スリランカに移住した写真家・石野明子さんに聞く いつか訪れてほしいスリランカの魅力とは?


「海外でフォトグラファーとして挑戦してみたい」、「いつかスリランカに住みたい」という夢を叶えるために、30代半ばで、家族3人、スリランカに移住した写真家の石野明子さん。

日本での仕事を全て手放す形で2017年にスリランカへ移り、いまでは現地で写真スタジオを営むほか、石野さんの視点で写真や文章を綴り、スリランカの魅力を発信することを仕事にしています。

石野さんが営む写真館「STUDIO FORT」

 

「スリランカが可能性を広げてくれた」と語る石野さんに、被写体としてのスリランカの魅力を伺うため、メールインタビューをしました。
コロナ禍でなかなか思うように海外旅行へ出かけられない日々が続きますが、いつか訪れてほしい、写真好きな人にオススメのスリランカの魅力をお伝えします。

「光り輝く島」、スリランカとは?

「光り輝く島」という国名の意味をもつスリランカは、インドの右下、インド洋に浮かぶ小さな島国。世界遺産に恵まれ、北海道の約8割という国土に6つの文化遺産と2つの自然遺産があります。スリランカ出身の建築家ジェフリー・バワによる建築巡りも人気です。紅茶の世界的産地としても知られ、丘陵地帯では紅茶畑の絶景を楽しむことも。南インド地方で生まれた伝承医学療法とスリランカの伝統医療が融合したアーユルヴェーダの施術も人気で多くの観光客が訪れます。

堂々と、生き生きとしているスリランカの人々


大学時代に3週間インド旅行をした際、たまたま入ったアクセサリーショップを営むおじいさんがスリランカ人で「小さな宝箱みたいな島だよ」とお話を聞いたことがきっかけとなり、スリランカへの憧れを募らせるようになったという石野さん。「新婚旅行はスリランカへ」という夢を叶える形で、27歳の時に初めて訪れました。

最初に訪れたときまず撮りたいと感じたのは、堂々と、そして生き生きとしている人々だったと言います。

「スリランカを初めて訪れたのは2007年の内戦中でした。空港近くの街ニゴンボに着いたのは夜中で、そのうえ街のあかりは少なく、何も見えませんでした。ところが朝になると大きなヤシの木の影が地面にゆったりと揺れて、古いダッチスタイルの家が多く並び、そこではスリランカの人々が飾らない生活を送っていました。

決して裕福ではないのですが、スリランカの太陽を浴びて力強く日々を営む人々がとてつもなく魅力的でした。どんな時も臆することなく堂々としている彼らが(仕事をサボるときも堂々と笑)被写体として興味が尽きません」

移住してからの3年の間にも、現代化が進んできたというスリランカの生活。
それでも、「寺院で祈る姿や街中でスナップを撮っているときにカメラに向けるまっすぐな視線は今も変わらないですね」と石野さんは語ります。

コミュニケーションしながらスナップ撮影を楽しむ

石野さんがスリランカでぜひチャレンジしてほしいと語るのは、スナップ撮影です。

「日本ではスナップ写真を撮影することがだんだんと難しくなってきていると思います。でもスリランカではむしろスナップ写真は喜ばれます。

たまに写真に写り込んだ人が『液晶画面を見せろ』と言いますが、それを見せるだけで嬉しそうです(笑)。

危険な行動や失礼な振る舞いはもちろんダメですが、スリランカはとてもおおらかな国で撮影する私をいい意味で誰も気にしません。周りを気にせずフレーミングを納得するまで探求してください。

植民地時代の建築が多くのこるスリランカはふとした街中の風景もとても魅力的です。ヨーロッパとアジアがミックスされた個性的なテイストは懐かしくもあり、新鮮できっと心を惹きつけられることと思います。


人物、自然、鉄道、建築とスリランカは撮影欲を刺激してくれるもので溢れています。と、同時に日本とは違う『太陽光の強さ』『濃い色の肌の人々』『大自然』と露出のバランスやレンズの選択など、撮影技術の向上に繋がるのではないでしょうか。

スリランカでは時間通りに列車が来なかったり、思い通りにことが進まないことがよく起こりますが、出会いやドラマはそんな時に起こります。カメラをぶら下げてそんな時間を楽しんで欲しいです」

世界遺産などカメラを持って訪れたいスポットがたくさん

シャッターが止まらない!
世界遺産のシーギリヤロック


「世界遺産のシーギリヤロックを見るのに最適なピドゥランガラロックへは、早朝に出発するのがオススメ。頂上でシーギリヤの大地がだんだんと朝日に照らされていく様にシャッターが止まらなくなるのではないでしょうか。すぐ向かいにはシーギリヤロックが。大地を吹き抜ける風の音は写真には写りませんが、五感を刺激されきっと創作意欲が増すこと間違いなしです」

スリランカの人々の
心を垣間見る聖地仏歯寺



「キャンディ建築と言われる建築様式は細部の装飾も美しく撮り応えがあります。多くの人々が集い祈る姿も清らかで、仏教とともに生きるスリランカの人々の心を垣間見ることができる場所でもあります。日に3回ある祈りの時間(プージャ)に合わせて見学するのがオススメです」

乗り合わせた人々との
時間も楽しむ鉄道の旅



「鉄道の旅(古都キャンディ~コロンボ間)もオススメです。ツーリストカーやバス移動では見られない景色が鉄道の旅にはあります。窓の外には人々の生活や大自然が驚くほど近くに流れていきます。乗り合わせた人々との時間もきっと旅に色を添えてくれることでしょう。列車はいかつい顔のディーゼル車、その勇ましい姿もまたフォトジェニックです」

繊細な手仕事を間近で見られる
バティック工場



「スリランカを代表するバティックアーテイスト、故エナ・デ・シルバの工房『マータレー・ヘリテージセンター』。彼女の志を受け継ぐ職人たちの繊細な手仕事が間近で見られる貴重な工房です。モダンなデザインと素朴な工場、職人たちの真剣な眼差しはファインダー越しに見つめ続けてしまいます」

たくさんの撮りたいポイントが詰まった、スリランカ。
海外へはまだ出かけられない状況が続きますが、いつかまた自由に出かけられるようになったら、石野さんのオススメを頼りにスリランカの旅を計画してみては?

プロフィール


いしのあきこ/2003年、大学卒業後、新聞社の契約フォトグラファーを経て06年からフリーに。13年~文化服装学院にて非常勤講師。17年2月、スリランカ、コロンボに移住して、写真館STUDIO FORTをオープン。大好きなスリランカの発展に貢献したいと、その魅力を伝える活動を続けている。
akikoishino.com
www.instagram.com/studiofortlk
studio-fort.com

石野明子著『五感でたのしむ! 輝きの島スリランカへ』(イカロス出版)