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御苗場vol.27 受賞者作品&選出理由を発表!

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リアル(会場)とオンライン(御苗場ウェブサイト)を合わせたハイブリッド型写真展として開催された御苗場vol.27。今回は国内外併せて10名の豪華レビュアー陣が参加。受賞作品と選出理由を発表します!

御苗場vol.27の賞はこちら!

レビュアー賞【海外レビュアー】

エリック・フローンス(写真雑誌「GUP」総合編集長)選出

SS24 渡辺晃介

選出理由
私は、ワタナベコウスケさんの作品が、最もパーソナルであり、写真が心理状態を表現するのに真に役立つツールであることがわかる作品だと感じました。(また、それは彼のからも読み取ることができます)抑圧されていた経験を解放し、それに応じた感情を、同じような経験をしていない鑑賞者にも、イメージの振動から、橋渡ししてくれる、そんな作品です。

パーパン・シリマ(インデペンデントキュレーター)選出

W18 黒田和男

選出理由
私にとって 黒田さんの作品”Father “を見ることは、その人が使っていたものや物を通して、ゆっくりとその人のことを知るような気がします。床の質感を利用して風景を提示するという発想は、見る人に面白い意味と関係性を与えてくれますし、対象物をよりユニークに見せてくれます。また、被写体と撮影者の距離感は、もはや存在し得ない二人の間に「ギャップ」を生み出しています。

ブレント・ルイス(ニューヨークタイムズ ビジネスフォトエディター/Diversify Photo共同創設者)選出

T05 MARICO OGAWA

選出理由
マリコさんの作品は、2020年に起こっているすべてのことがミックスされた、彼女のオープニングステートメントに書かれた感覚を完璧に私に与えてくれました。多くの人がそうしてきたように、このユニークな時代に家族と一緒にいたいという気持ちと、ある場所に家に帰ってきて新鮮な目で見てみたいという考えが重なっています。何が変わったのか、何が変わっていないのか。これが確かに2020年であることを示すうなずきを見つけること。
そして、このすべてに結び付けられているのは、不安定さとぎこちなさのアイデアであり、風変わりなフレーミングによってそれが成し遂げられています。足りていないのは、道で出会ったとき被写体を認識するのに十分なほどには明確にフレームの中に顔をとらえていないこと。この部分だけが、全体を感じさせるには物足りなかった。それでも素晴らしい作品だと思います。お疲れさまでした!

ローラ・ルーマノス(「Photoville」エグゼクティブ・ディレクター/共同創設者)選出

S11 石原加弥子

選出理由
彼女のクリエイティビティはとても素晴らしいもので、ミックスメディアの彼女の作品は、展示作品の中でも特に目立つ作品でした。石原さんの作品を今後も見れることを楽しみにしています。

ジュリア・ダーキン(オークランド・フェスティバル・オブ・フォトグラフィー創設者/ディレクター)選出

W16 守澤啓佑/児島菜波

選出理由
芸術家は、何世紀にもわたって、常に作品の焦点を人間の形に向けてきました。探求と露出。
ここでは作家は自分の体をキャンバスにし、自分の形を重ね合わせ、裸体を紙に貼り付けて撮影しています。
大胆な男らしさが、彼の探求、意味を探すことの脆さにフレームされています。
そして、赤い卵型の抽象化されたイメージがもつ、誕生との比喩的な関係性。
死を彷彿させる暗闇からイメージが移行して浮かび上がる、光の中の新たな存在。
それらの制作と物語の進行を通して、この写真シリーズは、影の深さや暗さと、光の間の遊びを探求しています。
素晴らしい技術とコンセプトです。

 

レビュアー賞【国内レビュアー】

服部滋樹(graf代表/クリエイティブディレクター/デザイナー/京都造形芸術大学 教授)選出

SS11 牟禮 朱美

選出理由
思い出深いが、なんでも無いシーンに何かこちらから引き出される何かがある。
脳裏に記憶された、私たちの経験は何かの切掛けで突如引き出される。この作品は、
忘れかけていた記憶から、なにがしかをトリガーにしてマッタリと断片を、
少しずつ引きだしてくれた。それはまるで、作中にもあった昆虫の抜け殻の様に、生っぽい。
柔な身体が空気に触れ、次の身体に慣れていく様な感覚。
記憶が引き出される時とは、過去の話ではなく新しい体験の始まりなのだと思えた。

谷口純弘(digmeout)選出

S07 岩井 幹

選出理由
写真を見たときに、まずどういうふうに撮影したのか気になった。
本人に話を聞いたら、懐中電灯で自分の部屋を照らして、その光にphotoshopで自分で色を付けたという。
写真という範疇を超えて、自由な発想で表現できること、さらに今回この作品を選んできたセンスも素晴らしいなと思った。自分で工夫して写真表現に挑戦しているところで、写真の新しい可能性を見せてくれた。

山口 晴久(写真家)選出

W05 西村 楓

選出理由
壁面いっぱいに貼られた40枚の全身のポートレイト、初めは街角のポートレイトかな
と思ったのですが、タイトル Self Portrait 興味を惹かれじっくりと読んでみる。
この写真の人々には、外見からはわからないものが潜んでいる。外見は男であるが、内面は女、外見は女であるが、内面は男、またMarginal の人もいる。人は外見だけではわからない。人間とは、性別とは何か、そんなことを考えさせられる作品、そこに自分自身を投影させてのSelf Portrait いい作品に出会えた。

綾 智佳(The Third Gallery Ayaディレクター)選出

W12 中林 侑紀

選出理由
写真も文字も色も様々な要素が渾然一体となった
ポートレートに魅了されました。
特にポートフォリオが良かった。
「今」しか作れないポートレートだと感じます。
「今」しか作れない作品を作り続けて下さい。

テラウチマサト(写真家/御苗場プロデューサー)選出

SS11 牟禮 朱美

選出理由
温室で孵化した蟷螂と日本の子供を対比したテーマの作品であったが、スライドショーを見ていった時、そのテーマとは別に、一つ一つの写真が持つ”曖昧さの魅力”に足を止められた。また、スライドショーという流れの中で、次次と現れる写真の流れや、2枚組の対象して見せる組合せに魅力を感じた。不可思議な面白さは、写真の持つ魅力であり撮影者の狙いとその力量だと思う。

受賞されたみなさま、おめでとうございます!


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