作品をブラッシュアップするなら、次に必要なのはカラーマネージメントモニター! 写真家の鈴木さや香さんがBenQ SW270Cをレビュー


モニターで見る色とプリンターで出力したプリントの色味が違う…。
色味を合わせるのに時間がかかってしまう…。
そんな悩みから、写真の仕事をしている人も、作品を制作している人も、
カラーマネージメントモニターの購入を考えている人がいるのではないでしょうか?

今回は、広告や雑誌などの仕事をしながら、「暮らしの刹那や町の消えゆく景色」をテーマに作品制作も精力的に行っている写真家の鈴木さや香さんに、カラーマネージメントモニターの重要性についてお話いただき、またBenQの写真・映像編集用モニターSW270Cをレビューしていただきました。
鈴木さんが主宰する、写真と雑貨のお店「アトリエピッコロ」にてお話を伺いました。

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――写真家としての活動だけでなく、素敵なお店の経営もされているんですね。
鈴木 ありがとうございます。2015年から始めて、今年でもう4年となります。お店の内装も自分でデザインして作ったんですよ。暮らしと写真の在り方を提案するために、自分の写真が置かれた空間を作りたいという思いがあって、お店を開きました。

鈴木さや香さんのお店「アトリエピッコロ」には、鈴木さんの作品が印刷された写真封筒やプリントされたポチ袋、ノートなどの雑貨をメインに、誰かにプレゼントしたくなるような魅力的な商品が並ぶ。

鈴木さや香さんの作品



普通のこと、あまねく、いつでも、どこにでも ということをコンセプトに誰もが見たことがあるような写真を記録としてだけではなく、作品として発表に向けてまとめています。西陽射すおしろい花のある景色、雨が降ったあと根から垂れる雫、霧の日のどこまで続くか分からない道路。そんなどこにでもあること。

――普段のお仕事はどのような撮影が多いのでしょうか。
鈴木 赤ちゃんや子どものモデルを被写体とした、企業の広告撮影を手掛けることが多いです。その他、雑誌や書籍の撮影や執筆なども行っています。

鈴木さんが撮影を手掛けた企業のパンフレット

——子どもの写真を撮る際に、特に気を付けていることは何でしょうか。
鈴木 色々ありますが、ひとつは肌色です。赤ちゃんや子どもは、ほほが赤くてそれ以外の部分は白い。そういうかわいらしい色がうまく出せずに血色が悪く見えてしまうと、一緒に写っている製品も魅力的に見えなくなってしまいます。

子どもをモデルとして広告に起用するのは、子どものもつエネルギーを商品のイメージと被らせているところもあると思うので、それぞれの子どもに合わせて、肌色、肌質をしっかり出すというのは、特に気にしていますね。

広告の撮影現場で必要となるモニター

――広告撮影では、特にイメージ通りの色を出すことが求められてくると思います。カラーマネージメントモニターはいつから使われていますか?
鈴木 アシスタント時代、師匠が広告撮影を多く手掛けていたので、当時からカラーマネージメントモニターやプリンターなど、ハイスペックな機材を一通り使える環境にいました。10年くらい前に独立したのですが、2~3年たって大きな広告の仕事もいただけるようになってから、カラーマネージメントモニターを導入しました。

――なぜ必要だと思われたのでしょうか。
鈴木 雑誌やWebなどと違って、広告だと自分の撮った写真が様々な媒体で使用されることがあり、どういった媒体でどう使われるかわからない場合があります。そういった不安もあって、しっかりと色合わせできるカラーマネージメントモニターを導入しました。

また、私はノートパソコンを複数台使っていますが、それぞれのモニターに個体差がありますし、ソフトウェアキャリブレーションはあまり思い通りに色合わせできないという印象があります。だからきちんとハードウェアキャリブレーションができるモニターを1台持って色を判断できるようにしたいと思い、使用するようになったんです。

――鈴木さんにとってどんなモニターが理想的ですか?
鈴木 撮影現場にモニターを持ち込むことが多いので、コンパクトだけど画面が大きいというものがいいですね。大きなモニターを囲みながら、現場でクライアントやアートディレクター、レタッチャーの方たちと写真の方向性が決められると、その後のレタッチなどのやり取りがスムーズになって時間短縮になります。

