観光で訪れるまちをイメージしますが、地元の目線で語る下田の魅力に焦点を当てます。渡邉さんが育ったまち「田牛」と下田と深い関係にあるフラダンス団体、そして街歩きのポイントなどをお伺いしました。


コンパクトで個性的なまち「田牛」で育って。

私の地元は、下田市の中でも南に位置する「田牛(“とうじ”)」という小さな地区です。ここで育った私は、近くに学校が無かったので幼少期の頃から路線バスで通い、同級生は自分ともう一人の子だけ。
だからいつも上級生や下級生と一緒に釣りをしたり、クワガタ採りに行ったり、、、典型的な田舎育ちでした。

田牛では民宿を営んでいる家が多くて、夕方頃になるとどこからともなくサザエの壺焼きや魚の煮付けの甘辛い香りが漂っていました。
下田といえば、金目鯛日本一の水揚げ高を誇ることでも有名で、煮付けやお刺身、干物、しゃぶしゃぶなど、その食べ方も色々。その中でも特にそそられるのは「金目鯛の煮付け」です。私の実家も民宿を営んでいて、下田の一般家庭よりも金目鯛の煮付けに遭遇する回数は多かったと思います。昨今の状況により、最近ではめっきり登場回数も減りましたが、煮付けている時のあの甘辛い匂いを嗅ぐと、なぜか白いご飯が食べたくなるのは私だけではないはず。

味がしっかり染み込んだ金目鯛の煮付け。どの魚の煮付けにも勝る味だ。

未だに信号機がひとつもなく、路線バスは1日に数本しかない田舎まち。
すれ違う人はご近所さんなのが日常の景色でしたが、とあることをきっかけに変わりました。
それは2018年に伊豆半島がユネスコ世界ジオパークに認定され、その代表的ジオサイトとして紹介された「田牛龍宮窟」が一躍有名になったのです。ジオサイトとは、地質学的にみて価値があり、且つ「保護」「教育」「持続可能な開発」が一体となった概念により管理されたエリアの中で、大地のなりたちがわかるスポットです。おかげさまで田牛には毎日多くの観光客が訪れるようになり、知名度も徐々に高まり、「田牛」を「とうじ」と読める人が一気に増えました。

洞窟から上を見上げると天井から差し込む光の様子は本当に神秘的。

龍宮窟(二穴洞窟)から眺める冬の朝の太平洋。

下田を盛り上げる”Halau O Ehukai Tomonaga”

地元下田の関係を語る上で外せない人たち、それが“Halau O Ehukai Tomonaga”という、フラやハワイを愛する団体です。主宰の朝長(ともなが)先生の元に子どもから大人まで約180人が在籍して、下田写真部の女性部員も数名、メンバーに入っております。
私には2人の娘がいるのですが、小さい頃からメンバーに入り、フラを習っていました。フライベントをするさいにも私は常にカメラを持ち歩いて、長年二人の成長を写真で撮り残してきた思い出があります。

白浜海水浴場での海開きにて。凛としたフラガールズの姿。お父さん達はこれを見ただけで泣けてきます。

長女は高校3年生のため今年卒業しましたが、皆さんご存知の通りコロナウイルスの影響により、彼女達の活動にも影響が。代表的なイベントとしては「黒船祭」、白浜海水浴場の海開きなどがありましたが、残念ながら軒並み中止となり、彼女達も普段の練習の成果を発表する場がなくなってしまいました。私も彼女達のステキな笑顔を撮ることができず、寂しい気持ちでいっぱいでした。

コロナ前に撮影した下田市のメインイベント「黒船祭」でのフラ。みんな輝いてます!

2,400年の歴史をもつ白浜神社での奉納フラ。とても貴重な体験でした!

それでもなんとか子どもたちに希望を持ってもらいたい、そして下田の皆さんに元気を届けたいという強い希望で、関係者の皆様の多大なるご理解ご協力のもと、またしっかりとした感染予防対策のもと、今年の6月にオンライン配信という形をとってこの“Hug Heart”というイベントが実現しました。高校3年生の長女にとってはこのイベントが最後の晴れ舞台でした。開催していただき、本当にありがとうございました。

映像を通じて下田を元気にするプロジェクト“Hug Heart”での集合写真。みんな素敵でした!

カメラを持って歩くこと

今回は下田を地元目線で私のフィルターを通してご紹介いたしました。
いかがでしたでしょうか?この記事を読んでもし「下田に行ってみたい」と思っていただいた方には是非カメラを持って街を歩いてみては。皆さんの住んでいる街でも同じだと思いますが、街歩きをしていると思いがけず素敵な風景や人々に出会えます。

おとうさん、なんか責任重大。この空気感がちょっと笑えました。海上保安庁付近の釣りスポットにて。

再び泳ぎ出す魚たち。河岸端の干物屋さんにて。

いつもの場所でひなたぼっこ。ペリーロードにて。

これは、歩くことと速度が異なる車やバイクでは味わえないこと。道路から見る景色もいいですが、ちょっと降りてみる。そして自分の足で歩いて目線を色々と変えながら、カメラでその瞬間を切り撮る。時には思いがけないハプニングに遭遇したり、偶然の出会いもあるかもしれません。その場で撮った写真が自分の思惑通りだったり、またはそれ以上の作品に仕上がったりしたら、それはもう最高以外の何物でもありませんよね。

下田に来られた際は街を実際に歩いてみて、あなたの目線(フィルター)で好きな理由を探してみてはいかがでしょう。

text・photo:渡邉 悟(わたなべ さとる)

1971年神奈川県生まれ、幼少時に父の実家下田市田牛へ。愛知学院大学卒業後、伊豆急行(株)に勤務。その後、保育パパを経て現在は河津町の(株)天城カントリー工房に勤務。主に自社で製作しているトレーラーハウスの宿泊体験施設「Tiny Base」を担当。コーヒー、デザイン、アウトドアが好き。愛犬は黒パグ(名前はショコラ)。下田写真部部長。

下岡蓮杖の生誕地、伊豆下田で、写真好きな仲間が日々の暮らしを発信したり、高校生とのフォトツアーなどを開催しながら「写真のまち」を目指して活動中。
現在、部員12名。
下田写真部公式Facebook https://www.facebook.com/shimoda.photo


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