人と景色が溶け込む風景―PPC 100 Point Gallery Vol.30 加藤光博さん


「PHaT PHOTO」の人気写真コンテスト「PHaT PHOTO CONTEST(PPC)」。毎号異なる3名の写真関係者を審査員としてお招きし、座談会形式で審査を行います。
PPCは入選や応募するとポイントが加算(※)され、見事累計100ポイントを達成した方には、デジタル雑誌および本Webマガジンにて作品とインタビューを掲載します。
今回は、30人目の達成者である加藤光博さんの作品を紹介します。

(※)各審査員が選出した1位(10pt)、2位(6pt)、3位(4pt)のほか、入選2pt、もうちょっとで入選!1.5pt、応募するだけでも1ptが加算されます。現在のポイントランキングはこちらに掲載しています。

人と景色が溶け込む風景

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風景の中に人が小さく存在している光景を見ると、なぜだか心穏やかな気持ちになる。それが加藤光博さんの作品だ。2009年の夏ごろから、ほぼ毎号、欠かさずに投稿を続けてくれた。
写真を始めたのは、学生時代にバックパッカーでいろんな国を旅行したことがきっかけだったという。

「学生の頃はあまりお金もなく(笑)、 きちんとしたカメラも持っていませんでした。その頃からいつか良いカメラを買いたいという強い思いがあり、社会人2年目の2009年の春に思い切ってNikon D90を購入。そこから、『旅行ついでの写真』ではなく、『写真を撮るためにでかける』ようになりました」。

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休日は、どこに行くにもカメラを必ず持参。今は家族で出かけ、お子さんの写真を撮ることも多いが、基本的には「人が少し入り込んでいる風景」を撮ることが好きとのこと。

「撮ることよりも、たくさん撮った写真の中から1枚を選ぶほうが難しい」と語る加藤さんがPPCのコメントで印象に残っているのは、自分の撮影意図と真逆のコメントをもらった時だったそう。

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「『そういう見方、感じ方もあるのか』。 と非常に勉強になりましたし、特に少し厳しめのコメントは、新たな視点を持つこともできましたので、ありがたかったと思っています」。

これからも見る人の心を、ふわっと明るく持ち上げてくれるような、そんな写真を撮ってほしい。

photo:Mitsuhiro Kato

過去の受賞作品から

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2012 年1-2月号 Vol.67
6位「何度やってもつかめない」
岡嶋和幸特別賞

<Vol.67の座談会から>
「なんか面白い作品。何度も挑戦したようで、頑張ったんだという部分が透けて見えるところに特別賞。表情やしぐさも面白いです」(岡嶋和幸)
「見えない一瞬を捉えているという意味で、写真でしかできない写し方になっていますね」(テラウチマサト)

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2016年5-6月号 Vol.94
1位「羨望の眼差し」
秋元貴美子1位

<Vol.94の座談会から>
「お子さんの視線の先にご夫婦がいて、その子が考えていることに思いを巡らす楽しさが感じられますよね。写真1 枚のなかに物語が感じられ、面白いと思って選びました。子どもの影が2人の方に向いていて、画面のなかに動きを感じます」(秋元貴美子)

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2018年1-2月号 Vol.109
1位「疲労」
清水哲朗1位

<Vol.109の座談会から>
「タイトル通りの疲労感が伝わってきました。キャラクター性の強い人を見つけて、素直に撮ったところがいいなと思いました。寒い中必死に働いているんだろうなと想像を巡らせることもできる。人柄がよく写ったポートレイトだと思います」(清水哲朗)

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2019年7-8月号 Vol.111
6位「老人とウミネコ」
テラウチマサト3位

<Vol.111の座談会から>
「さまざまな要素のバランスがうまくとれています。しっかりこの瞬間を見極めて撮影されたんだろうなと思いました。単純に鳥に餌をあげている風景というよりも、この老人の人生、生き様のようなものを感じました」(テラ ウチマサト)

常任審査員 テラウチマサトからの言葉

テラウチ マサト
加藤光博さん、100ポイント達成おめでとうございます。加藤さんの応募された写真の中で総合1位を受賞された作品が過去に3点 (2018年1-2月号「疲労」と2016年5–6月号「羨望の眼差し」)、2016年11-12月号「育ちゆく好奇心」ありました。また総合順位は6位でしたが、私が3位に推した作品(2019年 7-8月号「老人とウミネコ」)もありました。 いずれも思い出深く、味わいのある写真でした。

それらの写真は、人が写っているのだけどポ ートレイトとはまた異なる、まるで人を入れた風景作品とでも呼びたくなる写真でした。 スナップとも少し違う味わいで、どこか深みや重みの様なものを感じさせる写真。観る人に撮影者の心情を感じさせるような写真でした。

それは加藤さんの作風であり、持ち味なのだろうと思います。人が生きていく中で垣間見せる心情や生活をしている風景についつい感情が移入されていくような作品は、被写体との微妙な距離感や光の色味や露出補正、ホワイトバランスの設定に注意して撮影しているからでしょう。加えて被写体のふとした仕草や表情を写しとっているからとも思います。

人間らしい心の変化を見つけ、それに反応していることは素晴らしいことですし、それを写真で表現していることは貴重です。これからも写真ライフを充実させ、楽しまれていって欲しいと思います。