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HOW TO / 作品制作のヒント

作品プリントを「最高」の状態に。大門美奈さんによるカラーマネージメントモニターBenQ SW270Cレビュー


写真を扱う人なら、一度は聞いたことがあるであろう「カラーマネージメントモニター」。
写真を仕上げるうえで非常に重要なツールなのですが、その重要性をきちんと理解できている人は実は多くありません。

6名の写真家にレビューしてもらうBenQプレゼンツの企画の最終回は、大門美奈さんです。
「カラーマネジメントモニターを使用したことがなかった」と語る大門さんは、
写真・映像編集用モニター、AdobeRGBモニターのSW270Cをどのように感じたのでしょうか?

text:渡邊浩行

会社員から写真家に転身して約7年。写真表現を突き詰める大門美奈さん

――写真展や写真集の形での作品発表のほかに、カメラメーカーとのコラボや写真雑誌でのエッセイ連載など、幅広くお仕事をされています。写真家として活動を始めるまでの経緯を教えてください。

大門 学生時代、卒論発表のための必要に駆られて写真を撮ったのが初めてです。そこで写真の楽しさを知って以来、旅行に行っては撮るようになりました。

「PHaT PHOTO」写真教室で基礎を学んだのちに、ポルトガルで撮った写真がリコーの公募展に通過し、2011年に展示の機会に恵まれました。作家として活動を始めたのはそこからです。

――写真のほかにお仕事は?

大門 2013年まで派遣社員として証券会社でも働いていました。無印良品のカフェスペースの壁面をお弁当の写真で埋め尽くす『本日の箱庭展 – the Miniature Garden-』をやったのはこの頃で、日中は会社でWebやDTPデザインの仕事をして、帰宅後に写真の仕事をする毎日。つねに2〜3時間睡眠になってしまい、会社を辞めて写真に専念することに決めました。

▼大門さんの作品

大門さんの作品1

▲「The Miniature Garden」シリーズ

▲「浜」シリーズ

モニターの色味がそのままプリント。「欲しい色」が一発で出力できた

――写真データの現像やレタッチ作業に通常使っているパソコン環境を教えてください。

大門 27インチのiMacで一通りの作業をしています。カメラは100%デジタルで、必ずRAWデータから現像しています。細部までつくり込みたい場合はAdobeの「Photoshop」も使いますが、基本は「Lightroom」のみで完結させます。

――カラーマネージメントモニターを使ったことはありますか?

大門 SW270Cが初めてなんです。iMacの内蔵モニターってきれいに映るから、それで満足してしまって。実際にプリントしても問題は感じていなかったし、別途購入して使おうとは思わなかったんです。

――iMacのカラーマネージメントはどのように?

大門 プリンターのプロファイルの設定を用紙ごとに変えて使っていただけです。でも、それだと緑の出力が難しかったんですよ。出したい色味が出なくて何度もやり直すことがあって。ところが、キャリブレーションをかけたSW270Cを使って試してみたら、モニター上そのままの色味がほぼプリントに再現されていた。欲しい緑が一発で出力できたんです。こういうことは初めてでした

大門さんの仕事場。

大門さんの仕事場。

 

――大門さんのカラー作品は、絶妙な渋めの色味、特に緑に特徴があると思います。大門さんは写真を撮る以前に絵を描かれていたんでしたね。

大門 ずっと絵の仕事に就きたいと思って、小さい頃から描いていたんです。中学生時代には、美大の付属高校に行くために、日本画家の方にデッサンや水彩画を習っていました。

結果的に進学したのは普通高校だったのですが、美術に関わっていきたくて美大受験専門予備校にも通いました。そこの授業が面白くて、カラーチップをちぎって自分だけの色相環をつくり、それを元に調合した自分だけの絵の具をつくって絵を描く訓練をやったり。

――日本画を学んでいた頃のことが、独特の色合いや微妙な色変化に特徴のある大門さんの写真に影響を与えているのかもしれませんね。

大門 そうですね。日本画家の先生に習っていた時は、たとえば「卵を描きなさい」と言われて「卵は白いから影はグレーかな」って思って描くと「よく見なさい。ここにちょっとだけ黄色が混じっているでしょう?」って言われて、影に黄色を入れてみたり。物の色の見方はそこで学びました。色彩感覚はその時の影響が大きいと思います。

――iMacの内蔵モニターを使って、ここまで微妙な色味や写真が醸し出す微細な空気感、ニュアンスをプリントに反映させるのは大変だったのでは?

