組写真の作り方|写真集や展示のセレクトに役立つ!知っておきたい編集の“型”[前編]
テーマに沿ってひとつの組写真を構成する「写真編集」に取り組む人のための制作記事第2弾!
前回講評だった「写真展や組写真のセレクトで迷わない!はじめての写真編集」
に引きつづき組写真の基礎をお伝えいたします!
※この記事は、ファットフォトvol.89号の記事をもとに編集・制作しています。
今回お伝えするのは、組写真の「型」。
写真の編集には大きく分けて
・時系列型
・タイポロジー型
・ロードトリップ型
・物語型
・ポートフォリオ型
・カタログ型
があり、この6つのタイプについて、ご紹介します。
1.そもそもなぜ「型」を知る必要があるの?
2.編集初心者も取り組みやすい2つの型
3.レベルアップに取り組みたい3つの型 [後編記事でご紹介!]
4.目的があればつくりたい1つの型 [後編記事でご紹介!]
1.そもそもなぜ「型」を知る必要があるの?
写真展や写真コンペへの応募で、
「写真集やフォトブックを作りたい!」と思っている方に
何よりもやってほしいのが「写真集を見る」ということ。
「人の写真なんて見てられない!」
「自分のオリジナリティを出したい!」
「手を動かすのが一番はやい!」
と、そんなことを感じる人もいるかもしれません。
…でも、ちょっと考えてみてください。たとえばあなたなら
「美味しいハンバーグの味を知ってる料理人」と、
「あまりハンバーグを食べたことがない料理人」、
どちらがつくるハンバーグを食べたいと思いますか?
「美味しいハンバーグの味(=良い写真集の構成)」を
知っているか知らないかは、制作に大きな影響を与えます。
だからこそ、良い写真集やブックをつくるためには、まずは
「どんな写真集があるのか、型を知る」「いい写真集が何かを考える」ことが大切なのです。
2.編集初心者も取り組みやすい2つの型
スタイル1:時系列型
その名の通り、順を追って紹介することをに意味のある方法がこの型です。
スカイツリーの着工から完成までを追いかけた佐藤信太郎さんの作品『東京|天空樹』は、
出来上がっていく過程がわかりやすく、かつ面白く構成されています。
しかし、単なる「時間の変化」だけでは飽きてしまいます。
佐藤さんの作品のように古い町並みとスカイツリーの対比や、
こんなところからも見えるのか!といった驚き、
日常にどう馴染んでいるかなど、画として飽きさせない工夫が必要。
また、先にも述べたように「順を追って紹介することをに意味のある方法」で編むのがこの型なので、
「ただ、なんとなく時間順に並べました」では、失敗することが多いので要注意。
スタイル2:ロードトリップ型
非日常の場所に出かけて撮影した写真をまとめる「ロードトリップ」型。
世界の写真集史でも重要な位置づけにあるロバート・フランクの「The Americans」という写真集もこの型。
日本人では森山大道さんや尾仲浩二さん、中藤毅彦さんなど、
あてのない旅や異国でのスナップなども、このタイプにあたります。
自分の旅の写真を作品にしたい、というときはこの型の写真集をまずは見てみて。
明確なストーリーがない分、その土地の特徴や構図的な面白さ、
バリエーションが求められる型でもあるので、セレクト時には多くの写真が必要になります。
セレクトにはしっかり時間をかけて、「他の作品ない」個性を出すことを心がけましょう。