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作品制作に必要な未来の視点 PPC道場年間優秀者・船見征二×渡部さとるのレビューレポート2/2


PPC道場2018年の年間優秀者、船見征二さんが写真家の渡部さとるさんからレビューを受ける特別記事、第2弾。
第1弾ではオリジナルな作品とは何か?について考えました。
第2弾では、前回の内容を踏まえて写真がもつ役割と、作品を深めていくために必要なプロセスについて。

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コミュニケーションのための家族写真

(左)vol.103応募作品「いち、に、さん、よん・・・」/(右)vol.108応募作品「Sulky girl」

渡部  この写真は、お子さん?

船見  そうです。

渡部  今おいくつなんですか?

船見  9歳と、6歳です。

渡部  これは作品撮りではなく、お父さんとしての役割ですが、子どもを撮る方によくアドバイスするのは、「寄るな」ということ。アップにせず、写り込んでしまったものの方が面白いので、整理せずに撮ることをお勧めしています。よく、「絞り込んだほうがいい」と言う人も多いですが、本当は逆で。何十年後かに見ることを考えた時に、画面にいろんなものを呼び込んでおいたほうがいい。顔写真のアップが並んでいるのはちょっとしんどいですよね。

船見  顔だけが並んでいると、確かに。

渡部  あとは、

お父さんが写らないことが多いので、積極的に自分も写るようにしておいた方がいいと思います。後で見たときに家族全員が写っている写真って意外とないんですよ。意図しないと残らない。

写真を勉強しはじめると、被写体を浮かび上がらせるために、画面を整理して背景をぼかすというロジックを入れがちなのですが、「記念写真」としてはよくない気がします。その写真を見たいと思うのはいつだろうと考えたら、今じゃないんですよね。

船見  はっきりと色んなものが写っていた方が面白さはありますよね。その時代の人形とか。あとで見ると、懐かしいと言われるような要素が必要なんですね。

渡部  もちろん家族写真を作品とする場合は、必ずしもそうとは限りません。アーカイブを目的とするような写真は、みんなとコミュニケーションするためのものだと思えばいいんです。みんなに見てもらって、その1枚でいろんな話ができるようなものの方が、僕はいい写真だなと思っています。

見ること、撮ること、見せること

渡部  撮って、人に見せる。そして、もう1つ大切なのが、見ることです。作品のアイディアや思考は、自分の経験の中からしか出てこない。どういうものが良いのかというのは、たくさん見ないとわからないんですね。それは写真集を読むのでもいいですし、美術館に行ってみるのでもいいんです。

美術館ではどういう壁を使っているのか、最近はどんな作品を扱っているのかなど、展示をする側から見てみると面白い発見があると思います。

それと、美術館はなるべく数人で行くことをお勧めします。1人で行くと理解しようと思ってしまう。出てこない答えを一生懸命探していると、自分は芸術を味わう感性がないかもと後ろ向きに考えてしまうことがあるんですね。でも、数人で行くと、「これはこうかな」「俺にはこういう風に見える」と話が展開していくので、作品を理解しようという足が止まらないんです。

そんな風に身近なところから、知識を蓄えていってほしいです。
見ること、撮ること、見せること。その3つを上手く循環させていくことが大切ですね。

レビューを受けて 船見征二さん

今年になって、このPHaT PHOTOの年間受賞者の展示もそうですし、地元の宇都宮の方でも美術館の展示の話をいただきました。不思議ですが、ぽんぽんと嬉しいことが続きました。今まではただ撮影してコンテストに応募するだけだったので、展示は今回が初めてだったんです。難しいことも多かったですが、準備をするのはとても面白かったですね。展示を見て下さった人たちと、自分の写真を挟んで話をできるのは、本当に貴重な体験でした。

渡部さんが教えて下さった、ロバート・メイプルソープやアーヴィング・ペンなど写真家の知識をつけていって、少しずつ作品を深め、自分の制作の範囲を広げていけたらと思っています。

「未来人の視点をもつ」 渡部さとるさんの写真術

作品を撮る時に僕が意識しているのは、「自分を未来人だと思う」こと。
今僕たちは、美術館に並んでいる100年前・200年前の作品を見て心を動かされているわけですよね。たとえば江戸時代のものを見たら、日本の1600年頃はこんなだったんだと驚いたりする。そういう風に、振り返ってみた時にはじめて、その時代ならではの面白さに気づくんです。だから、自分の意識を少し先に飛ばしておく。今いる現代の中で、100年後に見ると面白いと思えるであろう要素を探してみるということです。

現代アートや、自分の生活についてもそんな未来人の視点を持って眺めることができれば、見え方も変わります。先の人の目線を持つのは、物理的にはなかなか難しいもの。でも、気持ちだけでも少し未来に飛ばしてみると、現在のフィルターでは見えないものが見えてくる可能性があると思います。


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