大門 Webサイトでの発表を前提とするのであれば十分かもしれません。
でも、紙に出力する場合には追い込みきれない部分が出てくると思います。

SW270Cの細かな設計が、作業効率をあげてくれる

――SW270Cを使った率直な感想を教えてください。

大門 ハイライトもシャドーも本当によく見えるので作業がしやすいですね。現在取り組んでいる作品にはかなりデリケートな色味のものが多く、グラデーションの微妙な部分に気を遣う写真なので、ムラを感じないのが嬉しいです。それと、SW270Cは白色に向かう階調の色表現がいいですね。

先ほどお話しした『本日の箱庭』のシリーズは、お弁当の写真ということもあってご飯が占める部分が大きく、白米の色を合わせるのが大変だったんです。

――ノングレアで色域が広く、色再現が正確であることに加えて、独自のムラ補正技術「ユニフォーミティ」が生きているんでしょうね。ホットキーパック(G2)はいかがでした?

大門 すごく便利でした。カラーの場合、紙にプリントする際はAdobeRGBで、Web向けのデジタル原稿をつくる際にはsRGBで作業をするのですが、ダイヤル1つで変更できるのが楽。

それと、モノクロモードと組み合わせるとより使い勝手がよくなりますね。モノクロ作品をつくる際にはカラーで撮ったデータをチェックして、よさそうなものモノクロに切り替えてセレクトするのですが、作業効率が上がります。3段階あるモノクロモードのうちレベル2のコントラストの感じが私の思うモノクロ写真に近いこともあって、なおさら重宝しました。

ホットキーパック(G2)

ホットキーパック(G2)

――モノクロ写真の場合、ハイライトの部分をどこまでいじるかで印象は変わってきますよね。

大門 シャドウの部分は潰れてもいいと思うんですけれど、ハイライトが飛び過ぎるのはみっともないので気を遣っています。

――そのあたりもSW270Cの方が追い込めそうです。

大門 実は、一昨年に赤々舎から出した写真集『浜』で、ハイライトが派手に白飛びしている箇所があって。データをつくっていた時にiMacの画面上ではまったくわからずに、色校の段階で気付いたんですけれど、時すでに遅し。やっぱりモニターって大事ですね。

――そんなことがあったんですね。無料提供のキャリブレージョンソフト、「Palette Master Element」の使い勝手はいかがでしたか?

大門 キャリブレーションソフトを使ったのは初めてだったのですが、項目を選んでチェックするだけなので簡単でした。キャリブレーションってすごく時間がかかるものだと思い込んでいたけれど、すんなりと終わりましたし。

――タテ位置でも使用できる設計はいかがでしょう?

大門 タテ位置の写真をレタッチする際に画面を大きく使えるのがいいですね。

――Thunderbolt 3対応のUSB TypeCのサポートについてはどう感じましたか?

大門 Macユーザーにとって、便利ですよね。ノートPCは意外とすぐにバッテリーがなくなってしまうので、作業と同時に充電できるのは便利ですね。細かいところですが、他のUSBのスロットと同じ位置にコネクタがあればより使いやすいと思いました。

電源まわりの設計も非常にスマート。机の上もコードだらけにならないのもSW270Cの良いところ。

電源まわりの設計も非常にスマート。机の上もコードだらけにならないのもSW270Cの良いところ。

 

――BenQでは修理時の代替機貸し出し(有料)や、1台ごとに色調整をした際のレポートを添付して出荷しています。こういったサポート面についてはいかがでしょう?

