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HOW TO / 作品制作のヒント

作品づくりにおけるステートメント・キャプションとは? それぞれの意味と、つくり方。


作品制作に欠かせない「ステートメント」と「キャプション」って?

作品づくりや編集作業に必要な、「ステートメント」や「キャプション」。
展示やコンテストに応募する人は、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
そんなお悩みを解決すべく、写真家向けステートメント講座を開催する、横内重雄さんに聞きました!

※この記事は、PHaT PHOTOvol89. をもとに構成したものです。

横内重雄(よこうちしげお)
1954年インド共和国生まれ。アメリカ、ロサンゼルスで育ち、国際基督教大学教養学部語学科卒業後、外資系企業のマーケティング活動に携わる。写真家を海外に輩出するためのステートメント作成講座を、2008年から定期的に開催。
この記事の内容
1.解っておきたい!「ステートメント」と「キャプション」の違い
Ⅰ.それぞれの役割は?
Ⅱ.主観? または客観?
Ⅲ.どんな場合に使う?
Ⅳ.気をつけることは?

2.「ステートメント」のつくり方 
step1.まずは必ず押さえておきたいこの3 つを書き出そう
step2.自問自答をしてみよう
step3.実際につくってみよう!ステートメントの仕上げのコツ

3.このテキストを元にもう一度「編集してみよう!」

1.解っておきたい!「ステートメント」と「キャプション」の違い

I.それぞれの役割は?

キャプション:作品の一部

ステートメントとは違い、「作品の一部」となるのがキャプションです
見せる相手は、写真集や展示の「観客」
あくまで自分の写真のメッセージを伝える表現のひとつなので、詩的な言葉を使っても、文学からの引用をしても構いません。
「タイトル」もキャプションの一部と考えることができます。

ステートメント:作品の説明書

ステートメントとキャプションを混同して考えている人が多いようですが、この2つの大きな違いは、見せる相手
ステートメントは、作品の要約文章のことで、キュレーターやコンペティションの審査員、レビュアーに提出するもの。
作品を正しく“理解”してもらうための「作品の説明書」と考えましょう。

Ⅱ.主観? または客観?

キャプション:主観

キャプションは、主観で書かれていても問題ありません。
商品広告の「キャッチコピー」のようなもので、自分の写真をよりダイレクトに伝えるために、情熱的、感情的な言葉を使うこともあります。
逆に、「撮影場所」「日時」など、客観的なキャプションは、事実を淡々と述べるときに効果的。

ステートメント:客観

上に述べた通り、作品を理解してもらうためのものなので、客観的である必要があります。
「何を撮っているのか?」「いつ撮ったのか?」「どのように撮っているのか?」そして「なぜ撮っているのか?」など、全てではなくとも、「5W1H」が組み込まれている必要があります。

Ⅲ.どんな場合に使う?

キャプション:写真展やフォトコンテスト

写真展で作品と共に掲示するテキストや、1枚ずつで応募するフォトコンテストなどで必要な「タイトル」もキャプション。
タイトルの例だと、ロバート・キャパの有名な1枚「崩れ落ちる兵士」が好例。
似た意味でも、「崩れ落ちる」「倒れる」「転ぶ」など、一言の違いで写真から想像できることは大きく変わります。

ステートメント:コンペやポートフォリオレビュー

コンペティションやポートフォリオレビューで必要となります。
つまり、プロジェクトや撮影テーマを「評価」してもらうときに必要です。
同じ作品であっても、ステートメントの善し悪しで、作品の評価は大きく変わることでしょう。

Ⅳ.気をつけることは?