——現場での確認作業ではどういったところを気にされていますか?
鈴木 クライアントは、主に製品がどういう雰囲気で写っているかということを確認しますが、私の役目は、誰も気づかないところのクオリティを一番にチェックすること。先ほど言った肌の他にも、目の色、髪の色や柔らかさ、暗部の色、ハイライト。これらがどう写っているか、ということを、いの一番に確認します。

たとえば、仕事によっては、撮影した写真が角版(かくはん)で使われるのか、切り抜きで使われるのか、わからない状態で納品することもあるんです。角版で使用するのであれば雰囲気で気にならない全体の黄色やブルーがかった色味も、もし人物のみ切り抜きで使用されることになったら、顔が黄ばんで見えたり、青みがかって顔色が悪く見えてしまうことがあります。

そうなるとパンフレット1冊を通して色味にばらつきが出て、クオリティが下がって見えてしまう。だから、肌色や髪の色をある1つのレベルにもっていくことで、どう使われても大丈夫な写真を撮ることは心がけていますね。

また製品の色については、かなり気を使います。クライアントさんが手塩にかけて作った商品を、どう魅力的に見せられるのかというのは、フォトグラファーの腕にもかかっているので。

スタイリッシュな27インチの写真編集モニター

――今回、BenQの写真・映像編集用モニターSW270Cを使ってみていかがでしたか?
鈴木 画面がすごく綺麗だなと思いました。ムラについても何も違和感を感じずに作業できました。最初に思ったのは、「赤」の再現性が高いと感じたことです。今まで見たことがないくらい赤がしっかり際立っていたので、「自分の作品って、こんなに赤が多かったんだ」って気付くくらいでした。

SW270CはDCI-P3 97%までカバー。赤色と紫色の表現領域が広くなっているため、純色に近い赤をさらに豊かに再現することができるという

また、私は全体の色味や暗部をシアンにふることがあるんですが、絶妙な階調がしっかり安定して出ている感じがしました。WQHD(2560×1440)解像度のIPSパネルを採用しているのも、デスクトップの領域が広く使えてすごくいいなと思いました。

――普段は24インチのモニターを使用されているとのことですが、27インチはいかがですか?
鈴木 大きい方がいいですね。27インチだと奥行きが取られたり、自宅のデスクに置くと威圧感を感じたりすることもあるのかなと思ったのですが、SW270Cは薄くて奥行きが短く、また筐体が細くてギリギリまで画面があるので、威圧感はそれほど感じません。スタイリッシュなモニターだなと思いました。

モニターをくるっと回せばすぐに縦位置に。現場での確認に役立ちそう、と鈴木さん。

――Adobe RGB 99%、sRGB 100%をカバーする広色域はどうでしょうか?
鈴木 自分が出したい色がしっかり出ている状態は自信にもつながります。すみずみまで色がきれいに見られるのがいいですね。

写真家の生の声を反映させた製品づくり

――モノクロモードは試されましたか?
鈴木 はい。先日、モノクロ写真を納品する仕事があって、すごく助かりました。1枚1枚、カラーをモノクロ変換して、モノクロに合う写真かどうか試さなくても、まとめて変換することができるのでいいですね。モノクロの色味の種類も3段階あって一気にバッと変換できるので、この作品にはこういうモノクロが合う、という傾向が見られるのは助かりました。他の製品では見たことのない機能でした。

――こういった機能は、写真家の要望など生の声を製品に反映させているようです。
鈴木 そうなんですね。確かに、作品作りをする人に寄り添ってもらっている製品だなと感じました。また、マットな画面は映り込みが少ないので、スタジオなど暗い環境でも確認しやすくていいです。目が疲れにくいというのも感じました。自分の作品をプリントする紙も光沢紙ではないということもあって、やはりマットな画面の方がいいです。部屋の中に置いた時にも落ち着きますね。

――付属のホットキーパックG2はいかがでしたか?
鈴木 最初見たとき、何だろう?と思いました。形がかわいらしいですよね(笑)。今回は使いませんでしたが、簡単に操作できそうですし、作業を早く進めたい人には良さそうです。