大門 代替機の貸し出しサービスはありがたいです。慣れ親しんだものとは別のモニターを使って同様の作品をつくるのは難しいですから、安心して使えると思います。

――このインタビューの前に、現在使っているiMacとSW270Cをデュアルモニターで使いたいとおっしゃっていましたね。

大門 紙へのプリントを前提とした場合、メインのモニターとしてSW270Cを使いたいんですよ。それと、カメラメーカーから頂いたお仕事で、ムービーの撮影を始める必要性が出てきたんですね。モニター環境をデュアルに変えようと考えたのにはそういう事情もありまして。

――仕事でムービーをつくるのであれば、HDR10への対応や1080/24P出力のサポートといった、SW270Cの持つ動画編集向けの機能が十分に活きそうですね。

細部までこだわったポートフォリオは、作家をアピールするための最強のツール

――大門さんの作品制作において、モニターはどのような位置付けなのでしょうか?

大門 iMacでそこそこできてしまったこともあって、正直、これまではまったく気にしていなかったんです。でも、ポートフォリオをつくって編集者などの客先の方にお見せするとなると、やはり、プリントを最高の状態に持っていかないとならないわけですよね。

ノートPCのモニター上で写真を見せながらプレゼンテーションする場合もありますけど、紙にした場合の説得力はまるで違うんです。これは『浜』をつくった時のポートフォリオなんですけれど。

――写真も美しいし、ポートフォリオそのものも立派ですね。

大門 きちんとした形で写真を見せると相手の反応はまったく変わります。相応の大きさで、見開きで見せたい写真は見開きにしてバーンと見せる。

こういう形で雑誌の編集部に持っていくと、先方も「おおっ」となって、「いいですね。載せましょう」ってなるんです。言葉で説明しなくてもわかってくれる。自分の写真を細部までこだわって現像、レタッチして、思い通りのプリントを作り、見せていくために、モニターはすごく大切です。

――しっかりとつくったプリントで構成したポートフォリオをつくることは、見てもらう相手に対する礼儀ですよね。デジタルデータでのやり取りが日常的になった現在においても、作家にとって、プリントでつくったポートフォリオは自身の写真をアピールするための最強のツールなのかもしれません。響くポートフォリオをつくるためにもモニター選びは重要ですね。

大門 そうですね。これからもブラッシュアップしていきたいです。

BenQ SW270C

☑Adobe RGB 99% 対応 映像・写真編集向けカラーマネジメントモニターSW270C
☑27インチ WQHD (2560 x 1440) の解像度のISPパネル採用
☑Adobe RGB99% / sRGB・Rec.709100%、DCI-P3/Display P3色域97%までカバー
☑正確な色再現を可能にするAQCOLOR技術採用
☑Pantone/CalMAN認証取得
☑動画編集に最適な1080/24P出力をサポート
☑Gamut Duo 機能により異なる色空間を一目で比較
☑ハードウェアキャリブレーション対応
☑遮光フード(横)が標準搭載
☑故障時に5,000円で貸し出してもらえるセンドバックサポート!
標準で3年間の保証に加え、修理期間中に作業が滞らないように、同等性能の代替機を5000円(1回+消費税)で貸し出してくれる、有償サービスも。仕事中や作品制作中に突然の修理となっても安心。

 

SW270C製品ページはこちら

大門美奈(だいもん みな)
神奈川県出身。公募展をきっかけに2011年より写真家として活動をはじめる。
主な写真展に『Portugal』(リコーフォトギャラリーRING CUBE)、『本日の箱庭展 – the Miniature Garden -』(72 Gallery)、写真集に『Al-Andalus』(桜花出版)、『浜』(赤々舎)など。
International Photography Awards 2017 にて Honorable Mention に選出。作家活動のほか、カメラメーカーとのタイアップイベントや、写真を使用した企業とのコラボレーションなども積極的に行っている。
http://www.minadaimon.com

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