キャプション:ルールはなし!伝えたいことが伝わる形

キャプションの制限は特になく、スタイルや規定にこだわる必要はありません。
たとえば、フォントにこだわることも考えられます。
キャプション込みで、作品として販売してもOKです。
自分の作品のメッセージを伝えるために適切なテキストであれば、どんな方法で表現しても構いません。

ステートメント:わかりやすく完結に。A4、1 枚に収めよう

分量としては、A4のテキストファイル1枚で十分。
審査員を相手に、大量の作品の中から選び出してもらうためには、
できるだけ端的にわかりやすく、作品の要約をする必要があります。
ただし、要約といっても「箇条書き」は見る人に失礼なのでNG。
次のページで、書き方のポイントをご紹介していきます。

2.「ステートメント」のつくり方

step1.まずは必ず押さえておきたいこの3つを書き出そう


自分の作品に合わせて、必ず押さえておきたい下の3つを書き出してみてください。
ステートメントには、この3つの要素以上のものが含まれることもありますが、この3つ以下になることは考えられません

●テーマ
●被写体
●作風

●テーマ

「客観的」に伝える必要があるからといって、自分の意見が含まれないのはNG。
たとえば、「人間と自然との共生」ではテーマとして不十分。
「人間と自然との共生に賛成している」というふうに、“主観を客観的に伝える”ことが必要になります。

●被写体

被写体から書き出し、テーマや作風を洗い出す方法もあります。
「桜」を撮っているとして、「なぜ桜を撮っているのか?桜を通して伝えたいことは何か?」を考えると、
儚さ、美しさ、和の心、といったふうに、テーマが現れることがあります。

●作風

たとえばテーマが「反原発」なら、明るい印象の写真にはならないはず。
「モノクロ」「ハイコントラスト」や「ハイキー」「ローキー」など、作品のトーン&マナーやスタイルのことを指します。
テーマを伝えるために、なぜその作風が適切なのか?を考えてみてください。

これらの要素は、できるだけ具体的に書くことが必要です。
この作業によって、自分の作品に関しての「5W1H」、つまり「なぜ撮るのか?」「 何を撮るのか?」「 どこで撮るのか?」「 いつ撮ったのか?」 「どのように撮っているのか?」を洗い出していきます。
もし書き出す言葉に行き詰まったら、ステップ2 の「自問自答」で掘り下げてみましょう。

step2.自問自答をしてみよう

写真家にとっていちばん辛い質問は、「So what?(=だから何?)」でしょう。
その問いに即座に答えられないと、「この写真家は自分の作品について理解できていない」と判断されてしまいます。
ステップ1で書き出したテキストに対して、自分で「だから何?」と問いかけてみましょう。

さらに、下の5つの質問を自分に投げかけることで、自分にとってこの作品を撮ることがなぜ大事なのか? という説明をきちんとできるよう答えを出してみてください。
また、横文字の単語はできるだけ自分が理解できる日本語に訳すことで、より理解が深まります。

☆自分に投げかけたい5 つの問い

☑なぜあなたにとってそのテーマが大切なの?

☑それを誰に伝えるの?

☑それは相手にとってどういう意味があるの?

☑なぜその被写体の必要があるの?

☑それを伝えるための作風は適切?

step3.実際につくってみよう!ステートメントの仕上げのコツ

☆「タイトル」と「サマリー」の2 段構成で考える

作品に対しての理解を深めることができたら、ステートメントとして書きおこしてみましょう。
構成としては、シンプルに「タイトル」とステップ2までで考えてきた文章の「サマリー(要約)」の2 つでOK。

最後に、いいステートメントに仕上げるためのポイントは、「頭で考えすぎない」こと。
文章だけ考え続けていると、頭でっかちになりがち。
あくまで「写真について」の文章なので、迷ったら写真を撮ることが大切。
あるいは映画や展覧会を見に外で過ごして帰ってきて、気分転換をしてから文章を考えると、考えがまとまることもありますよ。

3.このテキストを元にもう一度「編集してみよう!」


さて、ここまでまとまれば、自分のテーマもはっきりしてきたはず!
ここでつくったステートメントを元に、もういちど編集記事も参考にしながら、「仕分ける」「選ぶ」の作業をしてみてください。
きっと、テーマが曖昧なまま取り組んだ編集よりも、選びやすくなっているはずですです。
「撮影」→「テーマの構成」→「編集」を繰り返して、作品の完成度をあげてくださいね!
編集の記事は、こちらから。

「写真展や組み写真のセレクトで迷わない!はじめての写真編集」

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>>朝活| 写真展のノウハウが学べる! 3ヶ月でグループ展を開くクラスが8/29(水)からスタート!

 

今回の記事は「PHaT PHOTO 89号」の一部をご紹介したものです。

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