1. HOME
  2. Magazine
  3. HOW TO / 作品制作のヒント
  4. 「写真の構図」を読み解く 2/2 立木義浩、川内倫子、ヨゼフ・スデクの作品模写に挑戦!
HOW TO / 作品制作のヒント

「写真の構図」を読み解く 2/2 立木義浩、川内倫子、ヨゼフ・スデクの作品模写に挑戦!


魅力的な写真には、隠れた構図の秘密がある。その秘密を読み解くには、写真をじっくり見るだけでなく、「模写」という手段があります。撮影をしながら、名作の構図に隠されたテクニックを発見できるかもしれません。
<「写真の構図」を読み解く 1/2 >では、写真家の大和田良さんに、アーヴィング・ペンの「After Dinner Games, New York, 1947」を模写していただきました。

好きな写真からその構図や光の成り立ちを学んでみよう!ということで、大和田さんに引き続き、PHaT PHOTO読者3名も模写に挑戦。ルールにのっとりながら撮影してもらい、完成作品を大和田良さんが講評します。
今回のルール
[1]ライティングは自然光または自宅の電気スタンドなど簡易的なライトを使う。
[2]出来る限りアレンジを加えず、作品に忠実に撮ること。

お手本にしたのはこちらの3作品!

(左)キヤノンギャラリー S 10周年記念展『時代に応えた写真家たち 立木義浩』表紙写真「8×10の世界」、(中央)川内倫子『Cui Cui』(フォイル)、(右)ヨゼフ・スデク『Still Lifes』(Torst)

1人目: 牧野美智子さん[ 立木義浩さんの作品に挑戦! ]

牧野さんがお手本作品としてこの写真を選んだ理由は「立木さんの個展で見かけ、女性のさまざまな感情を足と指の表情で表現されており、とても惹かれたから」

キヤノンギャラリー S 10周年記念展『時代に応えた写真家たち 立木義浩』表紙写真「8×10の世界」

「リビングのフロアーランプをつけ、テーブルランプ2つ(LED電球)を床に直置きをし、作品のような光の角度になるように動かしながら」撮影をし、「足の指と手の指の絡め方とポーズ」をいちばん工夫されたとのこと。

完成した模写作品&大和田さんの講評

photo:Michiko Makino

――うまくいったところや模写で学んだことは?
うまくいったところ、いかなかったところ : 「雰囲気は少し出せたかもしれないが、ライティングは良く分からず難しかった」
模写で学んだことは? : 「自然に見える写真こそ自然ではないかもしれないところ。表現したいものを思う通り表現するために、技術的に(ライティングもそうだが)基本は学ぶべきだということ」

(左)photo:Michiko Makino(右)キヤノンギャラリー S 10周年記念展『時代に応えた写真家たち 立木義浩』表紙写真「8×10の世界」

大和田さんの講評はこちら!
構図と光を良く観察しながら撮影を行っていることが分かります。モノクロームであるため、写真を構成する要素としては明度の違うものが入ることで少し印象が変わるようです。具体的には白い灰皿の部分。2枚を並べるとオリジナルには足先に、牧野さんの写真では灰皿の明るい部分にまず視線が誘導されてしまうように感じられます。

2人目: 林由佳さん[ 川内倫子さんの作品に挑戦! ]

川内倫子『Cui Cui』(フォイル)

「家にあった白のハレパネで被写体を囲み、光の写り込みをカット。また、カメラの横からレフ板をあてて自然光で撮影」「画面がシンプルな分、光の写り込みや影の具合で違った印象になってしまうため、ライティングに気をつけました」
いちばん工夫したところは「同じようなお皿が見つからず、自分で白いお皿に絵の具で柄を描きました。乾いたすいかの汁も、同じような位置になるよう、ドライヤーで乾かしたりして、設定をできる限り忠実に再現することを心がけました」とのこと。

完成した模写作品&大和田さんの講評

photo:Yuka Hayashi

――うまくいったところや模写で学んだことは?
うまくいったところ、いかなかったところ : 「テーブルクロスの柄と質感を再現しきれなかったことが残念でした。また、色温度も、全体の印象が壊れないようにすることを優先させたため、あと1歩近づけきれなかったのが心残りです」
模写で学んだことは? : 「今回、模写するためにいろいろと試しながら撮影をしました。作品作りをするときも、こういう細部を観察し、それを再現するための試行錯誤が、自分のイメージを具体化するために大切なことなんだということを感じました」

(左)photo:Yuka Hayashi、(右)川内倫子『Cui Cui』(フォイル)

