賞金総額300万円以上! ソニー ワールド フォトグラフィー アワード2018 プロフェッショナル部門・受賞者発表!
今年で11回目を迎えたソニー ワールド フォトグラフィー アワード。
本アワードは写真文化の継続的な発展のために、写真業界における特筆すべき功績を讃える場。写真家として新しい才能を見出し、はばたく機会を提供、世界規模で写真家同士の交流の場を提供する賞です。
全てのフォトグラファーが無料で応募できるこの賞は、2007年に始まり、2016年には応募総数が100万枚を超えました。
本アワードでは、賞金総額30,000USドルに加え、最新のソニーデジタルイメージング機器が授与されます。さらに、毎年春には、受賞者による展覧会がロンドンの歴史的建造物サマセット・ハウスで開催されています。
2018年はどのような作品が受賞したのでしょうか?
一般公募部門に引き、プロフェッショナル部門の各カテゴリー1位と、すべてのカテゴリーから選ばれる年間最優秀賞1名をご紹介します。
プロフェッショナル部門では5点以上10点以内の写真で構成される組写真の応募が条件となります。作品だけではなく、その裏にあるストーリーも審査されます。
ソニー ワールド フォトグラフィー アワード|御苗場ソニー賞受賞者が体験した世界レベル写真賞にチャレンジする意義とは?
賞金総額300万円以上! ソニー ワールド フォトグラフィー アワード2018 一般公募部門・受賞者発表!
分析的に風景を見つめる――SWPA特別功労賞を受賞・写真家カンディダ・へーファー インタビュー
2018プロフェッショナル部門
年間最優秀賞
-PHOTOGRAPHER OF THE YEAR-
発見カテゴリー 1位
Alys Tomlinson(イギリス)
きれいに折りたたまれ、岩の隙間に隠された手書きのメモ。 石に刻まれた十字架。小枝の束の周りに慎重に巻かれたリボン。これらはすべて、「Ex-Voto」と呼ばれる宗教的な捧げものであり、世界中のキリスト教の巡礼地で見つけられます。
巡礼者によって、多くの場合、視界から隠された場所に匿名で置かれる「Ex-Voto」は、希望と感謝の表現物であり、それらは 信仰、人、景観の間における、眼に見える物語をつくりあげています。
フランスのルルド、アイルランドのバリーバーニー、ポーランドのグラバカーなどの巡礼地で撮影されたこのプロジェクトの作品は、フォーマルな肖像画、大判カメラで撮影されたランドスケープ、巡礼者によって残された小さなオブジェクトや巡礼の形跡などの詳細なイメージを含んでいます。
5×4の大判フィルムで撮影された作品は、明瞭な静けさを呼び起こし、これらの場所に存在するミステリアスでタイムレスな偉大なる精神的熟考を描いています。 人と景色は、場所、記憶、歴史と絡み合い、融合しているのです。
建築カテゴリー 1位
Gianmaria Gava(イタリア)
このプロジェクトは、建築の本質的な形態を研究するプロジェクトです。機能的な要素が削除されたとき、建物は純粋な幾何学的立体として見えてきます。これらの建物はもはや人が住める場所ではありませんが、公共空間と私的空間の両方における建築の機能やアクセス性とは何かという問いを見る者に投げかけます。
クリエイティブカテゴリー 1位
Florian Ruiz(フランス)
福島の雪景色。そこに存在する見えない放射能をいかに表現するか?ガイガーカウンターを使い、1秒あたりの核分裂量を表す単位であるベクレル(Bq)で放射能汚染を測定した作家は、風景の中に存在する見えない原子の変化を、画像を重なり合わせるプロセスを通じて視覚化しようと試みました。キュビズムを彷彿させる壊れた遠近法は、凍結された時間の結晶である写真の中で、動きを生み出し続けています。鑑賞者をある種のめまいへと導くこのイメージは、純白の雪景色の裏に隠された脅威をほのめかしています。
現代の問題カテゴリー 1位
Fredrik Lerneryd(スウェーデン)
キベルの迷路のような通りの中心にある学校スパージョン・アカデミー。そこでは毎週水曜日、生徒が教室の家具を移動し、床を掃除する風景に出合えます。制服からカラフルな服へと着替えた生徒たち。マイク・ワマヤ先生が教室に入ると、バレエ・バーの代わりにコンクリートの壁に片手を当てて、彼女たちはポーズをとります。クラシック音楽がポータブルスピーカーから演奏されると、バレエクラスの始まりです。
これは、Anno’s AfricaとOne Fine Dayという慈善団体によって運営され、ケニア中のスラムで繰り返されている風景。ナイロビでは、キベラの2つの学校とマテアレの1つの学校でクラスが行われています。ダンスは子供たちが自分自身を表現するのを助け、彼女たちが自信を持ち、自分にも偉大なことを達成できるという信念を強めてくれます。何名かの子供たちは才能を認められたことで、スラムの過酷な状況から抜け出し、寄宿学校で暮らしながら、ナイロビのスマートエリアでダンスセンターに通い始めています。
時事問題カテゴリー 1位
Mohd Samsul Mohd Said(マレーシア)
