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フォトまち便り「Hello Local」vol.29 下田写真部 ~下田のお土産屋でおきた、私とお客様の思い出話~

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紀南、富山、郡山、下田の4つの地域写真部が綴っていく連載企画「Hello Local」。今回は下田写真部、長池さんによるフォトエッセイです。伊豆急下田駅を出て目の前にある時計台、「下田時計台フロント」。飲食店とお土産屋を経営する長池さんは、これまでたくさんのお客様と出会い、おもてなしをしてきました。

長池さんが出会ってきたお客様とのすてきな思い出話を紹介します。


私は伊豆急下田の駅前で、お土産屋と飲食店「下田時計台フロント」を経営しています。

下田は日本の百選に選ばれる海・清流が流れる豊かな山・恵まれた食材・開国の歴史と観光素材が盛りだくさん。また人口の多い東京や神奈川から終着駅である伊豆急下田駅までは特急で1本、約3時間で来ることができる。観光地として恵まれた環境です。

そんな下田は、バブルのピーク時より観光客数が半分になったと言われていますが、それでも年間約300万人もの方が訪れています。

伊豆急下田駅の歴史は1961年12月に開通。

当時の大スターである石原裕次郎さんがヘリコプターで飛んできてお祝いをしたほど、

当時、伊豆急下田駅の開通をきっかけに観光地として大注目の下田へは観光客がたくさん押し寄せたそうです。

当社も同年同月に開業し、昨年12月に伊豆急下田駅と共に60周年を迎えました。

ありがとうございます!

当社にも年間数十万人という方が来店され、お客様と会話をしていると年に2~3回、中にはもっと下田へ通っている方もいらっしゃいます。

ときに来られたお客様に声をかけ写真を撮らせていただき、下田写真部にも投稿させてもらっています。

そんな駅前のお土産屋さんでおきた、私とお客様との思い出話を今回は書いてみようと思います。

大好きな彼女

最初の出会いは2007年。

彼女の後ろを控えめそうにして歩く彼と、買い物をしている姿がとても微笑ましくて、声をかけたのがきっかけ。二人を見ていたら何だか応援したくなってしまったんです。

そんな二人に、「二人がいつか一緒に住めるように」と、お揃いのコースターをプレゼント。

そしたら翌年、「婚約します!」と報告に。

それはもう嬉しくて、嬉しくて。

ならば今度は「二人が同じ苗字になれますように」と、印鑑入れをプレゼント。

そしたらまたその翌年。

「結婚しました!」とまた報告に!

そのとき僕が「今回、二人の写真を載せていい?」と聞いたら、彼女が一言、

「今日は彼が日焼けをして目が腫れていて写りがイマイチだから、私だけでいいですか?」と。

彼のことを大好きな彼女。いつまでも微笑ましい。

この日、別角度から撮った写真

写真を撮るため、美容師の彼が髪をなおす。その顔はとても幸せそう。

この時から7年が経ち、気が付けば15年の付き合い。

今では5人家族となり、そして家族ぐるみのお付き合いをしています。

べっこう眼鏡

2012年ころの話。 

毎年来られては、いつも声をかけてくれるご婦人グループがいました。

ある時、そのご婦人グループから突然ご主人を紹介され、「実は今から30年ほど前になるが、この店先に座っておられた男性と話をした。ハット帽を被り、べっ甲眼鏡をかけていた粋な男性で、当時この2Fに飾られてあったとても立派な象牙を見せてもらった。その男性はあなたのおじいさんかな?」

そう、ハット帽にべっこう眼鏡。私の祖父のトレードマークでした。

私はじいちゃん子で、高校入学の面接で尊敬する人を祖父ですと答えたぐらいです(笑)

私は「はい、私の祖父です」と答えました。

するとご主人は「若かった私はあなたのおじいさんといろいろな話をして大きな影響を受けた。そしていつか象牙やべっ甲眼鏡を自分の力で買えるようになると心に決めた思い出がある。今では自分で象牙を購入できるようになり、そして息子たちは象牙の根付師になった。私はあなたのおじいさんから大きな影響を受けたことに感謝をしている。おじいさんが作ったこの会社をぜひ守り続けてほしい。だからあなたに投資をしたい。」

私はこの会社を祖父が設立したこと、一時期は違う人の手に渡ったこと、そして今私が経営していることなど、これまでの経緯や関わったたくさんの人の話をさせていただき、お断りをしました。

それから翌年にまたご夫婦で来店。

お食事をしている席に呼ばれ、「あなたを応援するために差し上げたいものがあるので、ぜひ受け取ってほしい。あなたのおじいさんに憧れて、昔購入したものだ。」と。差し出されたのは、べっこう眼鏡。

今、私の宝物です。この席で譲り受けました。

あれから毎年会いに来てくれています。

今ではまるで私のじいちゃんのように強く優しく。

今年77才を迎えました。この写真は奥様が送ってくれたものです。

最後に

いかかでしたか?

これまでの写真を見返してみると、本当に良い笑顔で。会うたびに笑顔も自然となっていき、子供たちは背が伸びていたりしていて、写真に残る思い出は、また会いたいという気持ちを大きくさせますね。

まだまだたくさんの思い出話はありますが、最後に撮影した写真を紹介して終わりにします。

毎年来てくれる友人の友人(もう今では友人です)

下田写真部のイベントにも参加してくれた、仲良しの二人組。この日は片割れの結婚報告に来てくれました。

20年以上下田に通っているというご家族グループ。コロナになってからは、個々に来てくれています。

仙台の後藤朝子プロと静岡の望月康子プロが組んだサーフUNIT。仙台と静岡が下田で合流。こちらも毎年開催。

こちらPHaTPHOTO編集長の速水さんが家族で来られた時、なんと偶然にもお店で親族にばったりあった時の写真(笑)

何十年という時を超えて、このような繋がりが続いていること。

そしてこれからも続けていくこと。

また「会える」って、本当に幸せなことです。

観光の源って、こんなところにある気がします。

だからこそ、私も、お店も、町も、いつでもみんなを笑顔で迎えられるように元気に続けていきたいと思います。

下田のお土産屋より。


長池茂

1973年静岡県下田市生まれ。

下田写真部結成当初からのメンバー。2007年まで東京の会社で働いていたが、その後祖父の設立した会社を継ぐため下田へ戻る。現在は「下田時計台フロント」の代表取締役として10年目を迎える。

下田時計台フロント

〒415-0035 静岡県下田市東本郷1-5-2

営業時間:9:00~17:00

TEL:0558-22-1256

HP:http://www.front-shimoda.jp/index.html

下岡蓮杖の生誕地、伊豆下田で、写真好きな仲間が日々の暮らしを発信したり、高校生とのフォトツアーなどを開催しながら「写真のまち」を目指して活動中。現在、部員13名。
下田写真部公式Facebook https://www.facebook.com/shimoda.photo
下田写真部公式Instagram https://www.instagram.com/shimoda_photoclub


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