大和田さんの講評はこちら!
写されているものとかたち、それを照らす光の向きや質をしっかりと研究しているのがわかる写真です。違いとしてはピントの位置が挙げられます。林さんの写真ではスイカの山の部分にピントの芯がありますが、オリジナルではその少し手前にあり、スイカの縁や種のエッジにポイントが来ています。その分少し画面全体の連なりや撮影者の目線の違いを見ることができます。

3人目: 堀田芳生さん[ ヨゼフ・スデクさんの作品に挑戦! ]

堀田さんがお手本作品としてこの写真を選んだ理由は「美しいものは遠くや特別な場所にばかりあるのではなく身近にあるものだ、ということに気づく写真だと感じたため」

ヨゼフ・スデク『Still Lifes』(Torst)

「窓にトレーシングペーパーを貼り、柔らかく光の入るトレペの前に木のトレーを裏返し配置。その上に、ゆでたまごと、エッグスタンドの前にグラスを配置。カメラの高さ・位置に対してグラスの角度や別の位置の調整を繰り返し、ベストショットを探りました。最後にフォトショップでレタッチして仕上げています」

完成した模写作品&大和田さんの講評

photo:Yoshio Hotta

――苦労したところや模写で学んだことは?
いちばん苦労したところ : 「写真のからくりに気づかなかった(※)、ライティングや現像でカバーできると思っていたが、そもそもの部分が抜けていたので、元のイメージに近づけるのが難しかったです。
また作品より大きなグラスしか用意できなかったため、画面下の余白を詰めることより、全体のバランスを整えるほうを優先しました。完全コピーを通じてその先にある美意識を自覚することがゴールだと考えて模倣しました 」
模写で学んだことは? : 「とりあえずやってみるという実験も大切だと思うが、どうしてこんなに美しいんだろうとよく観察してから再現を試みること。また、写真には作法はあるけどその組み合わせや選択は自由であるということ。
今回、作品の技法には正直なところひとりでは気づ かなかったと思う。いろいろ試してたくさん実験するつもりで作品を仕上げることを学びました」
(※)実際の写真はおそらくソラリゼーションの技法が用いられている。 ソラリゼーションとは、現像時に過度に露光することによって、明暗が反転した絵を得る技法のこと。

(左)photo:Yoshio Hotta、(右)ヨゼフ・スデク『Still Lifes』(Torst)

大和田さんの講評はこちら!
写真の技法やそれによる風合いを意識して模倣されて いるのがわかります。全体のイメージとしてはハイライト部分に少しカブリ(白の明度を下げて濁らせる) を入れるとさらに近づいたかもしれません。また、構図としては グラスの大きさの違いなどで下側に空間が広くなってしまいましたが、画面の比率が変わっても少しトリミングすると全体の印象がさらに近づいたように思います。
いかがでしょうか?
みなさんそれぞれ、お手本に近づくために光の向きや強さ、構図など細部を読み解きながら何度も撮影をされたようですね。好きな作品をお手本に模写をしてみると眺めているだけでは気づかなかった、手法や構図の秘密に気付けるかもしれません。
名作の模写にぜひ挑戦してみてください。

名作の模写に挑戦したくなったら!PHaT PHOTO写真教室「文化祭 2018」をチェック!
5/23~6/3で開催する文化祭の展示テーマは「Reference (参照する)」。お気に入りの写真を真似てみたり、オマージュ作品を作ってみたり...「完コピ&参照作品」をテーマにした「PHaT PHOTO」写真教室生徒の作品展が開催されます。応募は教室生徒限定ですが、会期中はイベントも多数開催予定なので、ぜひ足をお運びください!<PHaT PHOTO写真教室 文化祭2018 詳細はこちら

名作構図の秘密をもっと知りたい!と思った方へ

今回の記事は「PHaT PHOTO 78号」の特集「巨匠から学ぶ構図学」の一部をご紹介したものです。
プレミアム読者になると「読み放題」のなかの1冊、PHaT PHOTO 78号では、「良い構図、魅力的な構図って?そもそも構図って何だ?」という疑問を解消する構図論のお話や「植田正治×ロベール・ドアノーの構図 徹底解説」などをご覧いただけます。
作品もたくさん掲載していますので、名作構図の秘密をもっと知りたい!という方は、ぜひプレミアム読者になって、バックナンバーをご覧ください。

STORY TELLER / 写真家達の物語 vol.37

フォトディレクターの推し写真集

まちスナ日和