ミャンマーのラカイン州。そこに住むロヒンギャ民族の生活は悪化する一方です。 2017年8月25日には400を超える家屋が燃やされ、その2週間後には約125,000人のロヒンギャ難民が、ミャンマーを離れバングラディッシュへと向かうことを余儀なくされています。国連をはじめとした国際機関が、ミャンマー軍による人権侵害および虐殺とレポートしているラカイン州での衝突。その発生以来、40万人を超えるロヒンギャのイスラム教徒たちがミャンマーからバングラデシュに避難しています。これらの写真は、バングラデシュのコックスバザールにある難民キャンプ内での生活を撮影したものです。
風景カテゴリー 1位
Luca Locatelli(イタリア)
あらゆる資源や原料は同じ運命をたどる――。頑丈な岩盤は掘り返され、原産地から遠く離れた場所へと運ばれていきます。イタリアで最も大理石の豊富な地域として知られるアプアン・アルプス。かつてミケランジェロもその石を使って彫刻作品を制作し、古代ローマ時代から数百の採石場が運営されてきたこの地域では、その豊かさが超現実的な風景をつくり上げています。近年、サウジアラビアや周辺湾岸諸国からの需要増加により、活況を呈する石材の輸出があります。この写真は、アプアン・アルプスにある、壮大で美しく、同時に奇妙で過酷な、採石場の知られざる世界を撮影したものです。それは産業と自然が織りなす、自己完結型の「真っ白な世界」なのです。
ナチュラルワールドカテゴリー 1位
Roselena Ramistella(イタリア)
2016年5月、私はネブロディを出発点として、マディーニ、ペロリタニ、そしてシカニ山脈へと、古いシチリアの小道をラバに乗って旅しました。「ラバ道」と呼ばれ、野生動物にも使われる獣道にも似たこの田舎の道は、現代のように道路が張り巡らされる以前、町と農地を繋ぐ交易ルートとして活躍しました。約50年前まで、ラバはシシリアの農村生活において、農家に雇用と援助を提供する重要な役割を担っていたのです。
今日、経済危機によって多くの若者が田舎に戻り、土地を耕し、地元の作物を植え、家畜を繁殖させるなど、新しい農村経済をつくり出している中で撮影されたこのプロジェクトは、2つのパートから成り立っています。ひとつは遠隔地に住んでいる地方のコミュニティを調査すること、そして1950年代から残る古いラバ道の跡を記録した新しい地図を作成することです。
ポートレートカテゴリー 1位
Tom Oldham(イギリス)
過ぎ去りし日のロンドン・イーストエンドのパブ。そこでは、週末になるとシャープに決めたミュージシャンたちが、ジャズスタンダードのセットを演奏し、観客を楽しませては、パブに彼らを長くとどめていました。しかし、時代とともにそういった姿は消えていきました。いまではボウにある「Palm Tree」というバーだけが、この伝統を継承していて、毎週末3人のゲスト歌手を40年以上にもわたってホストし続けています。
かつて隆盛を誇った豊かな文化が消えゆく中、「Palm Tree」はその最後の砦ともいえる存在です。おさえた低い声で優しく囁くように歌うクルーナーと呼ばれる歌手たちが、生き残る最後の場所。家族経営の「Palm Tree」は、高級志向、評議会の圧力、顧客の変化する習慣にもかかわらず、かつての暖かなイーストエンドの雰囲気を保つ場所として知られています。数年に及ぶ交渉ののち、私にこの場所で演奏をしている素晴らしいミュージシャンたちを撮影する許可を得ました。この作品は、消えゆく歴史の断片が残っている間に記録しようとする試みなのです。
スポーツカテゴリー 1位
Balazs Gardi(ハンガリー)
アフガニスタンで古くから続いている国民的スポーツ・ブズカシ。暴力的とも形容されるこのスポーツでは、選手は動物の死体をボールのように操り、目標に向かって運びます。タリバンを追い払った米国主導の侵攻から16年。混迷が続くこの乱れた国において、このスポーツは、権力を維持するためであればどんな手段も厭わない武装勢力によって支配されています。
静物カテゴリー 1位
Edgar Martins(ポルトガル)
ポルトガル法医学研究所で制作されたこのシリーズは、自殺者の遺書や手紙など、自殺や死亡事件に関連する法医学的証拠を被写体としています。光に照らされ闇の中で浮かび上がる遺書。開示と隠匿という張り詰めたバランスの中で、極めてセンシティブな被写体を撮影した同作品は、誰かの死にまつわる物質を、どのように、またどこまで表現していいのか、という倫理的な問いを内包しています。
また、作家によって撮影が行われた場所が、死や遺体を科学的に分析する研究所であるという点は、「記録写真」と「演出され再現された心象風景」の違い、またそれらの違いが鑑賞者の想像力に与える影響について、認識論、心理学、記号論的な側面から問いを投げかけるよう意図されています。そうすることでこの作品は、死や自殺といった事柄に対して、知覚とわかりやすさという点で果たしてきた、写真の決定的でありながらも奇異な役割を強調するのです。
いかがでしたか?
公式サイトでは5点~10点の応募作品すべてと、賞の詳細や過去の受賞作品なども見られます。
ぜひチェックしてみてくださいね。
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