「PHaT PHOTO」の人気写真コンテスト「PHaT PHOTO CONTEST(PPC)」。毎号異なる3名の写真関係者を審査員としてお招きし、座談会形式で審査を行います。
PPCは入選や応募するとポイントが加算(※)され、見事累計100ポイントを達成した方には、デジタル雑誌および本Webマガジンにて作品とインタビューを掲載します。
今回は、31人目の達成者である植田孝志さんの作品を紹介します。
(※)各審査員が選出した1位(10pt)、2位(6pt)、3位(4pt)のほか、入選2pt、もうちょっとで入選!1.5pt、応募するだけでも1ptが加算されます。現在のポイントランキングはこちらに掲載しています。
軽やかに挑戦する幅広い作風
16年ほど前に、PPF(ファットフォトファンクラブ)京都で写真仲間と出合い、応募を始めたという植田孝志さん。写真を始めたころは、フィルム現像の上がりや、フィルムカメラを漁るのが楽しくて仕方なかったそう。写真へのモチベーションを高め、写真の勉強の場として投稿し続けてくれた。
「一番好きなのは、ブレたり、フレーミングがルーズで、ちょっとローファイなスナップ」と語る植田さんは、日常で出合う風景を色あせた昔のフィルム写真のような懐かしいテイストに仕上げている。
今回掲載した写真は、「写真を撮り始めて、とにかく日常で撮ることが楽しくて、手当たり次第に撮っていた」頃の写真から、見直して目についたものをセレクトしたそうだ。
「車の窓から外を見て、その時の気分を感じるような写真が、どうしても好きで、これはやめられません(笑)」という、その気分が伝わってくるような写真ばかりだ。
<Vol.51の座談会から>
「瞬間的に起きたアクションが写っているのが興味深い。それが何だったのか、読み切れないのが魅力ですね」(土田ヒロミ)
「見た瞬間のビジュアルインパクトが強く、対象の力だけに頼っていないところがいいなと思いました」(有元伸也)
<Vol.77の座談会から>
「こういう風景がずっと残っててほしいなという思いを込めて。構図的にも、相似形というのはずっと昔からある手法ですが、シンプルできれいだと思いました。情緒的じゃないというか、自分の心情を全く入れてないところもいいですね」(テラウチマサト)
<Vol.110の座談会から>
「抽象的で、よくわからないながらも綺麗な写真ですね。あえてスクエアで出したところにこだわりを感じました」(山岸伸)
「絵的な面白さや色彩で遊んでいて、もっと見てみたいと思わせてくれました」(小高美穂)
<Vol.111の座談会から>
「とても不思議な、光と影の美しい写真ですね 。何にも見えないように選んだと撮影意図に書いてあり、タイトルも番号になっている。情報が明かされず、あなたは何に見えますか?という問いかけをしている作品だと思います」(吉野弘章)
常任審査員 テラウチマサトからの言葉
それぞれの審査員がどこを見ているのかという視点の違いが感じられて、その点に、写真を学ぶ者にとっての利点があると考えていましたし、意見の違いを見ることができるのは、PPCの面白さでもあるとも考えてもいました。
こんなことを書いたのも、植田さんが1位をとった2019年 3-4月号「赤い光」や2位の2009年5-6月号「ポートレイト」という作品に私は辛口コメントを寄せているからです。そうかと思えば私だけが票を入れた2013年9-10月号「水田の夕暮れ」7位の様な写真もありました。改めて振り返ると植田さんの写真スタイルの多様性を感じます。
元々力を持っている方が、何か同じところに止まらない挑戦心を持って PPCに望まれてこられたのではないかと思います。基礎を作られた上での果敢なチャレンジをされてきたのだろうと推察し、ではこの先どんなふうに更なる変化を遂げられていくのだろう?また、その辿り着く先は何処になるのだろう?と楽しみになりました。
近年は光と影を活かした抽象的な写真を撮れている様に感じていましたが、そこに色という味付けをされると作品に深みが増すのではと思います。今後に期待しています。
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