ホットキーパックG2は、3つのショットカットキーとダイヤルキーが搭載され、作業フローに合わせて頻繁に使用する3つの機能に指定できる。ダイヤルを使うと、好みの明るさ、コントラスト、色温度などを設定できる。

――Adobe RGB、sRGBの異なる色空間も一度に表示できるGamut Duo機能は試されましたか?
鈴木 私は普段カメラではsRGBのJPGとRAW保存をしています。書き出しの際Adobe RGBにして納品することもありますが、今回はせっかくなので色空間だけではなく、MACとWindowsのノートPCでGamut Duo機能を試してみました。モニターに個体差のある2つのデータをひとつの画面で見ることは今までになく、初めての経験でした。納品物がどんな見え方をするか確認できるのは便利ですね。カラー写真とモノクロ写真を見比べるのにも役立ちそうです。

――ほかに気になった点はありますか?
鈴木 USB-Type C 搭載は、MACユーザーにとってすごくいいですよね。60Wの給電も可能ですし、接続が簡略化されていいと思います。また筐体にSDカードスロットもあるからデータ転送もできますし、モニター周りがすっきりするのがいいですね。無料のキャリブレーションソフトウェアPalette Master Elementを使ったキャリブレーション時間も、かなり早くなったと聞いています。

修理期間中にモニターを貸してくれるセンドバックサポート(有償)も助かります。壊れてしまうとその間仕事が止まってしまうので、ありがたいサービス。またモニターの工場出荷時に個別校正がされていて、キャリブレーションレポートが付いているというのも驚きました。そんな丁寧なことをされているんだって。

作品を今よりいい形にするには、周辺機器の充実が大切

――鈴木さんはセミナーの講師もされていますが、いいカメラを持っている人は多くても、カラーマネージメントモニターの必要性を知らなかったっていう人も多いですよね。
鈴木 そうですね。ノートパソコンしか持ってないという人はすごく多いと思います。15インチや17インチの高価なノートパソコンを持っていたとしても、ソフトウェアキャリブレーションだと、どうしても調整が甘くなってしまう。だから、キャリブレーションしてもプリンターで出したプリントとずれがあって、「なんでだろう?」となってしまう。

写真の色味か、モニターのどちらが悪いんだろう…と調整しているうちに、作品自体が本来の色味と変わってきてしまったりして。私のようにノートパソコンを複数台使っている人は、特にひとつの基準となる写真用モニターがあったほうが良いと思いますね。

――カラーマネージメントモニターはプリントに直結するものなので大切ですよね。
鈴木 そうですね。撮るほうに注力していて、「作品作り」というところまで考えられてない人が多いのかもしれません。写真もPCへデータ転送するだけっていう人も多いのでは…。これだけカメラマンがたくさんいる中で、どう自分の作品を他の人と差別化していくかを、これからは考えていかないといけないですよね。

今はいいカメラが多いので、カメラで劇的に作品を変えようとするのは難しいかもしれません。カラーマネージメントモニターなど、主力を支えているアクセサリーをどれだけ充実させるかということが、作品作りをしている人に重要なんだということを、もっとみんなに知ってもらいたいですね。


鈴木さや香(すずきさやか)
東京造形大学卒。映像演出の葉方丹氏・写真家山岸伸氏に師事し独立。作品発表や写真文化を広める独自の活動を行う。鎌倉市観光協会のWebサイトで「かまくらかたおもい」を連載中。

BenQ SW270C

☑Adobe RGB 99% 対応 映像・写真編集向けカラーマネジメントモニター SW270C
☑27インチ WQHD (2560 x 1440) の解像度
☑Adobe RGB99% / sRGB・Rec.709100%、DCI-P3/Display P3色域97%までカバー
☑Thunderbolt 3対応 USB-Type C 搭載
☑遮光フード(横)が標準搭載
☑映画編集に最適な1080/24P出力をサポート
☑キャリブレーションソフトウェアPalette Master Element無料提供
☑故障時に5,000円で貸し出してもらえるセンドバックサポート!
標準で3年間の保証に加え、修理期間中に作業が滞らないように、同等性能の代替機を5000円(1回+消費税)で貸し出してくれる、有償サービスも。仕事中や作品制作中に突然の修理となっても安心。

SW270C製品ページ
http://bit.ly/2Hm0ixD

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